ドリームキャストで遊ぶのはすでに困難? 互換機が登場しない理由
イチオシスト
「セガハード」に対し、思い入れが強い方は多いでしょう。代表的なセガハードには、たとえば1988年発売のメガドライブや1994年発売のセガサターン、1998年発売のドリームキャストなどが挙げられます。

セガハードのタイトルは復刻が進んでいる一方、「ドリームキャスト」のみ復刻の動きが遅く、2025年現在では動作する中古本体の入手も難しくなっています。ただし、エミュレータ環境は大幅に改善されており、実機以外でのプレイ手段も充実してきています。
ドリームキャストで遊ぶのはすでに困難なのでしょうか。具体的に見ていきましょう。
「セガハード」の名作ゲームの例
メガドライブやセガサターン、ドリームキャストは、多くの名作ゲームが誕生したハードです。
たとえばメガドライブでは『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』シリーズや『シャイニング・フォース』、『ファンタシースター』などのゲームが人気を博しました。

そういった名作タイトルは、2019年に発売されたメガドライブの復刻版「メガドライブ ミニ」、2022年発売の「メガドライブ ミニ2」でプレイすることが可能です。つまり、2025年現在でもメガドライブは「メガドライブ ミニ」シリーズのおかげで、現在でも比較的遊びやすいセガハードと言えます。
「遊びづらい」セガハードの現状
2025年現在、遊びづらいセガハードには「セガサターン」「ドリームキャスト」が挙げられます。メガドライブのように復刻版のハードがこれらには存在しないためです。
このうちセガサターンはCD-ROM対応のレトロゲーム互換機「Polymega」で遊ぶことができるため、復刻版こそ存在しないものの互換機が存在しているとは言えます。
つまり本体の製造が終了して長い年月が経ち、復刻版ハードがなく、互換機もないという状態になっているのが「ドリームキャスト」の現状です。
そのため、たとえばドリームキャストの屈指の名作として知られる「シェンムーI&II」は長年にわたって遊びづらい状態が続きました。

同作は2018年にリマスター版がリリースされ、17年ぶりにプレイ可能になりました。当時、開発陣は復刻をあきらめかけていたと述べており、その後2019年には新作『シェンムーIII』も登場しました。
さらに2025年8月、『シェンムーIII エンハンスド』がPS5、Xbox Series X|S、PC(Steam、Epic Games)、および任天堂ハード向けに発表されました。グラフィック強化、4Kテクスチャ対応、DLSS/FSRサポート、NPC密度の増加、クラシックカメラモード追加などの改善が施されます。PS4/PC版所有者向けにはアップグレードパスも提供される予定です。
また、ドリームキャスト有数の名作RPG「エターナルアルカディア」は、2025年現在も現行機で遊ぶことが難しいタイトルの1つです。過去にゲームキューブ版「エターナルアルカディア レジェンド」が2002年に発売されましたが、こちらも入手困難になっています。
ただし、2025年1月にセガが「ETERNAL ARCADIA」「SKIES OF ARCADIA」の商標を出願したことが明らかになり、現行機への移植やリメイクの可能性が注目されています。商標出願が必ずしも製品化を意味するわけではありませんが、ファンの間では期待が高まっています。
「サクラ大戦」も一部ナンバリング作品のプレイがすでに困難
また、「サクラ大戦」シリーズの一部作品も、現在ではプレイが困難になっています。たとえば「サクラ大戦4 〜恋せよ乙女〜」は、ドリームキャストおよびPC(Windows 98/Me/2000/XP)向けに発売されました。しかし、ドリームキャストはすでに販売終了しており、PC版もWindows XP以降の動作確認がされていません。
2025年現在もSteamなどでの過去作配信は実現しておらず、シリーズファンからは現行機での展開を望む声が上がっています。ただし、2025年7月には『サクラ大戦V 20周年』記念イベントが開催されるなど、IPとしての活動は継続しています。
総じて名作タイトルも一部作品がすでに「遊びづらい」のが現状です。
実はドリームキャストはCD-ROMではなく「GD-ROM」
ドリームキャストの互換機の登場を阻む、極めて大きな要素が「GD-ROM」という独自規格のメディアを採用していることです。GD-ROMはCD-ROMドライブでは、読み込むこと自体ができません。
そのため先に述べたCD-ROM対応互換機「Polymega」の開発元企業もドリームキャストの互換については、GD-ROMを読み取るためのメカニズムの検証こそしているものの「挑戦的だ」と述べるに留まっています。
エミュレータ環境は2025年に大幅進化
ドリームキャストのタイトルで遊びたい場合、PCで動作するエミュレータを使用する選択肢があります。かつてはGD-ROMの読み取りに実機が必要でしたが、2025年現在、状況は大きく改善されています。
主要なエミュレータ
Flycastは最も高機能なドリームキャストエミュレータで、NaomiやAtomiswaveなどのアーケード基板にも対応しています。DCNet機能により約20本の対応タイトルでオンラインプレイも可能になりました。高解像度描画、ワイドスクリーン対応、Vulkan/OpenGLサポート、セーブステート、チートコード、ネットプレイ機能を搭載しています。
Redreamは初心者向けのシンプルなインターフェースが特徴で、約95%のドリームキャストタイトルを高い互換性で動作させます。無料のLite版と有料のPremium版(約6ドル)があり、Premium版では高解像度レンダリングや複数のセーブステートスロットなどの追加機能が利用できます。
両エミュレータはWindows、Mac、Linux、Androidに対応し、GDI、BIN/CUE、CHD、CDI形式のゲームイメージファイルをサポートしています。
実機の必要性について
適法に入手したゲームイメージがあれば、実機がなくてもドリームキャストのゲームをプレイできる環境が整っています。ただし、自身が所有するGD-ROMからイメージを吸い出す場合は、DreamShellとSDカードアダプター、またはMIL-CD対応の本体が必要となります。
ドリームキャストのゲームを今でも遊びたい際はやはり「本体」が必要

ドリームキャストの中古本体はリサイクルショップや中古品を扱うECサイト、フリマアプリなどで販売されています。
一方で販売終了から長い年月が経っているため、ジャンク品を除く動作品は価格が上がりやすい傾向があります。
2025年11月現在、ドリームキャスト本体の中古市場では、通常モデルの動作確認済み品が約8,000〜11,000円程度で取引されています。Yahoo!オークションでは動作確認済みの落札相場は約5,000〜8,000円、美品では約10,000〜15,000円が目安です。
ただし、限定モデルは非常に高額で取引されることも。販売終了から20年以上が経過し、動作する本体を入手するのは年々難しくなっています。特にGD-ROMドライブは経年劣化しやすく、美品の確保は今後さらに難しくなると予想されます。
ドリームキャストミニ:セガが公式に否定
2024年12月、セガの内海州史社長(セガ・オブ・アメリカ/ヨーロッパ社長)は、ガーディアン紙のインタビューで「ミニの方向には行かない。現代のゲーマーを受け入れたい」と明言しました。その後、セガの広報担当者も将来的なミニシステムの計画がないことを正式に認めています。
内海社長は「私たちはレトロな会社ではありません。自分たちの伝統に感謝し尊重していますが、同時に新しいものを届けたい。そうでなければ、私たちは歴史の一部になってしまう」と述べ、サターンミニやドリームキャストミニの開発計画がないことを明確にしました。
代わりにセガは、『ジェットセットラジオ』『クレイジータクシー』『Shinobi』などの休眠IPを現代向けに復活させる「Super Games」構想に注力しています。ミニハード市場自体の需要も落ち着いており、セガは過去のゲームを20ドルのコレクションで再リリースするよりも、新しい方法でフランチャイズを復活させる方針に舵を切っていると言えるでしょう。
※サムネイル画像(Image:Shutterstock.com)
記事提供元:スマホライフPLUS
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