「冬の間にこれだけでOK!」理学療法士が教える、登山がラクになる“たった3つ”の簡単トレーニング
本記事では、理学療法士が登山に必要な筋力・持久力・バランス感覚・柔軟性を効率よく整える簡単トレーニングを紹介。自宅や近所ででき、道具不要・1回15~20分。冬の間に無理なく始めて、次の山をもっとラクに楽しみましょう。
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イチオシスト
登山中に「体力不足」を感じたことがある登山者は75%以上!

「なんだかすぐに息が上がる……」
「下山中に足がガクガクする……」
登山中、こんな感覚を覚えたことはありませんか。
YAMA HACK読者のみなさんにアンケートをとったところ、約75%以上が“体力不足を感じた経験がある”と回答しています。しかもこれは、初心者や高齢者に限った話ではありません。

以前は余裕だった山がつらく感じる、下山後に膝が痛い、翌日は動くのがつらいほどの筋肉痛……。こうした違和感は、年齢や気合いの問題でなく、身体の使い方や準備不足が原因になっているケースがほとんどです。
登山は「筋力×持久力×バランス×柔軟性」の総合スポーツ!

登山は“ただ歩くだけ”と思われがちですが、実はかなりの総合スポーツ。
「体力」が必要なのは言わずもがな、そもそも体力は身体活動を行う能力に関連するいくつかの要素から構成されており、登山においてとくに重要なのが次の4つです。
-
筋力
登り下りの衝撃を受け止める力 -
持久力(筋持久力・心肺持久力)
長時間動き続けるためのスタミナ -
バランス感覚(平衡性)
不安定な足場で体勢を保つ力 -
柔軟性
動きをスムーズにし、ケガを防ぐための余白
重い荷物を背負って不整地で登り下りを続けるためには、どれか1つが欠けても「疲れやすい」「転びやすい」「痛みが出る」といったトラブルにつながります。
だからこそ総合的に鍛えることが必要。逆に言えば、この4つを少しずつ整えるだけで、登山の快適さは大きく変わるんです。
コレだけやっとこ!理学療法士直伝「登山の体力づくり」簡単トレーニング
そこで今回は、「筋力」「持久力」「バランス感覚」の底上げにおすすめのトレーニングと、「柔軟性」を高めるストレッチを、理学療法士であり整体師でもある、『理学ボディ』の藤田 史弥さんに教えてもらいました。

紹介するトレーニングは、いずれも自宅や近所ででき、道具はほぼ不要。1回15~20分と手軽に行えるものです。一見、地味な動きですが、継続することで大きな効果に繋がります。
筋力強化 ― 下山で膝が笑わない脚をつくる

筋力の強化におすすめなのは「スプリットスクワット」。下山時にブレーキ役として最も酷使される、太ももの前側(大腿四頭筋)を鍛えるトレーニングです。
加えて補助筋であるおしりや体幹もまとめて強化できるのがメリット。膝だけに頼らない脚づくりを目指します。
こんな人におすすめ
- 下りで膝が笑ってしまう
- 段差の昇り降りがつらい
- 岩場で一歩が出ない
「スプリントスクワット」のやり方

- 脚を前後に開いて立つ
(体重は、前足7:後ろ足3くらい) - 背筋を伸ばしたまま、ゆっくりと腰を落とす
(前足の膝が、つま先より極端に前へ出ない範囲で) - 前足で床を押して、元の姿勢に戻る
ー 藤田さん ー
故障を防ぐため、膝が内側に入らないよう、つま先と同じ向きを意識するのがポイントです。
前に出している足のもも前と、上がる瞬間におしりを使っている感覚があればOK。慣れてきたら大きく腰を落とすとより鍛えられます。痛みがあれば無理をせず、中止も検討しましょう。
「スプリントスクワット」は脚を前後に開いて上下に動くので、実はバランス感覚も鍛えられるんです。目をつぶって行うと、さらに強化できます。
持久力強化 ― 休憩だらけの登山を卒業!

持久力の強化におすすめなのは「坂道/階段インターバルウォーク」。息切れしにくく、長時間動き続けられる体をつくるトレーニングです。
心肺機能+脚の筋持久力をまとめて鍛えられるのがメリット。登山に近い動きができる、近所の坂道や階段で行います。なければ平地でも構いません。
こんな人におすすめ
- 登りで息が上がりやすい
- 後半に一気にペースダウンする
- 荷物の重さに長時間耐えられない
「坂道/階段インターバルウォーク」のやり方

- “やや息が弾む”速さで階段または坂道を2~3分上る
- ゆっくり下り、2~3分休憩する
- ①②を繰り返し、合計20~30分行う
(最初は10~15分でもOK)
ー 藤田さん ー
スピードを出すのは上りだけ、下りは膝を壊しやすいのでゆっくりと歩きます。
強度の目安は、「少しきつい」と「ラク」の間を行き来する感覚で。いきなり全力で頑張らず、徐々にペースを掴みましょう。
持久力を高めるには“頻度”が大事。週2~3回続けると、変化を感じやすくなります。持病がある場合は、事前に医師に相談してください。
バランス感覚強化 ― つまづき事故を減らす“踏ん張る力”

バランス感覚(平衡性)の強化におすすめなのは「リュックを背負って片脚バランス」。ふらつかずに踏ん張る力を高め、荷物を背負った状態での重心コントロールを鍛えるトレーニングです。
バランスを維持するために重要な役割を果たしている“感覚器”は3つあります。もっとも大きな情報源の「視覚(7割)」、身体の姿勢や動きを全身の受容器で感知する「体勢感覚(2割)」、体の回転や平衡感覚を感知する内耳にある三半規管の「前庭感覚(1割)」です。
高齢になるほど鈍くなる、これらの傾きを感知するセンサーを刺激し、バランス感覚を体に覚えこませていきます。
こんな人におすすめ
- 下山時によくふらつく
- トレッキングポールに頼りきりになる
- つまずくことが多い
「リュックを背負って片脚バランス」のやり方

- 軽めのリュックを背負う
(2~3kg程度から) - 壁やイスの近くで、片脚で立つ
(脚は軽く上げる程度でOK) - 体勢を整えたら、両手を前で組む
- 上半身だけをゆっくり左右にひねる
- 片脚20~30秒キープを、左右3セット行う
ー 藤田さん ー
足の指で床を“掴む”イメージで行うのがポイント。親指から小指まで、体重を足裏全体に均等に乗せるように意識してみましょう。
不安があれば、指先で壁に触れながらでOK。無理に長くキープせず、グラつく前に一度脚を下ろします。この一連の動きを繰り返し、体に覚えこませることで、「ふらついたときに足を出す」という感覚を鍛える練習にもなるんです。
上級者は目をつぶって行うと、さらに鍛えられます。
柔軟性強化 ― 身体を守る“動ける余白”をつくる

柔軟性強化におすすめなのは「おしり・もも・ふくらはぎのストレッチ」。
身体が硬いと可動域が狭くなり、無理な姿勢で踏ん張ったり、特定の部位に負担が集中してしまうことも。関節や筋肉がスムーズに連動する柔軟性があると、「ちょっと姿勢を変える」「一歩を微調整する」といった動きが自然にできるようになり、転倒や怪我の予防につながります。
まずは、今回紹介した「筋力」「持久力」「バランス感覚」を鍛えるとレーニングの前後に、以下のストレッチを取り入れるだけでOK。ただし、トレーニング前後では、同じストレッチでもやり方を変えるのがポイントです。
ー 藤田さん ー
トレーニング前のストレッチはサッと短くでOK
筋肉はゴムのように伸び縮みし、運動中の主な役割は「縮むこと」です。運動前に長時間、引っ張ったままキープしてしまうと、筋肉がダルっと伸びきり、いざ動こうとしたときに力が入りにくくなることがあります。
そのため、運動前は2分以上伸ばしっぱなしにしないのが大切。目安は、「30秒ほど伸ばしてやめる」くらいで十分です。
ー 藤田さん ー
トレーニング後のストレッチはじっくり長くが◎
一方、運動後の筋肉は、縮む動きをたくさん繰り返した状態になっています。 そのまま放っておくと、縮んだ状態のまま固まり、いわゆる身体が硬い状態に。これが続くと、柔軟性は少しずつ失われていきます。
だからこそ、運動後はしっかり伸ばすことが大切。目安は1〜2分程度、気持ちよく感じるところまで伸ばしてあげましょう。
「もも前」のストレッチのやり方

- 右脚を後ろに曲げて、右手で足を持つ
(左手は壁などにつけてバランスをとる) - 膝が太ももより前に出ないようにし、太ももの前側を伸ばす
(脚を後ろに引くほど、よく伸びる) - 左脚も同様に行う
トレーニング前:30秒×3セット
トレーニング後:1~2分程度
「もも裏&おしり」のストレッチのやり方

- 前屈をし、手で脚を掴む
- 体を上下に揺らし、もも裏とおしりを伸ばす
- 一度起き上がり、再び同じ動きをする
(繰り返すことで、どんどん前屈が深くなる)
トレーニング前:20秒×3セット
トレーニング後:1~2分程度
「ふくらはぎ」のストレッチのやり方

- 縁石や段差に、右足の指の付け根あたりまでを乗せる
- 左足は右足の前に出し、上半身を真っ直ぐ起こして、右ふくらはぎを伸ばす
(難しい場合は左足を真横に置き、徐々に前へ) - 足を入れ替えて、左ふくらはぎも同様に伸ばす
トレーニング前:30秒×3セット
トレーニング後:1~2分程度
今日からちょこっとでOK!

「全部やらなきゃ」と思う必要はありません。大切なのは、できることを少しずつ。まずは、最も強化したい“体力”のトレーニングからでOKです。それだけでも、次の登山で「前より楽かも」「下山が怖くなかった」と感じられるはず。
体力づくりは登山を“頑張るため”ではなく、長く楽しむための準備。万全に整えることで自信や安心感が生まれ、登山当日の集中力アップにもつながります。無理なく、気負わず、今日から一歩始めてみてください。
続けるためのコツと安全のポイント
- 頻度の目安
- 週2~3回
- 1回15~20分で十分
- 「継続」が一番大事
- 負荷の目安
- 「翌日少し重いかな?」程度
- 強い痛みや違和感が出たら中止
- 筋肉痛なら2~3日休む
- 無理をしない
- 体調が悪いときは休む
- 持病がある場合は、医師・専門家に相談する
取材協力:株式会社理学ボディ
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記事提供元:YAMA HACK
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