AKB48を20年間見続けた記者がふり返る、20周年記念コンサートレポ「183人で見せたいままでと、ここから」

12月7日（日）、AKB48が「AKB48 20th Year Live Tour 2025 ～あの頃、青春でした。これから、青春です～ 20周年記念コンサート Part3」を開催。日本武道館で4日間6公演にわたって行われたコンサートの千秋楽はレジェンド高橋みなみ、小嶋陽菜、篠田麻里子らに加えて、ついに前田敦子、大島優子の"あつゆう"がそろい踏み！　現役メンバー48人、そしてOGメンバー135人の合計183人で満員のファンを熱狂の渦に巻き込んだ。

1曲目、シルエットが浮かび上がるといきなり大歓声、前田敦子の登場だ。ソロで『桜の木になろう』を歌い始める。続いて高橋みなみ、板野友美、篠田麻里子、峯岸みなみ、小嶋陽菜とメンバーが出るたびにどよめきが起こる。そこに柏木由紀、指原莉乃らが加わり『フライングゲット』。そして現役全メンバーも登場し、AKB48が20年前に初めてファンの前で披露した『PARTYが始まるよ』を歌い上げる。続いて今や女優として大活躍の野呂佳代がセンターに立ち、『会いたかった』。始まって4曲でもうお腹いっぱいだ。

ユニットパートはレジェンドと現役による組み合わせ。『ツンデレ!』は板野に小栗有以と倉野尾成美が、『アボカドじゃね～し...』は指原に佐藤綺星など、この日来れなかったメンバーも想像させるような人選だ。ひときわ大きな歓声が起こったのが大島優子の登場。会場をゆっくりと見渡し、『泣きながら微笑んで』を歌う。女優として磨かれた表現力でさらにパワーアップした姿を見せてくれた。

続いてはチームごとのパフォーマンス。現在のAKB48はチーム制を廃止してしまったが、AKB48といえばチーム同士の切磋琢磨が魅力でもあった。大島、秋元才加、宮澤佐江らのチームKは『転がる石になれ』でファンの拳を突き上げさせる。峯岸、岡田奈々らのチーム4は元気いっぱいの『LOVE修行』。柏木、平嶋夏海らチームBは今なおファンから大人気の『初日』を歌う。そして前田、高橋、小嶋、篠田らによるチームAは『Pioneer』。オリジナルメンバーに現役メンバーが加わって、チーム魂の継承だ。

そこから"ポニシュ""エビカツ""大声"略称すら一般用語になっていたほどのヒットメドレーを、ほぼオリジナルメンバーでお届け。イントロがかかるたびに歓声があがっていたこともお伝えしておきたい。そんなヒットメドレーのラストは『ヘビーローテション』。センター大島の「１、２、１、２、３、４」の掛け声でボルテージは最高潮。「いつも聴いてた」と"あつゆう"が同じマイクで歌うシーンはカップリング好きファン絶叫！

アンコールはレジェンドメンバーも参加した最新の66枚目シングル『Oh my pumpkin!』、さらに『十年桜』。

この20周年イヤーにあたって「AKB48 20周年応援総団長」としてグループを盛り上げた高橋がコンサートをふり返る。「今日この場所に集まったのは、AKB48が私たちにとっての青春だからです。この景色が見れたことは当たり前ではなく、現役のメンバー、そしてファンの皆さんがAKB48を愛し、繋いできてくれたからだと思います！　卒業生を代表して感謝を伝えさせてください。ありがとうございます！」と、深々と頭を下げた。

高橋が前田に話をふると、いきなり涙。このコンサートに出るべきかずっと悩んでいたが、総合プロデューサーの秋元康から「今のAKBに力を貸してほしい」と連絡が来て、決心したのだそう。「よし、12月31日の紅白歌合戦まで頑張ろう。そこから先は現役メンバー頑張れってことで、OGは背中を押せたら」と、その思いを語った。

ラストはこの日、武道館に集まったメンバー、1期生から3日目に披露されたばかりの21期生、計183人が一緒になって『桜の花びらたち』を歌い、AKB48の20年という歴史をステージで見せてくれた。

全員が感動し、コンサート終了かと思いきや、Wアンコール。『緞帳を上げてくれ！』『次のSeason』と現役メンバーによるパフォーマンス。今回のコンサートでレジェンドたちのパワーを目にして、悔しさを感じることもあったと語る彼女たちが、持っているすべてぶつけたパフォーマンスは、初日からの成長を確実に感じさせるものだった。

ラストで倉野尾は「21年目以降は私たちの時代。第２期黄金時代を築いてきます！」と宣言。「ここにいるメンバー、ファンの皆さんと見たい景色がまだまだたくさんあります。東京ドームのステージに立てる日まで全力で頑張っていきたいと思いますので、これからも応援よろしくお願いします！」と、あいさつ。温かい拍手に包まれ、新公演曲『ここからだ』を歌って終了した。

過去最多のOG大集合となった今回の武道館コンサート。高橋みなみは相変わらずの暑苦しさだったし、板野友美はクールなままだったし、小嶋陽菜は脱力感があったし、大島優子は変幻自在のエンターテイナーだったし、島崎遥香は（スケジュールの都合だが）1曲だけで帰る塩対応だったし、柏木由紀や指原莉乃は先輩たちを前にしての後輩ムーブ。現在は皆それぞれの場所で確固たる地位を築いているが、この日だけは昔のままだった。「あの頃、青春でした。」のサブタイトルのように、あの場にいた全員が当時を思い出していた。

だが、「これから、青春です」という言葉もあったように、来年の2月25日には67枚目シングルを発売。加入2年目の19期生、伊藤百花がセンターに大抜擢された。さらに4月3～5日には代々木第一体育館でコンサートが開催される。かつて国民的アイドルグループと言われたAKB48の物語はまだまだ終わらない！

取材・文・撮影／関根弘康