幼いころから人間の苦悩について考えていた、ブッダの得た悟りとは?【世界の宗教】
イチオシスト
ブッダは幼いころから人間の苦悩について考えていましたが、人生が苦に満ちている「一切皆苦(いっさいかいく)」というのが、仏教の基本的な教えです。それを表したのが、私たちにもおなじみの「四苦八苦(しっくはっく)」という四字熟語です。四苦というのは、どんな人も逃れることができない生(しょう)・老(ろう)・病(びょう)・死(し)の四つの苦しみです。
これに愛別離苦(あいべつりく)・怨憎会苦(おんぞうえく)・求不得苦(ぐふとくく)・五陰盛苦(ごおんじょうく)の四つをあわせて八苦となります。愛別離苦は愛する人と別れる苦しみ、怨憎会苦は憎む者と会う苦しみ、求不得苦は求めても得られない苦しみ、五陰盛苦は自らの想念などにとらわれることによる苦しみをいいます。

そして、ブッダが説いた教えとして三法印(さんぽういん)というものがあります。これが仏教を仏教たらしめている特徴ともいっていいでしょう。
第一が諸行無常(しょぎょうむじょう)です。 『平家物語(へいけものがたり)』の冒頭で語られていてご存知のことと思いますが、あらゆる事象(じしょう)や事物(じぶつ)は移ろい、とどまることがないことを表しています。第二が諸法無我(しょほうむが)です。あらゆる存在に実態や本質がないことを表しています。第三が涅槃寂静(ねはんじゃくじょう)です。苦が滅せられて安楽の状態になった最高の境地のことです。
「こうでなくてはならない」といった思い込みによる執着があると苦悩が続き、この最高の境地に達することはできません。こうした執着による苦悩の状態が「一切皆苦」というわけです。
仏教の中核となる教えがこの三法印のなかにあり、涅槃寂静こそが目指すべきところとされているのです。
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 世界の宗教』
監修:星川啓慈 日本文芸社刊
執筆者プロフィール
1956年生まれ。1984年、筑波大学大学院哲学・思想研究科博士課程単位取得退学。1990年、日本宗教学会賞受賞。現在、大正大学文学部教授。博士(文学)。専門は宗教学・宗教哲学。主な著書に、『言語ゲームとしての宗教』(勁草書房、1997年)、『宗教と〈他〉なるもの』(春秋社、2011年)、『宗教哲学論考』(明石書店、2017年)、『増補 宗教者ウィトゲンシュタイン』(法藏館、2020年)など。
記事提供元:ラブすぽ
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
