テレ東・若手プロデューサーに聞く “テレビ”“コンプライアンス”の現在地
更新日:
イチオシスト:イチオシ編集部 旬ニュース担当
注目の旬ニュースを編集部員が発信!「イチオシ」は株式会社オールアバウトが株式会社NTTドコモと共同で開設したレコメンドサイト。毎日トレンド情報をお届けしています。
▲写真前列左から、牧島俊介P、千田洸陽P、後列左から、松澤啓P、羽根田翼P、加納武司P
テレ東では、毎週月曜 深夜24時30分から「トライアルマンデー」を放送中!
「若手映像グランプリ」(2022、2023年)のスピリットを汲んだ、テレ東30歳以下の若手プロデューサーたちによる新企画。全社企画から選ばれた5番組を、9月に5週連続でお届けする。
【動画】「平成はよかった…2054」「総勢何人-全員で何人か本気で数えました-」「先にサムネ作っちゃいました」「トライアルマンデー」アーカイブ
「テレ東プラス」は、「平成はよかった…2054」千田洸陽P(「トライアルマンデー」主催)、「総勢何人-全員で何人か本気で数えました-」加納武司P、「先にサムネ作っちゃいました」羽根田翼P、「トマソンを愛でる」松澤啓P、「ナキヨメ」牧島俊介Pを取材。
#2では、5人の若きプロデューサーに、改めて「テレビ」への思いを語ってもらった
――個性的な番組が揃った「トライアルマンデー」。過去2回にわたり、「若手映像グランプリ」という企画もありましたが、このようなトライアル枠があることで生まれるものはありますか?
千田「20代でも、YouTubeやTikTokで活躍する皆さんは、知名度やクオリティが高く、世界にも進出している背景がある中で、映像のプロ集団である“テレビ業界の若手も何かやらないといけないんじゃない?”というところから始まった企画です。
昨年まで開催していた『若手映像グランプリ』は、始まった当初はコロナ禍で、会社でのコミュニケーションの場がなくなってしまい、若手の”ニン”が先輩方に認知してもらえてなかったんです。ただ、この機会により新入社員が何を表現したいのか、逆に先輩たちがどんな番組を作っていて、どんなセンス持っている人たちなのかが分かって、名刺代わりになるという効果も大きかったです。
当然“負けたくない、面白いものを作りたい”という思いはありますが、新人や中堅・ベテラン世代の先輩方とコミュニケーションを図るきっかけにもなり、いい影響があったかなと思っています」
加納「他局もやっている取り組みですし、制作局のみんなが“いつか自分の番組をやりたい”と思っている中で、同期の千田くんが先頭に立って5つも枠を取ってきてくれたというのは、本当にありがたくて…感謝しかないです(笑)」
羽根田「同世代の人たちで放送枠を勝ち取りにいくわけなので、競争心もあおられます。
“同じ時代を生きてきた人がこんな価値観でこんな番組を作るのか”と刺激になりますし、いい効果しかありません。感謝って言葉が自然に出てきますね」
松澤「本当に、千田くんに大感謝という一言しかありません」
千田「いや、そういう時間じゃないですよ(笑)」
松澤「強いて要望を言うならば、僕はもう31歳になってしまったので、来年は上限を35歳に引き上げてほしいですね」
牧島「僕は今23歳なので、逆に25歳に下げてほしいですけどね(笑)。皆さんと違って、僕は入社前から『若手映像グランプリ』があったので、そこに大きな魅力を感じていました。こういう枠があることで、普段なかなか通らない企画が通ることもありますし、作りたいものを作る上でかなり近道になっているなと思います」
――配信の再生回数が高かった番組は、続編があると聞いています。
千田「そうですね。“総合的に見て再生回数が伸びた番組は、続編があってもいいよね”ということは、なんとなく話しています」
――YouTubeやSNS、動画配信サービスなど、コンテンツ競争が激化する中で、テレビマンの皆さんは、日々どのような思いで制作しているのでしょう。
松澤「難しい質問ですね…。コンテンツの出し先がテレビでもYouTubeでも、みんな同じ熱量でやっていると思いますし…。そもそも皆さんは“自分はテレビマンだから、こういうものを作るんだ!”という思いで制作してます?」
加納「実は何も考えてないかもしれないですよね。そう思うと…」
千田「ただ映像制作においては、地上波のテレビ番組が一番映像作りの筋肉を使うんじゃないかなとは思います。申請、連絡、報告、相談などなど…そこは必然的に配信よりもやることが多くなるのではないかと。だからこそ、ジャンルを問わず制作に関わるのであれば、テレビの制作は一度通るべき道なのかなと思うんですけど、どうやら加納は違うみたいです(笑)」
加納「全然いい答えじゃないし、話が逸れちゃうかもしれない…。今回のように、過去、自分の企画を放送したことがあったんですけど、僕の中では、どこか納品した時点で満足しちゃうようなところがあって。何日もかけてロケをして、箱に閉じこもって編集作業をして、毎回精一杯やり切ったなという感じなんです。
だから例えば、SNSで話題になったり、視聴者の方や先輩方が面白いと言ってくれたりしても、それはもうプラスアルファのご褒美でしかない。今回の番組も、ロケに行って作って納品したら、それで満足している自分がいて、それが良くないのかもしれないなと。だって本当にテレビってめっちゃ大変なんですよ!って、何の話でしたっけ?」
千田「加納の愚痴になってる(笑)」
加納「本当はもっと、視聴者の皆さんのフィードバックを受けて考えていかなくちゃいけないんでしょうけど…」
羽根田「僕もテレビだからというよりは、形態にこだわらず制作だけを、面白いことを考えてやる…それだけかもしれません。“これやりたいです、あれやりたいです”と提案して、お金的に“無理だよ”と言われたら、“じゃあもっとこうします!”と試行錯誤する毎日です」
牧島「テレビは落ち目だと言われがちですけど、僕は2023年入社でそこに責任がある訳ではないので、“自分がテレビを変えなきゃいけない”とか全く思ったことがないんですよね。自分が作りたいものを作って、それが評価されればいいなと思っています」
加納「さっきは愚痴になっちゃったのでまともに話すと(笑)、地上波の番組は予算や規模が大きいので、自分の年齢でこれだけ大きな予算の番組に関わってやりたいことがやれるというのは、他のジャンルではあまりない気がしていて、そこは改めてテレビの良さなのかなと感じています。だからこそ、すべったり、ぬるいものを作ったりしたら恥ずかしい。それくらい大きな仕事をさせてもらえるというのは、YouTubeやSNSにはない圧倒的な強みだと思っています」
――コンプライアンス意識が問われる令和。テレビマンとしては厳しさやつらさを感じることも?
加納「それはもう、みんなめちゃくちゃあるんじゃないですかね。元々は、誰かを傷つけないようにというのが全てだと思いますが」
羽根田「みんながネガティブになりがちなテーマなので、一応言うと、“ルール無用です。面白いことやってください”と言われた方が怖いかもしれない。“多少のルールや縛りがある中でやってください”だったら、その中で試行錯誤すればいいので…と、一応ポジティブなコメントを(笑)。制約があるからこそ生まれるものもあるのではないかと」
牧島「羽根田さんが言ったことにも関わりますけど、倫理的なセーフラインとの距離感も面白さのベースになってると思うんですよね。そのラインがあるから安心して笑えるということもあるでしょうし、逆に近づくヒヤヒヤが面白いということもあると思いますし。
なので、基準を知っておくという意味では悪いことばかりではないのかなとは思います」
千田「昔の番組を見ても、制作費やコンプラとは関係なく面白い企画はたくさんあるので、結局は自分たちが“頑張って考えないといけないよな”ってところです」
テレ東ならではの個性が強いトライアル企画を、毎週月曜 深夜24時30分から放送中! 「トライアルマンデー」をどうぞお楽しみに!
【千田洸陽 プロフィール】
2019年、テレビ東京に入社。これまで担当した番組は「何を隠そう…ソレが!」「ぴったりにちようチャップリン」「バカリヅカ」「モヤモヤさまぁ〜ず2」など。
【加納武司 プロフィール】
2019年、テレビ東京に入社。これまで担当した番組は「今日-1グランプリ」「せいやのリアルタイム紀行」など。
【羽根田翼 プロフィール】
2019年、テレビ東京制作に入社。これまで担当した番組は「土曜スペシャル」「水バラ」「HiHi JetsのHiしか言いません!」「タクシー運転手さん一番うまい店に連れてって!」など。
【松澤啓 プロフィール】
2016年、テレビ東京に入社。これまで担当した番組は「家、ついて行ってイイですか?」「YOUは何しに日本へ?」など。現在はスポーツ局で「世界卓球」やスポーツニュースなどを担当。
【牧島俊介 プロフィール】
2023年、テレビ東京入社。これまで担当した番組は「ありえへん∞世界」「何を隠そう...ソレが!」など。
テレ東では、毎週月曜 深夜24時30分から「トライアルマンデー」を放送中!
「若手映像グランプリ」(2022、2023年)のスピリットを汲んだ、テレ東30歳以下の若手プロデューサーたちによる新企画。全社企画から選ばれた5番組を、9月に5週連続でお届けする。
【動画】「平成はよかった…2054」「総勢何人-全員で何人か本気で数えました-」「先にサムネ作っちゃいました」「トライアルマンデー」アーカイブ
「テレ東プラス」は、「平成はよかった…2054」千田洸陽P(「トライアルマンデー」主催)、「総勢何人-全員で何人か本気で数えました-」加納武司P、「先にサムネ作っちゃいました」羽根田翼P、「トマソンを愛でる」松澤啓P、「ナキヨメ」牧島俊介Pを取材。
#2では、5人の若きプロデューサーに、改めて「テレビ」への思いを語ってもらった
――個性的な番組が揃った「トライアルマンデー」。過去2回にわたり、「若手映像グランプリ」という企画もありましたが、このようなトライアル枠があることで生まれるものはありますか?
千田「20代でも、YouTubeやTikTokで活躍する皆さんは、知名度やクオリティが高く、世界にも進出している背景がある中で、映像のプロ集団である“テレビ業界の若手も何かやらないといけないんじゃない?”というところから始まった企画です。
昨年まで開催していた『若手映像グランプリ』は、始まった当初はコロナ禍で、会社でのコミュニケーションの場がなくなってしまい、若手の”ニン”が先輩方に認知してもらえてなかったんです。ただ、この機会により新入社員が何を表現したいのか、逆に先輩たちがどんな番組を作っていて、どんなセンス持っている人たちなのかが分かって、名刺代わりになるという効果も大きかったです。
当然“負けたくない、面白いものを作りたい”という思いはありますが、新人や中堅・ベテラン世代の先輩方とコミュニケーションを図るきっかけにもなり、いい影響があったかなと思っています」
加納「他局もやっている取り組みですし、制作局のみんなが“いつか自分の番組をやりたい”と思っている中で、同期の千田くんが先頭に立って5つも枠を取ってきてくれたというのは、本当にありがたくて…感謝しかないです(笑)」
羽根田「同世代の人たちで放送枠を勝ち取りにいくわけなので、競争心もあおられます。
“同じ時代を生きてきた人がこんな価値観でこんな番組を作るのか”と刺激になりますし、いい効果しかありません。感謝って言葉が自然に出てきますね」
松澤「本当に、千田くんに大感謝という一言しかありません」
千田「いや、そういう時間じゃないですよ(笑)」
松澤「強いて要望を言うならば、僕はもう31歳になってしまったので、来年は上限を35歳に引き上げてほしいですね」
牧島「僕は今23歳なので、逆に25歳に下げてほしいですけどね(笑)。皆さんと違って、僕は入社前から『若手映像グランプリ』があったので、そこに大きな魅力を感じていました。こういう枠があることで、普段なかなか通らない企画が通ることもありますし、作りたいものを作る上でかなり近道になっているなと思います」
――配信の再生回数が高かった番組は、続編があると聞いています。
千田「そうですね。“総合的に見て再生回数が伸びた番組は、続編があってもいいよね”ということは、なんとなく話しています」
若手が語るテレビ、コンプライアンスへの本音
――YouTubeやSNS、動画配信サービスなど、コンテンツ競争が激化する中で、テレビマンの皆さんは、日々どのような思いで制作しているのでしょう。
松澤「難しい質問ですね…。コンテンツの出し先がテレビでもYouTubeでも、みんな同じ熱量でやっていると思いますし…。そもそも皆さんは“自分はテレビマンだから、こういうものを作るんだ!”という思いで制作してます?」
加納「実は何も考えてないかもしれないですよね。そう思うと…」
千田「ただ映像制作においては、地上波のテレビ番組が一番映像作りの筋肉を使うんじゃないかなとは思います。申請、連絡、報告、相談などなど…そこは必然的に配信よりもやることが多くなるのではないかと。だからこそ、ジャンルを問わず制作に関わるのであれば、テレビの制作は一度通るべき道なのかなと思うんですけど、どうやら加納は違うみたいです(笑)」
加納「全然いい答えじゃないし、話が逸れちゃうかもしれない…。今回のように、過去、自分の企画を放送したことがあったんですけど、僕の中では、どこか納品した時点で満足しちゃうようなところがあって。何日もかけてロケをして、箱に閉じこもって編集作業をして、毎回精一杯やり切ったなという感じなんです。
だから例えば、SNSで話題になったり、視聴者の方や先輩方が面白いと言ってくれたりしても、それはもうプラスアルファのご褒美でしかない。今回の番組も、ロケに行って作って納品したら、それで満足している自分がいて、それが良くないのかもしれないなと。だって本当にテレビってめっちゃ大変なんですよ!って、何の話でしたっけ?」
千田「加納の愚痴になってる(笑)」
加納「本当はもっと、視聴者の皆さんのフィードバックを受けて考えていかなくちゃいけないんでしょうけど…」
羽根田「僕もテレビだからというよりは、形態にこだわらず制作だけを、面白いことを考えてやる…それだけかもしれません。“これやりたいです、あれやりたいです”と提案して、お金的に“無理だよ”と言われたら、“じゃあもっとこうします!”と試行錯誤する毎日です」
牧島「テレビは落ち目だと言われがちですけど、僕は2023年入社でそこに責任がある訳ではないので、“自分がテレビを変えなきゃいけない”とか全く思ったことがないんですよね。自分が作りたいものを作って、それが評価されればいいなと思っています」
加納「さっきは愚痴になっちゃったのでまともに話すと(笑)、地上波の番組は予算や規模が大きいので、自分の年齢でこれだけ大きな予算の番組に関わってやりたいことがやれるというのは、他のジャンルではあまりない気がしていて、そこは改めてテレビの良さなのかなと感じています。だからこそ、すべったり、ぬるいものを作ったりしたら恥ずかしい。それくらい大きな仕事をさせてもらえるというのは、YouTubeやSNSにはない圧倒的な強みだと思っています」
――コンプライアンス意識が問われる令和。テレビマンとしては厳しさやつらさを感じることも?
加納「それはもう、みんなめちゃくちゃあるんじゃないですかね。元々は、誰かを傷つけないようにというのが全てだと思いますが」
羽根田「みんながネガティブになりがちなテーマなので、一応言うと、“ルール無用です。面白いことやってください”と言われた方が怖いかもしれない。“多少のルールや縛りがある中でやってください”だったら、その中で試行錯誤すればいいので…と、一応ポジティブなコメントを(笑)。制約があるからこそ生まれるものもあるのではないかと」
牧島「羽根田さんが言ったことにも関わりますけど、倫理的なセーフラインとの距離感も面白さのベースになってると思うんですよね。そのラインがあるから安心して笑えるということもあるでしょうし、逆に近づくヒヤヒヤが面白いということもあると思いますし。
なので、基準を知っておくという意味では悪いことばかりではないのかなとは思います」
千田「昔の番組を見ても、制作費やコンプラとは関係なく面白い企画はたくさんあるので、結局は自分たちが“頑張って考えないといけないよな”ってところです」
テレ東ならではの個性が強いトライアル企画を、毎週月曜 深夜24時30分から放送中! 「トライアルマンデー」をどうぞお楽しみに!
【千田洸陽 プロフィール】
2019年、テレビ東京に入社。これまで担当した番組は「何を隠そう…ソレが!」「ぴったりにちようチャップリン」「バカリヅカ」「モヤモヤさまぁ〜ず2」など。
【加納武司 プロフィール】
2019年、テレビ東京に入社。これまで担当した番組は「今日-1グランプリ」「せいやのリアルタイム紀行」など。
【羽根田翼 プロフィール】
2019年、テレビ東京制作に入社。これまで担当した番組は「土曜スペシャル」「水バラ」「HiHi JetsのHiしか言いません!」「タクシー運転手さん一番うまい店に連れてって!」など。
【松澤啓 プロフィール】
2016年、テレビ東京に入社。これまで担当した番組は「家、ついて行ってイイですか?」「YOUは何しに日本へ?」など。現在はスポーツ局で「世界卓球」やスポーツニュースなどを担当。
【牧島俊介 プロフィール】
2023年、テレビ東京入社。これまで担当した番組は「ありえへん∞世界」「何を隠そう...ソレが!」など。
記事提供元:テレ東プラス
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。