加入は義務!「自賠責保険」をチェックしよう

イチオシスト

ライダーの皆さんにとって身近な「自動車損害賠償責任保険」(以下、自賠責保険・共済)。
自動車損害賠償保障法に基づいて加入が義務付けられた強制保険で、万が一の交通事故において被害者を守る大切な制度です。つい満期を見落とし、継続更新の手続きをし忘れてしまうと、罰則の対象となってしまいます。自賠責保険の制度そのものは変わっていませんが、改めて義務付けられている自賠責保険の重要性と確認方法を押さえておきましょう。
車検のあるバイクは、車検時に自賠責保険の更新が必ず行われるため、基本的に更新を忘れることはありません。一方で、原付や軽二輪など車検のない車両に乗っている方は注意が必要です。
この記事を読んだ今こそ、ご自身のバイクの自賠責保険を確認してみてください。
MOTO INFO掲載日:2025年9月16日
自賠責保険・共済とは
自賠責保険・共済とは、人身事故の被害者を救済するためにすべての自動車への加入が義務付けられている強制共済(強制保険)です。原動機付自転車(※新基準原動機付自転車 含む。以下、原付)、電動キックボード(特定小型原付)、モペッド(ペダル付き原付)などを含むすべての自動車が対象で、未加入での運行は自動車損害賠償保障法違反となります。
自賠責保険・共済による補償
補償の対象は、人身事故による対人損害賠償のみで、物損事故は対象になりません。自賠責保険・共済による損害賠償の補填の支払限度額は、事故の被害者1人につき以下となっています。
| 死亡による損害 | 最高3,000万円 |
| 怪我による損害 | 最高120万円 |
| 後遺障害による損害 | 75万円〜最高4,000万円(後遺障害等級による)※ |
| ※神経系統・精神・胸腹部臓器に著しい障害を残して介護が必要な場合 常時介護:4,000万円(第1級)、随時介護:3,000万円(第2級) | |
| ※上記以外の後遺障害 3,000万円(第1級)~75万円(第14級) | |
出典:一般社団法人 日本損害保険協会
国交省による自賠責制度広報・啓発活動

国土交通省(以下、国交省)は毎年9月を「自賠責制度広報・啓発期間」と定め、自賠責制度の重要性や役割、無保険車運行の違法性等について広報・啓発活動を集中的に実施し、自賠責保険・共済への加入促進を図っています。近年は電動キックボード(特定小型原付)やモペッド(ペダル付き原付) など新しいモビリティが普及し、利用者層も拡大しています。そのため「すべての対象車両で自賠責加入が必要」という基本を改めて呼びかけています。
無保険による事故の受付件数
無保険の状態で交通事故を起こした場合、加害者は刑事処分・行政処分の対象となるばかりではなく、多額の損害賠償金を自己負担することになり、被害者への損害賠償にも支障をきたすことがあります。令和6年までの政府保障事業の取り扱いとなった、ひき逃げと無保険事故の件数及び支払実績は以下の通りです。
| 区分 | 受付件数 | 支払件数 | 支払保障金額 | |
| 令和4年度 | ひき逃げ | 252件 | 206件 | 1億1,600万円 |
| 無保険 | 123件 | 69件 | 1億8,200万円 | |
| 合計 | 375件 | 275件 | 2億9,900万円 | |
| 令和5年度 | ひき逃げ | 244件 | 235件 | 1億2,600万円 |
| 無保険 | 122件 | 98件 | 3億5,600万円 | |
| 合計 | 366件 | 333件 | 4億8,200万円 | |
| 令和6年度 | ひき逃げ | 246件 | 233件 | 1億1,900万円 |
| 無保険 | 134件 | 108件 | 2億8,000万円 | |
| 合計 | 380件 | 341件 | 3億9,900万円 |
出典:自賠責保険・共済ポータルサイト(国交省)
※死亡事故や後遺障害の有無等により各年度の支払額は変動します
※受付年度の翌年度に支払う事案があるため受付件数と支払件数は一致しません
令和6年での無保険の受付件数は前年を上回っており、改めて自賠責保険・共済への加入が義務であること、自身が利用しているモビリティが自賠責保険・共済に加入しているか今一度確認してもらうための働きかけを急務としています。
自賠責未加入・期限切れによる罰則
自賠責保険・共済は、自動車損害賠償保障法に基づいて加入が義務付けられた強制保険なので、未加入のまま運行していると法律違反となり、以下の処罰を受けます。
| ・1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金 ・違反点数6点 = 免許停止処分 |
対象車両

対象車両は以下のとおりです。
| ・自動車 ・バイク・原付 ・モペッド(ペダル付き原付) ・電動キックボード(原付及び特定小型原付いずれも) ・水色ナンバー登録のミニカー |
ご自身が利用しているモビリティが対象車かどうか、そして対象車の場合は自賠責保険・共済に加入しているか確認しましょう。
チェック方法と加入・更新手続き

自賠責保険・共済への加入については、上記のようなステッカーが交付されます。主に車両のナンバープレートの左上に貼られます。このステッカーが車両のどこにも貼られていない場合は、自賠責保険・共済に加入していない可能性が高く、罰則の対象となります。
ステッカーには「満期年」「満期月」が記載されており、こちらが自賠責保険・共済の満期日を示しています。上記画像の例では「令和7年8月」と記載されているため、令和7年9月の時点で自賠責保険・共済の加入期限が切れていることになります。この場合は速やかに更新手続きをしましょう。
国交省の「自賠責保険・共済ポータルサイト」では、自賠責保険・共済を取り扱っている保険会社が一覧化されています。電話番号およびウェブサイトへのリンクが設置されているので、新規加入または更新手続きが必要な方は是非参考にしてみてください。
自賠責保険・共済を取り扱っている保険会社等の一覧 | 自賠責保険・共済ポータルサイト(国交省)
https://www.mlit.go.jp/jidosha/jibaiseki/about/contract/index.html
交通事故の被害者を守るために

自賠責保険・共済は、自分のためであると同時に「被害者を守るための制度」です。
万が一事故を起こしてしまったとき。事故に巻き込まれたとき。
どちらの立場になっても、自賠責保険・共済の有無が被害者救済に大きく影響します。
だからこそ、自分のモビリティが正しく加入・更新されているか、ぜひこの機会にチェックしてください。そして周囲で未加入のまま利用している人を見かけたら、ぜひ優しく声をかけてあげましょう。
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