蒔田彩珠が見せる違和感 白一色に包まれた“性愛のない”実験都市 村田沙耶香原作「消滅世界」本編映像
イチオシスト
2025年11月28日より劇場公開される、川村誠が初監督・初脚本を手掛ける、芥川賞作家・村田沙耶香のベストセラー小説の映画化作「消滅世界」から、実験都市・エデンを収めた本編映像と、メイキング映像が公開された。
エデンの管理人(眞島秀和)に施設を案内され、理想郷と確信し、エデンへの移住を決める雨音(蒔田彩珠)と朔(栁俊太郎)。エデンの住民たちは白い装束を身にまとい、エデンの施設も白一色。“白”で支配されたミニマルな世界が広がっている。「お母さん!」と駆け寄る子どもたちを、両手を広げて迎え入れる管理人。朔は戸惑いつつも、「一緒に遊ぼうね」とエデンならではのルールを受け入れようとするが、雨音は「無責任にかわいがって、飽きたら家に帰るって、何だか猫カフェみたい」と、違和感がぬぐえない様子を見せる。
エデンとして撮影された施設は、神奈川県厚木市にある神奈川工科大学のKAIT広場をはじめ、さまざまなロケ地を組み合わせて撮影された。それは、川村誠監督の「エデンは、セットを使用せずに全て現実にある建築物を組み合わせて構築する」という強い意志を尊重したもの。ロケ地の選定にあたっては、ビジュアルだけでなく建築コンセプトも重視し、川村監督と制作部が協議を重ねて決定。特にKAIT広場は、設計した建築家の石上純也に対して監督が、「人間の側から自然をデザインする方」とリスペクトしており、本作の世界観や物語に見事に合致した場所になったという。
「消滅世界」の舞台は、人工授精で子どもを産むことが定着した世界。そこでは、夫婦間の性行為はタブーとされ、恋や性愛の対象は「家庭の外」の恋人か、二次元キャラというのが常識になっている。そんな世界で「両親が愛し合った末」に生まれた主人公・雨音は、母親に嫌悪を抱いていた。家庭に性愛を持ち込まない清潔な結婚生活を望み、夫以外の人やキャラクターと恋愛を重ねる雨音。だがその“正常”な日々は、夫と移住した実験都市・楽園(エデン)で一変する。
原作「消滅世界」は、現在累計170万部を超える芥川賞受賞作「コンビニ人間」直前の2015年12月に刊行された長編小説。超少子化の先の、「性」が消えゆく世界で激動する「恋愛」「結婚」「家族」のあり方に翻弄される若者たちを描いている。MTV出身で、RADIOHEAD、OASISなど国内外さまざまなアーティストのライブやミュージックビデオ、CM、ショートフィルム、大河ドラマのドキュメンタリーなど、多岐にわたるフィールドで活躍する映像ディレクター・川村誠が脚本とともに映像化に挑んでいる。主人公・雨音役を蒔田彩珠が演じている。
【作品情報】
消滅世界
2025年11月28日(金)公開
配給:NAKACHIKA PICTURES
©2025「消滅世界」製作委員会
記事提供元:映画スクエア
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