【試乗】BMW次期3シリーズEV「新型i3」プロトタイプ!463馬力の雪上テストでわかった実力とは
イチオシスト
BMWの次世代プラットフォーム「ノイエ クラッセ」を採用する第2弾モデルとして、次期3シリーズの完全電動版である新型「i3」がまもなく登場する。最高出力463psを誇るツインモーターと全輪駆動システムを搭載し、航続距離は800km超えとも期待される大注目のEVサルーンだ。今回は、スウェーデンの極寒の地で行われた雪上テストに英・BBCトップギアが潜入。95%完成しているというプロトタイプの試乗レビューを通し、新開発の統合制御システム「ハート オブ ジョイ」がもたらす驚異の走りを日本の車好きに向けて詳細にお届けする。
ああ、確かにi3なのだが、私たちが知っているi3ではない。先代のi3は、2013年に発売されたBMWの気の利いた小さなシティカーだった。未来的なカーボン構造とスカンジナビア風のクールな(※北欧家具のようなシンプルでお洒落な)インテリアを採用していたにもかかわらず、たった1世代で終わってしまった。25万台目が組み立てられたわずか数日後の2022年に生産終了となったのだ。悲しい時代である。
それでも、この新しいi3は、形状こそはるかに伝統的なスリーボックス サルーン(※エンジンルーム、キャビン、トランクが独立した一般的なセダンの形)だが、他の面ではかなり先進的だ。
もしかして、あの新しいiX3と関係があるのか?
トップギア カー オブ ザ イヤーの現王者のことかい? もちろん関係ある。新型i3は、BMWの「ノイエ クラッセ(Neue Klasse:※1960年代にBMWを危機から救った名車シリーズの名前であり、現在は次世代EVプラットフォームの総称)」ファミリーの第2弾モデルだ。つまり、3シリーズにとってほぼ完全なリセットを意味する。大胆な決断だ。
まず第一に、動力源は電気のみである。そして、BMWがこのノイエ クラッセのために行った大きな開発のひとつが、インフォテインメント、自動運転、車内コンフォート、そしてビークル ダイナミクス(車両運動制御)を駆動する4つの「スーパーブレイン(超頭脳)」の構築だ。これにより、600メートル分もの配線を削減しつつ、これまでのBMWの20倍の計算能力を実現しているという。
もちろん、3シリーズの血統である以上、ここで最も重要なのはビークル ダイナミクスを司る頭脳だろう。少々聞いていて気恥ずかしくなる「ハート オブ ジョイ(Heart of Joy:喜びの心)」と名付けられたこの頭脳は、電気モーター、ブレーキ、ステアリング、スタビリティ コントロール(横滑り防止装置)を統括する極めて賢い単一のプロセッサーだ。従来、これらの「アクチュエーター(作動装置)」はそれぞれ独立したプロセッサーを持っていたが、「ハート オブ ジョイ」はそれらをすべて一つに束ねることで連携を高め、反応速度を10倍に引き上げている。
BMWはこのソフトウェアをすべて自社開発したことをかなり誇りに思っており、近い将来、ほぼすべての新型車の基盤となるだろう。
まだカモフラージュされているが、今のところi3について他に何が分かっているんだ?
今月後半には最終的なデザインがお披露目される予定だが、2023年末に発表された「ビジョン ノイエ クラッセ」コンセプトを見れば、BMWが何を目指しているのかがわかるはずだ。寸法は現行のG20型 3シリーズとほぼ同じだが、ホイールベースは長くなり、オーバーハング(※車輪の中心から車体端までの長さ)は短くなっている。特にリアが顕著だ。フロントには、シャークノーズ(※サメの鼻先のように逆スラントした、かつてのBMWの特徴的なフロントマスク)へのオマージュと、ヘッドライトを飲み込むほど横に広がったキドニーグリル(※BMWを象徴する豚鼻型のグリル)が採用されている。
詳細なデータや数値は今年後半に発表される予定だが、発売時のパワートレインの選択肢がiX3と同様に1つだけになることは分かっている。それは、ツインモーター、全輪駆動、そして総計463psという強力なパワーを誇る「i3 50 xDrive」だ。iX3の109kWhのバッテリーも共有するが、より空気抵抗の少ない(滑らかな)形状のおかげで、iX3のWLTPモード(※国際的な燃費・電費測定の基準)航続距離804kmをさらに上回る数値を叩き出すはずだ。
ずいぶん寒そうな場所にいるね…
その通り。私たちはトップギアのロゴ入りポンポン付きニット帽を荷物に詰め込み、アリエプログ(※スウェーデン北部にある、自動車メーカーがこぞって寒冷地テストを行う雪と氷の町)にあるBMWの冬季テスト施設へと向かった。95%完成しているという量産前プロトタイプに乗るためだ。なぜなら、初の完全電動BMW 3シリーズというのは、どうやらかなり重大な出来事だからだ。
それで、出来はどうなんだ?
写真の通り、今のところ凍った湖と雪に覆われた道しか走っていないが、i3の第一印象は実に素晴らしいものだ。
これは車重2トンの全輪駆動の電動サルーンだが、その重さを見事に隠し、しっかりとダイナミックに感じられる。グリップが極めて低い路面でさえ、ステアリングからはフロントタイヤの状況を教えてくれる心地よい感触が伝わってくる。スポーツモードにすると少し手応えが増すが、過剰ではなく、645Nmのトルクがより多くリアに配分されるため、「50 xDrive」がほんの少し機敏になったように感じられる。
0-100km/h加速のタイムについてはまだ発表されていないが、ツインモーターは十分な押し出し感をもたらし、(少なくとも今のところは)素早く前進するための非常に自然で滑らかな車に思える。つまり、どこからどう見てもスポーティなドイツ製サルーンなのだ。
その「ハート オブ ジョイ」はどう役立っているんだ?
新しいビークル ダイナミクスを司る頭脳が最も大きな効果を発揮するのは、おそらく減速と停車の場面だろう。BMWの試算によると、現在、ブレーキングの約95%はディスクとパッドの摩擦ではなく、電気モーターの回生ブレーキ(※減速時の運動エネルギーを電気に変換してバッテリーに回収するシステム)によって行われている。しかし、これら2つが電光石火の反応速度を持つ同じプロセッサーによって制御されているため、ペダルの感触は常にしっかりとしていて正確だ。そう、ブレーキを強く踏み込んでABS(アンチロック ブレーキング システム)を作動させた時でさえも。
さらに、この頭脳はスタビリティおよびトラクション コントロール システム、そしてステアリング アシストも担当しているため、氷上での96km/hからのABSフルブレーキングでも、ほとんどパニックに陥ることはない。家では真似しないでほしいが(自宅の裏庭に冬季テスト施設があるなら別だが)、ステアリングから手を離すことさえできるのだ。
より穏やかに停車する場面も同様に印象的で、iX3で見られたのと同じ「ソフトストップ」機能が備わっている。これは要するに、車が回生ブレーキを使って、ギクシャクした動きやブレーキノイズを一切出さずに完全に停止するというものだ。まるで魔法のように感じられる。
「ハート オブ ジョイ」は、後輪操舵(リアホイール ステアリング)、アクティブ アンチロール バー(※コーナリング時の車体の傾きを電子制御で抑えるスタビライザー)、アダプティブ サスペンション(※路面状況に応じて減衰力を自動調整するサスペンション)を制御する能力も備えている。しかし、i3はそれらのいずれも必要としておらず、少しばかりのシンプルさの恩恵を受けているようだ。
乗り心地はどう?
興味深いことに、BMWはここで完全にパッシブな(電子制御ではない)スプリングとダンパーのセットアップを選んでいる。カーブでのボディのロールは最小限に抑えられており、乗り心地は硬めのように感じられるが、私たちが経験した荒れた路面でも決して不快ではなかった。また、合成音(フェイクサウンド)をオフにすると、車内は驚くほど静かになる。
派手なドリフトができそうだな…
ああ、その通り。それはダイナミック トラクション コントロール(DTC)のおかげだ。凍った湖の上でi3をこのモードに入れ、スロットルを思い切り踏み込むと、テールを振り出し、コンピューターがそのスライドを維持しながら、まるで本物の後輪駆動スポーツサルーンのように振る舞うのが見られる。
「ハート オブ ジョイ」が回生ブレーキを使って車体のバランスをスムーズに保ちつつ、ドライバーからパワーを完全に奪ったり、不自然にブレーキをかけたりしないのは、本当に見事だ。アンダーステア(※曲がりきれずに外側に膨らむ現象)に対抗するためにも、似たようなトリックを使っている。
ああ、それから、「DSC(横滑り防止装置)オフ」は、本当に「完全にオフ」を意味する。なぜそれを知っているのかは聞かないでほしいが、誰かエチケット袋を取ってくれないか?

インテリアはちゃんと見られたの?
一言で言えば、ノーだ。もちろん、フロントガラスの下部を横断する巨大なディスプレイを備えたBMWの新しい「パノラミック iDrive」システムを見逃すのは至難の業だ。iX3と同様に、これが従来のメーターパネルの代わりとなり、さらに、様々なウィジェットやショートカットでカスタマイズできそうな、傾斜した中央のタッチスクリーンがある。
インテリアの残りの部分は固く隠されていたが、新しいステアリングホイール(と親指を置くサムレスト)の感触は良かった。ただ、回生ブレーキのレベルを調整するパドルがないのは残念だ。
後部座席に少し座ってみたところ、足元と頭上のスペースは問題ないが、前の座席の下に足を入れることができないため、背の高い人は膝が耳の横にくるくらい窮屈な姿勢になるだろう。
他に何か教えてもらえることはある?
「動力源は電気のみである」と言ったのを覚えているだろうか? まあ、「i3」のバッジがついたモデルはそうなるが、iX3と同じように、ガソリン仕様やハイブリッド仕様も用意される予定だ。それらは「ノイエ クラッセ」のルックスを纏いつつ、テクノロジーとパワートレインの多くを現行の3シリーズから引き継ぐことになりそうだ。
ああ、M部門のことも忘れてはいけない。次期M3にはガソリンモデルと電気モデルの両方が用意されることがすでに分かっている。後者は4つのモーターを搭載し、合計出力は1,000psを超えるという噂だ。Hyundai アイオニック 5 N(※擬似的なエンジン音やシフトチェンジ機構を備えた韓国ヒョンデの高性能EV)のような、擬似的なギアシフト機能についての噂さえある。誰かペースメーカーを持ってきてくれ、「ハート オブ ジョイ」はこれから大忙しになりそうだから…
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