【日本ハム・キャンプリポート】「12球団トップクラスの投手陣」&「令和のビッグバン打線」の仕上がりは!?
イチオシスト

リーグ優勝を目指す新庄監督
新庄体制5年目の今季、悲願のリーグ優勝を目指す北海道日本ハムファイターズ。お股ニキ氏(野球評論家/ピッチングデザイナー)が名護キャンプ前半での投打の仕上がり具合を詳報する。
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【1989~90年の巨人級の投手陣】今季、有原航平をソフトバンクから電撃獲得するなど、日本ハム投手陣は12球団トップクラスで本当に強烈だ。斎藤雅樹、桑田真澄、槙原寛己の3本柱を擁した1990年頃の巨人のような厚みといっていい。まさに投手王国だ。
私が視察したタイミングでは、有原はまだ合流していなかったが、それ以外の主力クラスはほぼ全員ブルペンで見ることができた。球の強度やフィジカルがどの投手も素晴らしかった。
そして、さまざまなカウントやシチュエーションごとにシャドーゾーン(ストライクゾーンの縁の際どいゾーン)、チェイスゾーン(ストライクゾーンの外側の打者が追いかけたくなるゾーン)を狙う意識が感じられた。

昨季2年連続最多勝に輝き、自身初の沢村賞を受賞した伊藤
WBCでも期待される沢村賞エース・伊藤大海も順調な仕上がり。昨季よりも体重を増やして屈強な体に仕上げながらも、フォームの滑らかさはキープしている。
ブルペンで主力クラスがずらっと並んで投球する姿は圧巻で、齋藤友貴哉、柳川大晟(たいせい)、田中正義、上原健太らは迫力満点だった。山﨑福也(さちや)も球の強度が上がり、伏見寅威(とらい)とのトレードで阪神から移籍してきた島本浩也も球筋が素晴らしく、目を引いた。

昨季49試合に登板し、推定年俸1億円の大台に乗せた田中
台湾出身の古林睿煬(グーリン・ルエヤン)と孫易磊(スン・イーレイ)もスピードは素晴らしかった。WBC初戦となる日本戦で登板し、山本由伸(ドジャース)と投げ合うことも予想される。孫は球の強度こそ素晴らしいが、キャンプ序盤のこの時期はまだボールが左右に散らばっており、これから制球が定まってくればさらに面白い存在になるだろう。
今季の日本ハム投手陣は先発ローテーション入り、1軍登録のハードルが非常に高い。やはり、1990年頃の巨人にも匹敵するような投手陣になるかもしれない。
そして、その投手陣をリードする捕手陣からは伏見が抜け、さらにセンターラインから石井一成(かずなり)、松本剛(ごう)も抜けた。就任5年目を迎えた新庄剛志監督は、その穴をどのように埋めるのか。それが、今回のキャンプで見えてきた。
【キャンプ序盤から振れている野手陣】まだ寒いキャンプ序盤は投手の球の強度に目が慣れず、投高打低になりがちだが、野手陣は総じてスイングが鋭く、きっちりとボールをとらえることができていた。どの選手も仕上がりは非常に良さそうだ。
新庄監督がキャンプ2日目に奈良間大己(たいき)のセカンドゴロを絶賛していたが、ケースバッティングの精度やレベルが向上している印象を強く抱いた。今の日本ハム野手陣は「令和のビッグバン打線」とも称されるほど一発の力があるだけに、四球や小技、つなぎの意識が本当に身につけば、ソフトバンクとの差も埋まってくるだろう。

今季から古巣へ復帰し、打撃フォームを大幅改造した西川
特に印象的だったのが、今季から古巣復帰を果たした西川遥輝(はるき)だ。ここ数年不振だったが、スイングを大きく改造。テイクバックが変わってフォロースルーが大きくなり、飛距離のあるフライを打てるようになった。日本ハム野手陣に足りなかった四球を選ぶ能力やベテランとしての経験だけではなく、打線のスパイスとなる可能性を感じさせた。
そして、今季初の対外試合となった阪神との練習試合で「4番・中堅」として先発したドラフト2位ルーキーのエドポロ ケインも良かった。雰囲気があり、スイング軌道も良い。構えもたたずまいもブラディミール・ゲレーロjr.(ブルージェイズ)のようで、これからが楽しみだ。
そのほかの野手陣では、スイングアークが大きく鋭い矢澤宏太、相変わらず迫力満点の打撃力を誇る水谷瞬が目を引いた。今季から背番号3を背負い、4番として期待される郡司裕也もケースに応じた打撃がしっかりできていた。

紅白戦では捕手から中堅へ守備位置変更した田宮
伏見が移籍した捕手陣では、正捕手として期待される田宮裕涼(ゆあ)が相変わらずの打撃センスを見せ、課題だったフレーミングもこのオフのトレーニングで克服してきたように見えた。配球やフレーミングをさらに強化すれば、リーグ屈指の捕手になれるだろう。さらに、紅白戦で途中から守備に就いたセンターの動きも非常に良かった。
守備力抜群で打撃が課題の進藤勇也もスイングが鋭くなってきている。経験と場数に秀でた伏見の移籍は痛手だが、十分に補えるだろう。ただ、捕手の層はやはり薄く、清水優心(ゆうし)や梅林優貴などの台頭にも期待したい。
一方、石井の移籍により、セカンドには吉田賢吾や野村佑希がコンバートで挑戦中。紅白戦では、このふたりを「6番・二塁」として紅白それぞれに振り分けるなど、競争意識を高めていた。
ただ、本職ではないだけにまだ慣れておらず、ポジショニングにも不安が残る。タッチや併殺を確実にこなすことも必要だが、一、二塁間が空きすぎると相手チームにも狙われるだろう。
シートノックは洗練されてきており、特に外野守備には新庄イズムが浸透してきた。しかし、内野守備はまだ粗さが目立ち、ここが日本ハムの課題となっている。
【初実戦でいきなりDOMⅠった達孝太】かつて天理高校時代に拙著『ピッチングデザイン』(集英社)を読んで調子を立て直し、データ野球の入り口に立ったという達孝太に話を聞かせてもらった。
インタビューの翌日、今季初の対外試合の阪神戦で先発した達は、2者連続三振など圧巻の投球を披露。8勝を挙げた昨季よりもワンランク以上はレベルが上がっていた。まさに、日本ハムの今季チームスローガンである「DOMⅠ(ドミ)れ!」を体現する、圧倒的かつ支配的な投球だった。

清宮幸選手会長考案の今季スローガン「DOMⅠれ!」
194㎝、101㎏のサイズも相まって、メジャーリーガーのような球の強度を誇り、伝家の宝刀であるスプリットのキレは相変わらず威力抜群。さらにストレートの強度も上がり、スラッターとスイーパー、カーブを使い分けられるようになった。
阪神戦では、ストレートで前川右京や佐藤輝明を圧倒しただけでなく、右打者へのスライダー系のバリエーションも増えていることが確認できた。今季はエース伊藤や有原、北山亘基(こうき)らチームメイトと投手タイトルを争うことになりそうで非常にうれしい。

昨季リーグ2位の防御率1.63を記録した北山
今季から選手会長に就任し、攻守で気合い十分の清宮幸
日本ハムは圧倒的な力を持つ分厚い投手陣だけでなく、野手陣も着実に力をつけてきた。最後の鍵はコンバート組を含めた内野守備の安定と、清宮幸太郎、野村、万波中正(ちゅうせい)らがファンの期待どおりに真の主軸としてひと皮むけるかどうか。
素材とポテンシャルは誰もが認めるだけに、彼らが本当の意味で打線の柱となり、細かい野球を身につけることができれば、新庄監督の胴上げが現実味を帯びてくる。
取材・文/お股ニキ 撮影/照屋恵太 週刊プレイボーイ編集部(球場外観、投手陣)
記事提供元:週プレNEWS
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