【横浜牛せいろ】横浜のみでチェーン展開するそば屋「味奈登庵」の味、ボリューム、値段に衝撃!:パリッコ『今週のハマりめし』第232回
イチオシスト
ある日、あるとき、ある場所で食べた食事が、その日の気分や体調にあまりにもぴたりとハマることが、ごくまれにある。
それは、飲み食いが好きな僕にとって大げさでなく無上の喜びだし、ベストな選択ができたことに対し、「自分って天才?」と、心密かに脳内でガッツポーズをとってしまう瞬間でもある。
そんな"ハマりメシ"を求め、今日もメシを食い、酒を飲むのです。
* * *
横浜方面で飲み会の予定があり、せっかくだからと少し早めに家を出て、乗り換え地である横浜駅界隈を散歩してみようと考えていた。ところが現地に着くと、雨が降っていることに加えて風もかなり強い。待ち合わせに濡れ鼠の姿で行くわけにもいかないので、しかたなく地下街をふらつきはじめる。
横浜駅には西口に「ジョイナス」、東口に「横浜ポルタ」と、主にふたつの地下街があって、合わせるとかなり広大だ。たくさんのみやげもの屋や飲食店があって、歩いているだけで楽しい。が、土地勘がないので自分がどこにいるのかさっぱりわからない。
そうやってしばらくふらついていたら、なんだか急に少しレトロ感のある場所へたどり着いた。どうやらそこは「横浜天理ビル」というビルの地下街らしく、コンビニがひとつと、7軒の飲食店からなるこぢんまりとしたエリアだ。

横浜天理ビル地下街
そのなかの1軒、「味奈登庵」という店が、妙に魅力的だ。外観は高級感のあるそば屋なんだけど、立て看板を見ると「もり/かけそば」が税込430円と、ずいぶん安い。加えて「タネの風味の効いた揚げ玉無料」という字面のなんと魅力的なこと。入り口からもれだすだしの香りに、一瞬で頭のなかがそば一色になってしまった。飲み会まではまだ時間があるし、軽くそばでも入れておくか。

「味奈登庵 横浜天理ビル店」
店頭のおすすめメニュー
メニューは、海老天をはじめとした数種の天ぷらにそばがついて980円とかなりお得な「つけ天」も気になったが、おのぼりさんの僕は、メニュー名に横浜と名がつく魅力にあらがえず「横浜牛せいろ」にする。横浜発祥の料理である牛鍋をイメージし、長時間煮込んだつけつゆで食べるそばらしい。せっかくだから頼みたいアルコール類はビールのみで、ジョッキ、グラス、瓶とあり、「中生ビール」(540円)をお願いする、

横浜に乾杯
店内はひとり席、テーブル席ともに豊富で広々としており、中央の大きな柱に沿ってぐるりとカウンターがある。ランチのピークタイムはとうに過ぎているのにかなりの客入りで、カウンターに空席を見つけ、そこに着席。すぐに届いた生ビールをぐいっと飲んで、準備は万端。
味奈登庵は、横浜市内でのみチェーン展開する、創業50年を超える老舗らしい。自社工場で製麺した打ちたての麺をゆでたてで提供し、天ぷらも揚げたて、だしは無添加。そばのボリュームにもこだわりがあるようで、そう聞くとよけいに期待が高まる。
実際、僕の両サイドの男性が偶然にも同じつけ天を食べていて、麺がものすごいボリュームだ。あれらはたぶん、プラス120円の「大盛り」に違いない。プラス300円の「富士山盛り」はどのくらいになるのだろうか。

「横浜牛せいろ」
そして僕の横浜牛せいろが到着。麺は普通盛りだが、それでもかなりのボリューム。ころころと輪切りにされたねぎがたっぷりのつけつゆは、表面に脂が浮かんでいかにもうまそう。箸でさぐってみると、玉ねぎとともに煮込まれた牛肉もたっぷり入っていた。

普通盛りでも大ボリュームのそば
牛鍋風のつけつゆ
牛肉がたっぷり
まずは通ぶって、そばを2、3本そのまま食べてみる。しっかりとしたコシがあり、そばの香りをかなり強く感じる、あきらかにうまいそばだ。
つゆは熱々で、香り高いだしに牛肉の旨味がふんだんに溶け出し、しかも想像よりは甘ったるくなく、きりりとしまった味わい。大好物の長ねぎはとろしゃきで甘く、ふわりとした口当たりの牛肉も素晴らしい。そこにどぷんとそばを浸し、思いきりすする。これは......いい、いいぞ、横浜牛せいろ!

見事なバランス
当然、無料のあげだまももらってあり、後半にねぎ、七味とともにつゆに加える。すると、そこからはもはや別のそば。市販のあげだまも好きだが、そば屋で天ぷらを揚げる際に副産物として誕生するそれのうまさは、やっぱり別次元だ。

あげだまや薬味をプラスして
今どきたった1,000円でこの満足度。こんな店が近所にあったら頻繁に通ってしまうに違いないな......と思いつつあらためて周囲を見回し、その大盛況っぷりに納得した。
そば、特に立ち食い価格のリーズナブル系が大好きな僕だが、味奈登庵との出会いはかなりの衝撃だった。一気にファンになってしまったので、今後は横浜方面に積極的に用事を作っていきたい。
取材・文・撮影/パリッコ
記事提供元:週プレNEWS
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