【AV違法ダウンロ ード】高額解決金の"黒い霧"。数千万円にも上る要求が「組織的ビジネス」になっているとの噂も.....
イチオシスト

ユーザーに突然送られてくる開示請求は年15万件!
総務省によれば、2024年の発信者情報開示請求は15万件を突破。その95.6%が特定のソフトによるAV事案だという。かつてない規模で加速する開示請求の裏には、調査会社や弁護士ぐるみの組織的な関与もささやかれている。法外な解決金請求が飛び交う、現場の闇に切り込む!
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【開示請求約15万件。いびつな「集金」の実態】ネット上の違法コピー動画。その誘惑に負けた代償が、今、かつてない規模で跳ね上がっている。総務省のデータによれば、2024年の発信者情報開示請求は15万4484件。特筆すべきは、その95.6%が「特定のソフトを使ったアダルト動画」に関する事案という点だ。
日本の裁判制度が、今やアダルト業界の巨大な「集金装置」と化しているのではないか――そう疑いたくなるほど、いびつな実態が浮かび上がる。
では、この開示請求とはどういうものなのか。インターネット上の著作権問題に詳しい弁護士の須賀翔紀氏が解説する。
「発信者開示請求とは、インターネット上の住所であるIPアドレスを手がかりに、プロバイダにそのIPアドレスを利用している人の情報を明らかにせよと請求することです。
かつては主に誹謗中傷や名誉毀損に関わる案件で使われましたが、近年は著作権に関わるものが急激に増えています。
重要なのは、単なるダウンロードなら直ちに違法とはなりませんが、『アップロード(公衆送信)』は明確に違法だという点です。
開示請求を受けたプロバイダは、利用者に『情報開示していいかどうか』を聞く『意見照会書』を送付します。SNSでの『開示請求を受けた』という投稿は、プロバイダから意見照会書が届いたということでしょう」

だが、なぜ単に落としたつもりが「アップロード」扱いになるのか。ITジャーナリストの三上 洋氏がカラクリを明かす。
「開示請求を受けているターゲットの多くが『BitTorrent』などのTorrentソフト利用者です。実はこのソフト、一般的なダウンロードと違い、『落としながら、同時にほかの利用者へ断片を送る』という仕組みになっています。本来は効率的なデータ配布のための技術ですが、著作権物のやりとりにおいては、これがあだとなります。
つまり、接続した瞬間に、本人の意思にかかわらず強制的に『違法ファイルの配信元』になってしまうわけです。
さらに、このネットワークは誰が何を落としているかが〝丸裸〟。権利者はこうしたツールの利用に長けた調査会社に依頼し、明らかになった情報で弁護士などの代理人を通じプロバイダに開示請求するのです」

そもそも、これほどリスクが高いのになぜこのソフトを使い続けるのか。その理由は、以下に集約されるようだ。
まずは、同じ違法サイトでもストリーミングだと特有の「広告のうざさ」や、ヌキどころを探すスキップ操作の「タイムラグ」があり、それを嫌ってソフトを使うケース。
さらに、「お気に入りは手元に保存したい」という所有欲や、スマホに移して堪能したいという利便性からの使用も根強い。
こうした目先のメリットが、「自分だけは捕まらない」という根拠のない自信と結びつき、結果として巨大な網へと自ら飛び込んでしまっているのだ。
【数千万円の要求と自宅への「特別送達」】ではプロバイダから意見照会書が届いたら、利用者はどうすべきか。前出の須賀氏が続ける。
「選択肢は『無視する』『照会に同意しない』『照会に同意する』の3つです。このうち避けるべきなのが『無視』です。
無視を決め込んでも、権利者はプロバイダを相手取って開示請求の裁判を起こします。結果、たいていは開示命令が下され、利用者は準備もできないまま権利者と対峙する羽目になる。
『同意しない』場合、裁判所を納得させる正当な理由があれば開示を免れる可能性もありますが、その成功率は極めて低いのが現実です。『同意する』場合は、当然ながら権利者に身元が開示されます」
つまり、意見照会書が届いた時点で利用者はかなり分が悪い。そして権利者は、こうして得た個人情報を基に「解決金」の支払いを求めてくるのだ。
「実はここが問題で、解決金の額は実際の損害額というより、おおむね〝どんぶり勘定〟の〝言い値〟に近い。中には数千万円を請求するケースもあります。もちろん損害額の根拠を求めて交渉もできますが、素人が百戦錬磨の代理人と争うのは極めて不利です。
さらに交渉の過程で『応じなければ裁判だ』と揺さぶられることもある。裁判になれば平日の出頭を強いられたり、最悪は給与の差し押さえもありえる。
また、裁判になると自宅には裁判所から『特別送達』が届くため、家族に隠し通すことはまず不可能。その中身が『違法コピーAV』に関する通知だと知られれば、会社や家庭での立場も失うでしょう。
こうしたことから、現実的に支払える金額であれば、言われるままに解決金を支払ってしまう利用者も相当数いるはずです。もし通知が届いたら、すぐに弁護士などの専門家に相談しましょう。弁護士に委任すれば、あとはプロ同士の話し合いになります。
過去の判例に基づいた『妥当な金額』の交渉になるため、当初数百万円を請求されていても、最終的には数万~数十万円程度(1作品の場合)の解決金で合意に至るケースが多く見られます。
もちろん弁護士費用はかかりますが、権利者側から言われるがままの金額を支払ったり、放置して裁判で給与を差し押さえられたりするリスクに比べれば、経済的なダメージは格段に抑えられます。何より、家族や職場に知られるリスクを最小限に食い止められるメリットは計り知れません」
そもそも、非合法なコピーAVに手を出し、かつTorrentの利用でその流通に加担してしまった時点で、利用者に非があることは間違いない。
とはいえ、権利者から途方もない額の解決金を要求されても泣き寝入りすべきではない、ということだ。
【放流ビジネスの〝黒い霧〟】一方、SNSでは「VPN(仮想専用線)を経由して接続しているので、開示請求があっても身元が知られることはない」という楽観的な意見も散見される。実際のところ、その〝防御力〟は万全なのか。
「VPN事業者の回線を経由することで、実際のIPアドレスを秘匿してTorrentに接続することは可能です。そのVPN事業者が信頼に値し、『裁判所からの命令など法的な開示請求以外には一切応じない』という厳格な姿勢を貫いているのであれば一定の効果はあるでしょう」(三上氏)
だが、須賀氏はその〝落とし穴〟についてこう警告する。
「『ノーログ』、つまり利用者の接続情報を一切保管していないとうたうVPN事業者もありますが、それが事実かどうかを利用者が確かめるすべはない。
安全だと思い込み、日常的に違法コピーAVをやりとりしていれば、ある日突然の開示請求に肝を冷やすことも十分にありえるのです」

匿名性の高かった『Winny』では、マルウエアによる意図しない情報流出も多発。現在ではTorrentソフトの利用者が増加、ファイル共有ソフトの主役だ
もうひとつ、Torrentを巡って根強くささやかれているのが、「AV制作会社が自らコピー動画を〝放流〟し、利用者に解決金を請求する『解決金ビジネス』を仕掛けているのではないか」という疑惑だ。
「日本のAVは海外でも人気で、Torrent上だけでなくアングラサイトでも違法コピーが多数流通しています。新作も誰かがすぐにコピーしてアップロードするので、AV制作会社がわざわざ放流するかは疑問ですが......」(三上氏)
「実際に放流を行なっているかは不明ですが、もし事実だと露呈すれば、制作会社にとって致命的なリスクになります。
もっとも、法外な金額を機械的に請求している実態を見れば、一種の『解決金ビジネス』という側面があるのは否定できません。ただし、組織的な放流を確信するには至りませんね」(須賀氏)
ただ、ネットの裏事情に詳しい風俗ライターのA氏は、現場の違和感をこう指摘する。
「アングラサイトには、製品版の発売日前に違法コピーが出回ることがあります。そのため、Torrent上のファイルについても『内部の人間が関与しているのではないか』と疑う声が出てくるのも無理はない。
AV制作会社はこうした不穏な言説を払拭するためにも、自社製品の管理体制を改めて厳格に整えるべきでしょう」
結局のところ、数千円を惜しんだばかりに数千万円を失い、人生を棒に振るのは、あまりに割に合わない「授業料」だ。
現在はシステムの構造上、足がつきやすいTorrent利用者が標的となっているが、監視技術の進化は、違法ストリーミングサイトをも着実に包囲しつつある。
家庭や職場で取り返しのつかない事態になる前に、動画は正々堂々と正規版で購入する。それが、この理不尽な「解決金ビジネス」から身を守るための、唯一の防衛策なのだ。
取材・文/植村祐介 写真提供/PIXTA
記事提供元:週プレNEWS
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