ダイハツ初の量産EVは「軽バン」だった e-ハイゼット カーゴ&e-アトレー登場
イチオシスト
ダイハツ工業株式会社は、軽商用車の「ハイゼット カーゴ」と「アトレー」をベース車とした、ダイハツで初めてとなる量産BEV(バッテリーEV)車両のe-ハイゼット カーゴ/e-アトレーを2月2日から全国一斉に発売した。

ダイハツがついに本格的な量産EVを投入する。しかもその第一弾として選ばれたのは、スポーツカーでもSUVでもなく、軽商用バン「e-ハイゼット カーゴ」と「e-アトレー」だ。
一見すると渋い選択に見えるが、実はここにこそダイハツらしいEV戦略と、これからのクルマ社会のヒントが詰まっている。
新型e-ハイゼット カーゴ/e-アトレーは、既存の軽商用車をベースにしたダイハツ初の量産BEV(電気自動車)。搭載されるのは、軽自動車向けに新開発されたBEVシステム「e-SMART ELECTRIC」だ。
- バッテリー容量:36.6kWh
- 駆動方式:後輪駆動(RR)
- 航続距離:WLTCモード 約257km
EV化で気になるのが、積載性や室内空間への影響だが、e-ハイゼット カーゴ/e-アトレーでは床下にバッテリーを配置することで、従来モデルと同等の荷室スペースを確保。
つまり、「EVになったから使いにくい」という心配はほぼ不要。見た目も使い勝手も、基本は“いつものハイゼット/アトレー”だ。
一般ユーザー目線で特に面白いのが、外部給電機能で、AC100V・最大1500Wの外部給電を全車標準装備している。
これは業務用途だけでなく、キャンプや車中泊、屋外撮影やイベント、災害時の非常用電源といった様々なシーンでも活躍する。エンジン音のない静かな軽バンが、“走る電源”になるというのは、EVならではの魅力だ。
もうひとつ注目したいのが「e-アトレー RS」の存在。こちらは商用色の強いハイゼット カーゴに対し、内装や装備が充実したモデルだ。
価格は約346万円と決して安くはないが、静粛性の高いEVに広い室内空間と給電機能付きという要素を考えると、趣味性の高い軽EVワゴンとして見ることもできる。「家族の足」というよりは、“クルマ好きのセカンドカー”として刺さる人もいそうだ。
EVというと、どうしてもセダンやSUVといった乗用車のイメージが先行しがちだ。しかし実際には、短距離移動が中心で走行ルートもある程度決まっており、しかも高い稼働率が求められる商用車こそ、EVの特性と相性がいい存在だ。
ダイハツが最初の量産EVとして軽バンを選んだのは、決して偶然ではない。航続距離に過度なスペックを求めなくても実用が成立し、モーター駆動の静粛性や扱いやすさといったEVならではのメリットを、日常の中で最も自然に活かせるカテゴリーだからだ。加えて、日本独自の軽自動車文化とも無理なく噛み合う点も見逃せない。
派手なインパクトこそないが、「EVはこうやって、静かに生活に入り込んでいくのかもしれない」。e-ハイゼット カーゴ/e-アトレーは、そんな未来をリアルに想像させてくれる一台と言える。

e-ハイゼット カーゴ/e-アトレーは、スペック競争やデザインの派手さで語られるタイプのクルマではない。速さや見た目のインパクトを求める人にとっては、正直なところ目立たない存在だろう。
それでも、モーターならではの滑らかな走り、軽バンとして完成度の高い実用性、そして日本の道路環境にぴったり収まるサイズ感を考えると、このモデルは“これからのEV時代”を静かに象徴する一台にも思えてくる。
クルマ好きならぜひ一度、「もし軽バンがEVだったらどうなるのか?」という視点で、このe-ハイゼット カーゴ/e-アトレーを見直してみてほしい。派手さの裏側に、意外と本質的な面白さが隠れている。
記事提供元:CARPRIME[カープライム]
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