相性最悪の二人はいかに名盤を完成させたのか?「エリス&トム ―ボサノヴァ名盤誕生秘話―」
イチオシスト
ブラジルの歌姫エリス・レジーナが、『イパネマの娘』で世界的名声を得ていたアントニオ・カルロス・ジョビン(トム・ジョビン)と作り上げたボサノヴァの名盤『Elis&Tom』。そのレコーディングで何があったのか──。ドキュメンタリー映画「エリス&トム ―ボサノヴァ名盤誕生秘話―」が、3月6日(金)より角川シネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMA、アップリンク吉祥寺ほか全国で順次公開。メインビジュアルと予告編が到着した。

1974年に軍事政権下のブラジルでポップスターだったエリスと、ボサノヴァの創始者で古き良き音楽を好んだトム。両者の相性は最悪で、エリスの当時の夫でアレンジャーだったセザル・カマルゴ・マリアーノとトムとの間にも亀裂が生じていく──。眠っていたアーカイブ映像を4Kレストアし、新たに関係者らの証言を加えて完成させた“名盤誕生秘話”に注目だ。
【エリス・レジーナ(1945-1982)】ポルト・アレグレ出身の歌手。10代の頃からラジオ番組で活動し、1965年に第1回ブラジル・ポピュラー音楽フェスティバルで優勝。“ハリケーン”の愛称で親しまれ、1960~70年代ブラジルの国民的スターだった。1982年に薬のオーバードーズとアルコール中毒により急逝。享年36。
【トム・ジョビン(アントニオ・カルロス・ジョビン)(1927-1994)】リオデジャネイロ出身の作曲家で、ボサノヴァの生みの親の一人とされている。ピアノ奏者として活動を始め、1959年に映画「黒いオルフェ」のサントラで注目され、1960年代に『イパネマの娘』の大ヒットで世界的スターとなる。エリスとデュエットした『三月の水』も人気曲。1994年に心臓発作で逝去。享年67。
【監督:ホベルト・ヂ・オリヴェイラ(1955-)】共同監督の一人。ショーやイベントのプロデューサーとしてキャリアをスタート。大学キャンパスでの公演システムを構築した人物で、仕事で出会ったエリスのマネージャーに。テレビ局へ移ってからは、ディレクターや番組編成のプロデューサーとして活躍している。本人も映画に登場し、当時のエリスの複雑な心境や混乱した現場について証言している。
https://www.youtube.com/watch?v=EXEDGbdMtNk
「エリス&トム ―ボサノヴァ名盤誕生秘話―」
監督:ホべルト・ヂ・オリヴェイラ、ジョム・トブ・アズレイ
インタビュー対象者:アンドレ・ミダニ、ホベルト・メネスカル、ホベルト・ヂ・オリヴェイラ、ネルソン・モッタ、ウェイン・ショーター、ロン・カーター、ジョン・パレーリーズ、ジョアン・マルセロ・ボスコリ、セザル・カマルゴ・マリアーノ、ベス・ジョビン、ウンベルト・ガティカ、エリオ・デルミーロ、パウロ・ブラガ
原題:Elis&Tom Só Tinha de Ser Com você
2022年/ブラジル/ポルトガル語・英語/100分
字幕:山口三平 ポルトガル語監修:Tatsuro Murakami
配給:ディスクユニオン
©O2 PRODUҪÕES ARTÍSTICAS E CINEMATOGRÁFICAS LTDA.
公式サイト:https://www.du-cinema.com/scmv08
記事提供元:キネマ旬報WEB
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