派遣制度はどうなる?賃上げに応じる企業はどれくらい? 「派遣先担当者調査」の結果を発表
イチオシスト
さまざまなメリットがあるものの、給料が低いとの声もよく聞く派遣社員。派遣先の担当者は今後の見通しをどう考えているのだろうか。
一般社団法人日本人材派遣協会(東京)は、全国の派遣を活用している企業担当者(2136人)を対象に実施した「派遣先担当者調査」の結果をまとめた。調査は厚生労働省委託事業「優良派遣事業者推奨事業」の一環として6月29日〜7月3日に行われた。
派遣会社から「派遣料金の値上げ依頼があった」と回答した企業は59.4%。そのうち、77.9%が値上げに応じたと回答。前年(76.6%)から上昇しており、賃上げをめぐる社会的な要請への理解の広がりが背景にあると考えられる。
値上げに応じた理由として最も多かったのは、「社会的な要請だから」(73.8%)、次いで「派遣社員の働きぶりへの満足」(42.8%)だった。一方で値上げ依頼を断った派遣先は、派遣される「人材の質」や派遣会社の「フォロー体制」の部分で評価が低かった。派遣社員の質の高さや、キャリア形成を支えるフォロー体制を評価する派遣先ほど賃上げに応じているようだ。
また、短期・単発の業務発生時の人材確保の手段として、64.9%の企業が「派遣会社に依頼する」と回答。スキマバイトなどのマッチングサービスが広がる中でも、確実で信頼性の高い人材確保の手段として派遣を選ぶ企業が多数を占めている。
今後の派遣活用については、一般・営業事務、金融事務などのオフィスワーク系の職種で7割以上が現在と同程度で派遣を活用すると回答。OAインストラクター、情報処理システム開発、機械設計などの専門的職種では、その割合が8割以上と高かった。一方、医療事務、医療・福祉・介護関連職などでは、活用を減らすかやめることを検討しているという回答が約3割で、他の職種に比べて高かった。製造、物流、軽作業系の職種では、現在と同程度以上で派遣を活用するという回答は約8割と高く、特に運送関連では、「増やす」 という回答が42.7%と他に比べても多かった。一方で、その他の軽作業では、派遣の活用を今後も続けるという回答は6割を切り、全職種の中で最も低かった。
オフィス・製造・ITをはじめとする幅広い職種で、7〜8割の企業が今後も派遣活用を継続・拡大する意向を示しており、同協会は、企業の人材確保ニーズが多様化する中、派遣制度は引き続き「安心して働ける仕組み」「信頼できるマッチングの仕組み」として社会に定着しているとしている。
記事提供元:オーヴォ(OvO)
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