ヨーロッパ/アジア/アフリカと広く続いたイスラム教の分裂が起こった理由とは?【世界の宗教】
イチオシスト
13世紀半ばには、アッバース朝の勢力が衰えてきます。これにかわって、13世紀の終わりごろに台頭してきたのが、トルコ系イスラム国家であるオスマン帝国です。14世紀から16世紀にかけてオスマン帝国は、アジア、バルカン半島、地中海周辺アラブ地域を征服し、広大な統一国家をつくりあげ、16世紀半ばのスレイマン1世の治世には世界の最強国となりました。
オスマン帝国がイスラム世界の中心であると宣言し、君主であるスルタン自らがカリフとなりました。政治と宗教が一体となった「スルタン・カリフ制」という統治政策により、強大な政権をつくりあげていったのです。
また、オスマン帝国のスンニ派内では、*スーフィズム(神秘主義)が盛んになり、かつての征服者であるモンゴル人まで改宗しました。スーフィズムは、「あらゆるもの、人の心のなかにも神=アッラーは存在する」という考えに基づき、瞑想や修行によって個人のなかに神を実感しようとするものです。
こうしてオスマン帝国は、ヨーロッパ、アジア、アフリカにまたがるイスラム国家として続いていくことになりますが、17世紀にはキリスト教徒が広く浸透したヨーロッパの前に徐々にその力を失っていきます。
その後、イスラム共同体は個々の民族国家に分離・独立し、イスラム教もそれぞれの国の事情によって、さまざまな形態に変わります。
こんにち、イスラム社会は政治と宗教の関わりかたなどで、それぞれの国で多極化が進んでいます。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 世界の宗教』
監修:星川啓慈 日本文芸社刊
執筆者プロフィール
1956年生まれ。1984年、筑波大学大学院哲学・思想研究科博士課程単位取得退学。1990年、日本宗教学会賞受賞。現在、大正大学文学部教授。博士(文学)。専門は宗教学・宗教哲学。主な著書に、『言語ゲームとしての宗教』(勁草書房、1997年)、『宗教と〈他〉なるもの』(春秋社、2011年)、『宗教哲学論考』(明石書店、2017年)、『増補 宗教者ウィトゲンシュタイン』(法藏館、2020年)など。
記事提供元:ラブすぽ
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