侍ジャパンWBC連覇のカギは「ドジャース上位互換打線」&「極限継投」だ!!!
イチオシスト

前回大会では決勝でアメリカを下し、3大会ぶりに世界一を奪還した侍ジャパン
今年3月開催のWBCで連覇を目指す侍ジャパン。アメリカやドミニカ共和国などの強敵を分析し、世界一への"必勝プラン"を徹底解説する!
※データは2025年12月24日時点
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【「歴代最強」へ! 軸となる選手は?】今年3月開催のWBC。昨年末には井端弘和監督が会見を開き、大谷翔平(ドジャース)、菊池雄星(エンゼルス)、松井裕樹(パドレス)、大勢(巨人)、伊藤大海(日本ハム)、種市篤暉(ロッテ)、平良海馬(西武)、石井大智(阪神)の8投手が侍ジャパンに内定したことを先行発表した。
連覇を狙う侍ジャパンへの期待がますます高まっているが、最終的にどのような陣容になりそうか?
「大事なのは今の実力がどうか。そして、投手、野手ともにさまざまな状況に対応できる柔軟性、ユーティリティ性が求められます」
こう語るのは、『週刊プレイボーイ』本誌おなじみの野球評論家・お股ニキ氏。現役投手を指導するピッチングデザイナーで、MLBにも精通する識者が選ぶ「最強の侍ジャパン」構想について、各ポジションの軸となる選手を中心に考察していきたい。
「大谷、山本由伸(ドジャース)と共に先発に選びたかったのは、昨季の日本球界で別格の投球を見せた今井達也(アストロズ)ですが、本人がWBC不参加を表明。菅野智之(オリオールズFA)には、前回大会のダルビッシュ有(パドレス)のようにメンター役としても期待しています」
ロングリリーフを務めることもある第2先発。本来なら昨季リリーバーを経験した佐々木朗希(ドジャース)を招集したいところだが、球団が出場に難色を示している。そこで軸となるのが伊藤大海(日本ハム)だ。
「前回大会を経験している宮城大弥(オリックス)や髙橋宏斗(中日)、球の質でいえば山下舜平大(オリックス)も魅力的ですが、伊藤は1球目から100%の出力で投げられるのが強み。東京五輪や前回WBCでも中継ぎとして無失点を記録。実績も十分です」
リリーフの軸となるのは?
「国際大会に限らず、短期決戦のリリーフに求められるのは『間違えないこと』。その点において、今の日本球界で群を抜くのが石井大智(阪神)、島内颯太郎(広島)、杉山一樹(ソフトバンク)。この3人がいれば安心です」
捕手候補の3人は「誰が出てもオススメ」と太鼓判を押す。
「主戦捕手として期待したいのは若月健矢(オリックス)と坂本誠志郎(阪神)。第3捕手に郡司裕也(日本ハム)がいれば、捕手としての出番は少なくともファーストもサードも守れて、代打起用もできる。これ以上ない使い勝手の良さがあります」
内野手のレギュラー候補に挙げるのは誰か?
「一塁に岡本和真(ブルージェイズ)、二塁に牧原大成(ソフトバンク)、三塁に佐藤輝明(阪神)、ショートは野村 勇(ソフトバンク)。どの選手も複数ポジションに対応できるのが強み。試合終盤は源田壮亮(西武)ら、『勝つための野球』を知るベテランも配置したいです」
外野手にも隙はない。
「鈴木誠也(カブス)を軸にしつつ、スプリットやスイーパーを攻略できるスイング軌道の森下翔太(阪神)は国際大会向き。打撃技術の高い吉田正尚(レッドソックス)と近藤健介(ソフトバンク)はどちらでも申し分なし。周東佑京(ソフトバンク)は守備固めや代走でも世界にインパクトを残せる選手です」

栗山英樹氏の後任として2年前に就任した井端弘和監督。連覇へ向け、タクトを振る
このメンバーの招集がかなえば、まさにドリームチーム。では、歴代の代表チームと比べるとどの程度の強さか?
「振り返ると、連覇した2006年、09年のチームは相当すごいです。『国際大会の戦い方』や『タレント性』では06年が秀でていますが、09年はさらに『完成度』が高まった。
特に投手陣は松坂大輔(当時レッドソックス)、岩隈久志(当時楽天)、ダルビッシュ(当時日本ハム)と、後にMLBでも活躍する投手がそろっていました。ところが、2010年代は日本野球の低迷期に。WBCでも13年、17年は結果を残せませんでした」
そこから奮起し、再び世界一に輝いたのが23年の代表チームだった。
「選手の能力、層の厚さ、現代野球への適応も含めると、23年が最強。完成度も09年に引けを取りません。今回はその最強チームに匹敵する顔ぶれがそろう可能性が高い。あとは、前回大会同様、戦いながら選手の好不調を見極め、チームとして成熟できるかだと思います」
【要注意のドミニカ共和国、夢の対決アメリカ】今回のWBC1次ラウンドで日本はプールCに入り、オーストラリア、韓国、チェコ、台湾と東京ドームで戦う。ライバル韓国とは昨年11月に2連戦を行ない、1勝1分けの成績だった。
「2連勝できなかったことを受け、不安視する声もあるようですが、日本のメンバーに辞退者が続出した点も考慮したほうがいい。ベスト布陣なら、東京ラウンドは問題なく1位通過できるはずです」
プールCを1位通過した場合、アメリカ開催の準々決勝で当たるのはプールD(ベネズエラ、ドミニカ共和国、オランダ、イスラエル、ニカラグア)の2位。2位通過だった場合は1位との対戦となる。いずれにせよ、メジャーのスター選手が続々参戦を表明しているベネズエラかドミニカ共和国が有力だ。
「ホセ・アルトゥーベ(アストロズ)やロナルド・アクーニャJr.(ブレーブス)の参加が決まっているベネズエラも強敵ですが、さらにすごいのがドミニカ。勝ち進む上では当たりたくないですが、イチ野球ファンとしては最強メンバーの日本と本気のドミニカの対戦を見てみたいです」
実際、ドミニカ代表にはワールドシリーズでドジャースを苦しめたブラディミール・ゲレーロJr.(ブルージェイズ)を筆頭にスター選手がズラリ。
サイ・ヤング賞投手のサンディ・アルカンタラ(マーリンズ)、大谷とMVPを争った外野手のフアン・ソト(メッツ)、攻守に優れるマニー・マチャド(パドレス)やエリー・デラクルーズ(レッズ)らが名を連ねる。
「ドミニカの投手は160キロ前後の力強い球に加え、落ち球を操る手ごわいタイプが多く、野手も世界トップ級ばかり。ただ、チーム内のいざこざで空中分解しがち。
第3回WBCで優勝したようにハマったら相当強いですが、前回も前々回もベスト4に残らないなど、実力を発揮できるかが未知数。今回も実力は申し分ないのに、序盤でつまずいて2位通過してくる可能性は十分あります」
準決勝に勝ち上がれば、別の山から勝ち上がってきそうなのは、プールAのプエルトリコかキューバ、プールBのアメリカかメキシコだ。
「準決勝か決勝か、当然、アメリカとの対戦は全野球ファンが求めています。アーロン・ジャッジ(ヤンキース)と大谷によるMVP対決。サイ・ヤング賞投手ポール・スキーンズ(パイレーツ)、タリク・スクーバル(タイガース)と山本の投げ合い、そして大谷との対戦。
本塁打王カイル・シュワーバー(フィリーズ)、カル・ローリー(マリナーズ)と大谷の打ち合い、そして日本の投手陣がどう抑えるのか......。ひとつの試合で無数の楽しみがあります」
【これが必勝プランだ!】アメリカで行なわれる準々決勝以降は野球の質が一段階上がる、と語るお股ニキ氏。そのハイレベルな決戦で有効な戦い方は?
「大谷という最高のピースをどう生かすか。参考になるのは昨季のドジャースの戦い方です。例えば、大谷を1番打者に据えるなら、2番以降に右打者の森下や鈴木を並べたい。単に左右のジグザグ打線にしたいわけではなく、相手が大谷対策で左腕をぶつけてきたり、大谷を歩かせたりした場面こそ重要だからです。
昨季のドジャースはポストシーズンで、大谷の後ろの打者が相手左腕や、相手の勝負球である落ちる変化球をスイング軌道にきっちり合わせてとらえていました。勝負強さと対応力を併せ持つウィル・スミスの役割を森下が担うことで、ドジャースのような厚みのある攻撃が可能になるのです。
同様に、吉田と近藤は一撃必殺の打撃ができるフレディ・フリーマン、岡本は一発も期待できるテオスカー・ヘルナンデスのイメージ。今世紀初のワールドシリーズ連覇を達成したドジャース打線がひな型になります」
さらに、下位打線が機能すれば、「ドジャース上位互換打線」にもなりうるという。
「昨季のドジャースは下位打線がなかなか打てず、チャンスが広がらない場面も多かった。ただ、日本のこのメンツならば、6番の佐藤、7番の牧原か小園海斗(広島)、8番の若月か坂本、9番の野村か源田がうまく機能すれば、大谷にチャンスで回るケースも増える。ドジャース以上の『世界最高の打線』になりうる可能性を秘めています」
一方、投手起用ではどんなアイデアが必要になるのか?
「WBC特有の球数制限、春先の調整段階であることを考えれば、先発投手は4回途中前後で降板する可能性もある。そこですぐに第2先発を投入するのではなく、ピンチの場面であれば、石井や島内を火消し役として登板させるなど、スパッと切り替える。
そして、回またぎをさせず、次のイニング頭から第2先発を投入。終盤からはリリーフタイプをイニングごとに切り替えていくのが理想です」

「先発降板後、すぐに第2先発を投入するのではなく、ピンチの場面であれば、石井や島内を火消し役として登板させるなど、スパッと切り替えたい」(お股ニキ氏)

投手の心理的、肉体的負担を減らすためにも、回またぎはなるべく避けたいという。
「火消しからの回またぎは、投手運用の中で特に負担が大きい起用法です。その難しい役回りを普段先発している投手に任せるのはあまりに酷。山本はワールドシリーズ第7戦の極限状態でそれをやってのけましたが、あれはリリーフ経験と実力のたまものです」
ちなみに、前回大会のアメリカとの決勝では、5回以降ひとり1イニングずつリリーフを登板させる「極限継投」も話題になった。
「今回も最終的には同じような継投策になる可能性は高い。開幕前という時期的な問題もあり、投手の負担を軽減したいという意味もありますが、周回効果(対戦回数が増えるにつれて打者が投手の球筋や配球に慣れ、打ちやすくなる現象)を避ける意味でもイニング別継投は有効です」
決戦まであと2ヵ月。野球人気の浮沈にも関わるだけに、今後発表される侍メンバーの奮起と、日本野球の結実を大いに期待したい。
文/オグマナオト 写真/時事通信社
記事提供元:週プレNEWS
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