【ホルモンうどん】1杯600円の大衆うどんでありながら、究極に完成された日本料理。大阪のうどんおそるべし!:パリッコ『今週のハマりめし』第226回
イチオシスト
ある日、あるとき、ある場所で食べた食事が、その日の気分や体調にあまりにもぴたりとハマることが、ごくまれにある。
それは、飲み食いが好きな僕にとって大げさでなく無上の喜びだし、ベストな選択ができたことに対し、「自分って天才?」と、心密かに脳内でガッツポーズをとってしまう瞬間でもある。
そんな"ハマりメシ"を求め、今日もメシを食い、酒を飲むのです。
* * *
前回に続き、大阪は京橋在住中の話。
前日、関西風のうどんが食べたくて入った店で思わず辛いラーメンを食べてしまったリベ
ンジで、今朝こそはうどんが食べたい。またしてもスズキナオさんとともに街を徘徊し、
選んだのは新しめの「どん丼」という店だった。

「どん丼」
コンテナ状の簡易的な建物が並ぶ一角にあり、かなり新しい店のようだ。が、老舗ばかり
が名店でないのも、大阪のパワフルな魅力のひとつ。決め手となったのは豊富なメニュー
で、うどん類のバリエーションはもちろん、「和牛カレー丼」などの丼ものも充実してお
り、思わずまたうどん以外を頼みそうになってしまう。それに加えて、缶ビールなどのア
ルコール類があるのも嬉しい。

メニュー一覧
しかし今日こそ初志貫徹。関西らしいメニューということで「ホルモンうどん」(税込60
0円)に、無料トッピングの「天かす」。それと「レモン酎ハイ」(350円)を選ぶ。
店内は外観から想像するより広く、長い2列のカウンターのほとんどが人で埋まり大盛況
だ。厨房から漂って充満するだしの香りもたまらない。ナオさんと並んで待っていると、
すぐにうどんが完成。

「ホルモンうどん」
ホルモンうどん。これもまた、ホルモン食文化が盛んな、大阪ならではのメニューと言え
るだろう。名店と呼ばれる専門店も存在するらしく、密かに憧れていたメニューのひとつ
だった。どんぶりから立ち上る湯気の香気に、問答無用でテンションが上がる。
まずは気持ちを落ち着けるため、缶チューハイをぷしゅりと開けてひと口。今日もまた、
大阪で飲み歩く準備は整った。

あまり見かけたことがないチューハイなのがまたいい
ちなみにナオさんの今日のチョイスは「和牛カレーうどん」。カレーのスパイシーさと関
西風のだしが合わさり、そこに和牛がたっぷり入ってるなんて、食べなくてもうまいとわ
かるが、やっぱりうらやましい。

「和牛カレーうどん」
が、僕の前には待望のホルモンうどんがあるのだ。集中集中!

いざ、いただきます
まずはスープをひと口。関西で汁もの料理を食べると、この瞬間に毎度感動する。数種の
節をブレンドしたというこだわりのだし。その香り高さが、必ず想像のはるか上を超えて
くるのだ。しかもこのうどんがすごいのは、そこに牛もつの旨味まで加わっていること。
究極に上品なもつ鍋風とも言えるかもしれない。

ぷりぷりのホルモンがたっぷり
いざうどんをずずずとすすれば、その究極スープの味わいを、小麦の風味がさらに広げる。
ここのうどんはやわやわではなく、きちんとコシが残ったさぬきタイプで、店ごとの個性
を感じられておもしろい。

食べごたえたっぷりの麺
少し甘めに味つけしてあるぷりぷりのホルモンとともに噛みしめたり、しゃきしゃきのね
ぎやあげだまとともにすすりこんだり、夢中で食べていたら、あっという間に終盤だ。

刻々と進化するスープ
ふと気がつけば、もともとうまかったつゆに、ホルモンが深みを足し、あげだまの油がコ
クを足し、さらなる超次元スープへと進化している。涙が出るほどうまい。決して旅情に
よるブーストなどではなく、正真正銘確実に、たった600円のうどんでありながら、これ
はひとつの到達点とも言えるほどに完成された日本料理だ。
大衆店でこそ味わえる、関西のだし文化、うどん文化の奥深さ。正直、毎日でも食べたい
くらいで、東京に帰ってきてしまった今、ひたすら大阪のうどんが恋しい日々だ。
取材・文・撮影/パリッコ
記事提供元:週プレNEWS
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