感染者の治療に励む医師VSカルト集団の教祖 人類の狂気はどこまで続くのか? 『28年後... 白骨の神殿』
イチオシスト
飯塚克味のホラー道 第144回『28年後... 白骨の神殿』
昨年、『28年後...』として新たな幕を開けた『28日後』シリーズ。全米では興行収入7000万ドルを超え、世界トータルでは1億5000万ドルという大成功となった。すでに製作に入っていた続編が完成し、日米公開というファンにとっては嬉しいタイミングでの公開となる。
前作で死者を弔う何万人もの人骨を使った白骨のタワーをいくつも建てていたドクター・ケルソン。ヨウ素を全身に塗ることで感染者の襲撃をかわしてきた彼だが、ついに凶暴な感染者の治療法を見つけ、屈強な肉体を持つサムソンでそれを証明する。一方、前作のオープニングで「テレタビーズ」を見ていた子どもが成長し、ラストでカルト集団を結成していたジミー・クリスタルが、その仲間と共にケルソンに近づいていく。
話の内容としてはこんな感じなのだが、今回も圧倒的なホラー・アクション・サバイバル映画の上に、他の要素をいくつも上乗せしてくれ、シリーズファンを満足させてくれる出来となっていた。出演はケルソンにレイフ・ファインズ、ジミーをジャック・オコンネル、サムソン役をチ・ルイス・パリーが引き続き演じ、シリーズ物ならではの安定感を生み出している。
前作の監督ダニー・ボイルは製作に回り、脚本はアレックス・ガーランドがそのまま担当。新たな監督に就任したのはリブート版の『キャンディマン』(2021)や『マーベルズ』(2023)のニア・ダコスタだ。マーベル映画を史上最年少で監督したものの、その評価と興行収入は記録的なまでに不評だったが、本作ではそんな過去を物ともしない人間同士のドラマを丁寧に紡いで、完全復活を遂げている。
感染者の襲撃以上に、人間同士の争いがメインとなる本作は、ジョージ・A・ロメロ監督の『死霊のえじき』(1985)を思わせる。あの作品でもバブというゾンビが人間だった時の記憶を取り戻し、最後には非業の死を遂げる博士の復讐までやり遂げたが、今回、サムソンという感染者が、ケルソンと交流を深めていく。両者のやり取りは、シリーズファンには非常に興味深く、どうなっていくのか目が離せない。
また、未成年を次々と仲間に取り入れ、平和に暮らしている人々を襲撃し続けるジミーも憎々しさたっぷりで、もし世界が崩壊したら、こんな人間がリーダーになっていくのではないかと不安と真実味が入り混じった気持ちにさせてくれる。
かなり陰鬱な展開が用意されている本作だが、一方でユーモアもしっかり込められている。そのひとつが音楽の使い方だ。普段はデュラン・デュランを聴いているケルトン医師が、ジミーたちと接点を持つ時に、かなりハードな音楽を流すのだが、ここはかなり笑ってしまいそうになる場面なので、期待しておいてほしい。
また、すでに発表されている更なるシリーズ作にキリアン・マーフィーの出演もアナウンスされているが、本作にはラストにお楽しみ映像が用意されているので、そちらもどういう内容なのか、是非とも見逃さないでもらいたい。新たな三部作として始まった『28年後...』、次なる展開を楽しむためにも、本作をスクリーンで目に焼き付けておくべきだろう。
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飯塚克味(いいづかかつみ)
番組ディレクター・映画&DVDライター
1985年、大学1年生の時に出会った東京国際ファンタスティック映画祭に感化され、2回目からは記録ビデオスタッフとして映画祭に参加。その後、ドキュメンタリー制作会社勤務などを経て、WOWOWの『最新映画情報 週刊Hollywood Express』の演出を担当した。またホームシアター愛好家でもあり、映画ソフトの紹介記事も多数執筆。『週刊SPA!』ではDVDの特典紹介を担当していた。現在は『DVD&動画配信でーた』に毎月執筆中。TBSラジオの『アフター6ジャンクション』にも不定期で出演し、お勧めの映像ソフトの紹介をしている。
【作品情報】
28年後... 白骨の神殿
2026年1月16日(金)全国の映画館で公開
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
記事提供元:映画スクエア
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
