盲目の芸人・濱田祐太郎、目が見えない人のためのロボに「その機能、どう?」
イチオシスト

盲目のお笑い芸人・濱田祐太郎さん
『R-1ぐらんぷり』第16代王者にして、盲目のピン芸人・濱田祐太郎のコラムが週刊プレイボーイで好評連載中! その名も「盲目のお笑い芸人・濱田祐太郎の『死角からの一撃』」。
第17回は、大阪万博で見たロボットに抱いた違和感について。
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皆さんこんにちは、濱田祐太郎です。
目の見えない僕は、行きたい場所があってもひとりで行くのはかなり難しい。そんな僕みたいな人たちのために開発されている、自律型のロボットがあるんです。
その名も「AIスーツケース」。昨年の大阪・関西万博で体験ができるパビリオンがあって、僕も5月に後輩と遊びに行ったんですよ。
まず建物の中で職員さんが注意事項を説明してくれたんですけど、「あくまで実証実験の段階なので、何かイレギュラーなことが起こるかもしれません。それに納得していただけたら、こちらの同意書にサインをお願いします」と言われました。
ただ僕は見えないので、それが本当に同意書なのかわからない。ていうか、「このロボは見えない人のために開発されてるのに、同意書は普通の紙なんかい」と思いましたよ。
もしこれが同意書じゃなく契約書で、サインしたら毎月ナマズの剥製が家に送られてくるようになったらどうしてくれるんですか。メゴチの天ぷらならまだ食べられるけど、ナマズの剥製はいらないですよ。その場では取りあえず後輩に確認してもらい、代筆してもらいました。
そのロボは、名前のとおり下にコロコロがついているスーツケースのような形で、腰ぐらいの高さにある取っ手を握るとセンサーが作動します。その状態で開始ボタンを押せば、プログラミングされた経路を走行し、目的地まで案内してくれるそうです。
説明をひと通り受けて、いよいよ体験スタート。外に出て取っ手を握り、ロボの開始ボタンを押しました。そしたら......エラーでまったく動かない。めちゃくちゃ意気込んで開始ボタンを押したので、エラーだとわかるまでの数秒間、じっとしてるのがちょっと恥ずかしかったです。
気づいた職員さんが「暑い日はたまに動かなくなるんですよ」と言っていました。「え、大丈夫? 日本、暑い日けっこう多いで?」と心の中で思いながら、エンジニアの人がメンテナンスをして、10分後ぐらいに再開。次は無事に動きました。
ただ、この体験を通して「このロボ、まだまだやなあ」と思いました。というのも、安全対策として、前方に人がいるのをセンサーで感知したら自動的に動きが止まるようになっていたんです。「なんでやねん」と思いました。
感知したのが障害物ならロボは向きを変えて動くそうで、それが人ならその人が通りすぎれば動くそうです。でも、前に人がいて止まっちゃうなら、電車に乗ろうと東京や大阪の駅に行ったら、改札の所で一生動かなくなるわと思いました。
あんな場所、人が途切れることなく行き来してるんですから。見えない人もそういう所に行くことは多いのに、そこで使えなくてどうする、と。
いっそのことロボにスピーカーをつけて「反対の改札に大谷翔平がいるぞ!」て音声を流す機能をつければ、そっちに人が移動してロボを動かせるようにできるかもしれないですけどね。まあ、実用化されるときにはいろいろ改善されてるのかなあ。
もし実用化されたら僕が最初に登録する目的地はマットヘルスのお店ですね。なんならAIスーツケースよりAIマットを開発してほしい。マットに正座したらセンサーが感知して、勢いよくローションが噴き出して、そのままお店に直行みたいな。
まあ、実用化されたら、見えない人たちには本当に便利だと思うので、何か監修のお仕事があればやりまっせ。
●濱田祐太郎(はまだ・ゆうたろう)
1989年生まれ、兵庫県神戸市出身。2013年より芸人として活動を開始し、『R-1ぐらんぷり2018』(フジテレビ)で優勝。関西の劇場を中心に舞台に立つほか、テレビやラジオなどでも活躍。公式X【@7LnFxg25Wdnv8K5】
撮影/梅田幸太
記事提供元:週プレNEWS
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