被害額1,096.7億円…特殊詐欺が過去最悪に　急増する「複合型詐欺」三大手口とは

年々増加傾向にある特殊詐欺。警視庁の「特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について」によると、2025年10月末時点の被害額は1,096.7億円に達し過去最悪を記録した。手口は年々複雑化・巧妙化しており、特に今年は電話だけで完結しない「複合型詐欺」が増加。現在のトレンドとなっている手口は大きく3つある。今回はトビラシステムズが発表した「特殊詐欺・トレンド詐欺手口レポート2025」をもとに紹介しよう。

ニセ警察詐欺、国際電話や偽装番号のなりすましで高度化

2025年に最も流行した特殊詐欺の手口の一つが、「ニセ警察詐欺」だ。警察官を名乗る人物から電話があり、「あなたに犯罪の容疑がかかっている」「捜査に協力を」などと不安をあおり金銭をだまし取る手口。かつて主流だった子や孫を装うオレオレ詐欺に代わり、現在は警察官をかたる手口が増加している。電話やメッセージアプリ、事情聴取としてビデオ通話を求め、接触後はインターネットバンキングによる送金を行わせるなど、犯行がスマホで完結するため、スマホ操作に慣れた20～30代の若年層が狙われやすい。

また、ニセ警察詐欺の犯行に利用される電話番号は国際電話番号が多く、「+1」で始まる電話番号や、日本の警察署の番号に見せかけるため番号の末尾を「0110」に偽装したケースも確認されているという。さらに実在する電話番号になりすますスプーフィングも用いられ、不審な着信を見抜くことが難しくなっている。

SNSを利用した詐欺が急増中

2つ目に紹介するのはSNS型投資詐欺とSNS型ロマンス詐欺だ。SNS型投資詐欺は、投資に関する偽のインターネット広告を入り口にLINEなどの投資グループへ誘導する手口だ。架空の株式投資や暗号資産取引などを持ち掛け、投資金や出金手数料などの名目で、金銭をだまし取る。LINEグループ内には、投資の指南役や多数のサクラが登場し、最近では生成AIによるディープフェイクを使って、著名人が投資を勧めているように見せたりすることもあるようだ。

一方、SNS型ロマンス詐欺は、SNSやマッチングアプリでの出会いをきっかけに行われる。甘い言葉で恋愛感情を抱かせ、ディープフェイクを用いた画像やビデオ通話で信頼関係を築き、金銭をだまし取るケースも確認されている。

ボイスフィッシングも手口がハイブリッド化

最後に紹介するのは、ボイスフィッシングだ。金融機関や宅配事業者を名乗る自動音声電話を入り口に、メールやSMSで偽サイトへ誘導し、個人情報を盗み取る手口である。近年は、電話・メール・偽サイトを組み合わせた複合的な手法によって被害が拡大している。特に、地方銀行をかたって法人を狙うケースが各地で増加している。

こうした手口を踏まえ、これから迎える年末年始に向けては、家族への注意喚起や対策方法の見直しを行うことが重要だ。

出典:【トビラシステムズ株式会社】

※サムネイル画像（Image:Shutterstock.com）