
ファンティックがMoto2初戴冠! 2025年チーム王者に輝く快挙

イチオシスト

MOTORISTS合同会社は、ファンティック・レーシングが2025年ロードレース世界選手権Moto2 ポルトガルGPにてチームタイトルを獲得した。
同チームは、アロン=カネットとバリー=バルタスが4位・5位と健闘し、最終戦を待たずして栄冠を手中に収めた。今季13度の表彰台を重ね、安定感とスピードで群を抜いた同チームは、ファンティックにとって初の世界タイトルをもたらす快挙を達成。強固なチーム力がMoto2での地位を確固たるものにした。
ポルトガルGP:ファンティック・レーシング、ロードレース世界選手権Moto2クラスの2025年チームタイトルを獲得
ポルティマオでのダブルトップ5により、最終戦を待たずしてチームタイトルを決める。

MotoGP 第21戦ポルトガルGPが、11月7日から9日にかけて、ポルトガルのアウトドローモ・インターナショナル・アルガルベで行われ、Moto2クラスに参戦するファンティック・レーシングのアロン=カネットが4位、バリー=バルタスが5位でチェッカーを受けた。
ポルトガルGPは、2024年にカネットが優勝を飾ったグランプリである。金曜日は、一日中、小雨が降ってはやむ不安定な天候となった。ただ、雨粒は路面を濡らすほどではなく、雨が降ってきたことを知らせるレッドクロスのフラッグは提示されたものの、基本的にセッションはドライコンディションで進んだ。
こうした状況の中、カネットは圧倒的なパフォーマンスを見せた。午前中のフリープラクティス1、午後のプラクティスでともにトップタイムを記録。プラクティスでは、それまでのオールタイム・ラップ・レコードを更新する1分41秒210を記録している。バルタスもプラクティスで9番手タイムをマークし、二人揃ってQ2ダイレクト進出を果たした。
夕方から本格的に降った雨により、土曜日の午前中はウエットコンディションとなった。このため、ファンティックの二人のライダーは、フリープラクティス2ではセッション終盤に数周だけ走行し、主にスタート練習に集中した。
ドライコンディションとなった予選では、バルタスは1分41秒337のタイムで4番手を獲得。カネットもポールポジションを争ったが、終盤に転倒を喫して最終的に1分41秒355の5番手でQ2を終えた。なお、カネットにけがはなかった。
迎えた日曜日、時差の関係から、Moto2クラスの決勝レースはこの日最初のレースとなった。2列目5番手からスタートしたカネットは、慎重なスタート後にリズムを取り戻し、4位でフィニッシュした。

一方、バルタスは見事な追い上げのレースを披露した。スタートではトップ10圏外にまでポジションを落としたものの、そこから粘り強く着実に順位を上げていき、14周目には5番手に浮上。バルタスはそのポジションを守ってゴールしている。

この日、カネットとバルタスによって獲得した24ポイントにより、最終戦を残して、ファンティック・レーシングは、ロードレース世界選手権Moto2クラスにおける2025年チームタイトルを獲得した。
このタイトルは、一貫性、スピード、そしてチームスピリットの上に築かれた今季の傑出したパフォーマンスによって達成されたものである。そして、ファンティックにとって初のロードレース世界選手権のタイトルという快挙となった。シーズンを通して、バルタスとカネットは合計13回の表彰台を獲得。ファンティック・レーシングがMoto2クラスの中で最も競争力があり、かつ安定したチームの一つであることを証明した。
ライダーズランキングでは、バルタスがランキング3番手を確固たるものとし、カネットは4番手に浮上。あらためて、チームの総合力とバランスの高さを示す結果となった。
第22戦バレンシアGPは、11月14日から16日にかけて、スペインのリカルド・トルモ・サーキットで行われる。これが、2025年シーズンの最終戦となる。
アロン=カネット:
「完全に満足しているとは言えない。今日は、本当に表彰台が欲しかったからね。最後までトップを走るライダーたちについていくペースはあったけれど、終盤に攻めるためのわずかな部分が足りなかった。それでも、重要なポイントを獲得したし、それがチームタイトルの獲得に繋がった。チームはシーズンを通して懸命に取り組んできたし、この結果は彼らの努力と一貫性の賜物だ。次のバレンシアに向けて、シーズンを最高の形で締めくくりたいね」
バリー=バルタス:
「今日のトップ5フィニッシュにがっかりすることはないよ。チームタイトルを獲得した後なのだから、なおさらね。これで、二つのピット(バルタスとカネットの各チーム)が1年を通して全力で働いてきたことが証明されたんだ。この結果は彼らのためのものだ。すべての努力と、情熱に対してのね」
「僕自身のレースについて言えば、少し残念だった。表彰台争いができるペースがあると感じていたからね。1コーナーで想定外のことが起きて、フロントブレーキに問題があってポジションを落とし、12番手にまで下がってしまった。でも、そこから追い上げて5位でゴールできたのだから、いい結果ではある。速さも競争力もあったしね。今はもうバレンシアに集中している。シーズンの最後を最高の形で締めくくるために、全力を尽くすよ」
ロベルト=ロカテリ(チームマネージャー):
「私たちはワールドチャンピオンになりました。そして、その功績はチーム全員にあります。これまでバイクに乗るライダーたちを称えてきましたが、ファンティック・レーシングが世界チャンピオンを獲得できたのは、あらゆる部署が仕事をしたおかげです。この成果の裏には、二つのクルーの協力があり、技術者とメカニックが一体となって2025 年に世界最高のチームを作り上げました。プロジェクトに携わったすべての人、そしてもちろんライダーたちにも祝福を贈りたいと思います。彼らは私たちを楽しませ、汗を流させ、そしてレースでの勝利や素晴らしいリザルトで大きな感動を与えてくれました」

■Moto2クラス チャンピオンシップ ランキング

■ライダープロフィール
アロン=カネット
1999 年9月30日生まれのスペイン人。2016年にロードレース世界選手権Moto3クラスデビューを果たし、2019 年にはランキング2位を獲得。2020年、Moto2クラスにステップアップ。2024年にファンティック・レーシングに移籍し、ポルトガルGPで初優勝を飾った。このシーズンは小椋藍に次ぐランキング2位を獲得。2025年、チャンピオン獲得を目指す。
目下、最大の目標は「世界チャンピオンになること」。幼少期は父親からカートを与えられたが、「バイクのほうがいい」と言って乗り始めた。その当時からゼッケン「44」を使用している。
バリー=バルタス
2004 年5月3日生まれのベルギー人。2020年にMoto3クラスデビュー。2022年にMoto2クラスにステップアップした。初表彰台は2024年のカタールGP。この年、オートレース宇部レーシング・チームから鈴鹿8耐にも参戦している。2025年、ファンティック・レーシングに移籍し、表彰台の常連になりつつある。なお、9月13日に2026年もファンティック・レーシングからMoto2クラスに参戦することが発表された。
バルタスの父親がバリー=シーン(伝説的イギリス人WGPチャンピオン)の大ファンで、そのためにバルタスは「バリー」と名付けられた。ゼッケンの「7」もこれに由来するもの。
リリース提供元:MOTORISTS合同会社


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