トヨタより先に実用化?フィンランド発「充電5分」「寿命240万km」の全固体電池の圧倒的スペック
イチオシスト
電気自動車(EV)普及の最大の壁とされてきた「充電時間」と「重量」の問題。それを根本から解決する夢の次世代テクノロジー「全固体電池(SSB)」が、ついにフィンランドの企業から発表された。わずか5分で90%充電可能という驚異的なスペックと、大幅な低コスト化を実現したという最新バッテリー技術の全貌を解説。

おやまあ、自動車の世界で長い間約束され、永遠に遅延し続けていた技術的飛躍の1つが、ついに到来したようだ。全固体電池、つまりSSB(Solid-State Battery)である。インホイール電気モーターで最もよく知られるフィンランドの企業、ドーナツ ラボ(Donut Lab)から登場したのだ。これらのモーターは、ハブレス リアホイール(※1)を備えたヴァージ(Verge ※2)の電動バイクに採用されている。今日ヴァージのバイクを注文すれば、SSBを搭載したものが手に入るというわけだ。
簡単におさらいしておこう。標準的なバッテリーは、リチウムを含む電極とグラファイト(黒鉛)を含む電極の2つで構成されるセルから成り立っている。それらの間にはゲル状の電解質とセパレーター(分離膜)がある。全固体電池のセルにはゲルがなく、一般的に固体のセラミック セパレーターを使用する。その利点は計り知れない。まず、基本的には耐火性があり、マイナス30度からプラス90度までの環境でパフォーマンスを維持できるのだ。
つまり、バッテリーはかさばって重い構造物や冷却用の経路(クーリングチャンネル)を減らすことができるため、同じ容量でもより軽く、小さくすることができる。また、従来のバッテリーの充電速度の限界は、充電中に冷却し続けなければならないという必要性に起因している。全固体電池はより高温で動作させることができるため、より速く充電できるというわけだ。
ドーナツ ラボによれば、高出力の充電ポスト(急速充電器)を使用した場合、0から90パーセントまでの充電がたった5分で完了するという。これはガソリン車の給油並みの速さだ。さらに、エネルギー密度は400Wh/kgであると主張している。これを掛け合わせると、80kWhのバッテリーパックがわずか200kgに収まる計算になる。これは、304馬力(300bhp)のエンジンとギアボックスの組み合わせとほぼ同じ重さだ。もう一つの驚くべき主張は耐久性である。5,000回の充放電サイクルに耐えられると言われているのだ。航続距離483km(300マイル)のEVであれば、なんと241万km(150万マイル)に相当する。つまり、より軽く、小さく、充電が速く、安全で、しかも耐久性が高いのである。
フォルクスワーゲンのクアンタムスケープ(QuantumScape ※3)や、リマックのプロロジウム(ProLogium ※4)のセル、そしてトヨタや日産の全固体電池についても同様の主張がなされている。しかし、これらのうちどれ一つとして、2028年より前の量産を宣言しているものはない。
ドーナツ ラボの発表が、もし実現可能だとして、これほどエキサイティングな理由はコストにある。彼らのSSBは、実際には従来のリチウムイオン バッテリーよりも安価になるというのだ。潜在的に敵対的な国家で採掘・加工される希少鉱物を使用していない。むしろ、簡単に入手できる物質で作られているという。ただし、現時点ではそれが何であるかは謎に包まれたままだ。
誰もSSBがすぐに市場を独占するとは言っていない。リチウムイオン バッテリー、特にLFP(リン酸鉄リチウム)系の化学構造を持つものは今でも安くなり続けているし、世界中にはそれを作るための工場が山ほどある。しかし、これは間違いなく本物のブレイクスルー(技術的突破口)であるように見える。
【補足・注釈】
※1 ハブレス リアホイール:車輪の中心部分(ハブ)とスポークが存在せず、リム部分に直接モーターが組み込まれた近未来的なデザインのホイール構造。
※2 ヴァージ(Verge):斬新なデザインのハブレス電動バイクを手がけるフィンランドのメーカー「Verge Motorcycles」のこと。
※3 クアンタムスケープ(QuantumScape):フォルクスワーゲンが多額の出資を行う、アメリカの全固体電池開発ベンチャー企業。
※4 プロロジウム(ProLogium):台湾の全固体電池メーカーで、クロアチアのEVハイパーカーメーカーであるリマック(Rimac)などと提携して開発を進めている。
トップギア・ジャパン 072:トヨタが放つV8スーパーカーの衝撃と、2026年を支配する18台
EVが気になった方へ
中古車相場をチェックする在庫車多数ガリバー
![]()
今の愛車の買取価格を調べる
カーセンサーで最大30社から一括査定
![]()
新車にリースで乗る
=海外の反応=
「量産準備が整ったSSBをぜひ見てみたいけど、ドーナツ ラボが実際にSSBを持っているという証拠はないよな。彼らのテストはすべて、フィンランドのVTT(フィンランド技術研究センター=イギリスの国立物理学研究所みたいな権威ある機関)からの有料レポートで、超特定の温度条件下において『顧客が全固体と呼ぶバッテリー』が、充電速度においてのみ、現在最高の中華製リチウムイオンと同等か、わずかに優れていることを確認しただけだ。エネルギー密度に関する情報は一切公開を禁止しながらね。
漸進的なイノベーションなら大歓迎だし、こういうやり方が投資のための誇大宣伝(ハイプ)や注目を集めるんだろうとは思う。いわゆるイーロン マスクの常套手段(プレイブック)ってやつだ。でも、BBCがもっと批判的な目を持ち、こうした根拠のない主張を裏付け調査しないことには少しがっかりしているよ。とはいえ、自分としてもSSBが早く本物の量産品になって、このハイプ トレイン(お祭り騒ぎ)に乗れることを願っているけどね」
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
