【試乗】BYDの刺客、1288馬力のEVスーパーカー「ヤンワン U9」は本当に“踊る”のか? 価格4,000万円の実力
イチオシスト
ジャパンモビリティショーでも展示されていたが、中国の自動車大手BYDが放つ高級ブランド「ヤンワン」から、1,288馬力を発生するEVスーパーカー「U9」が登場した。0-100km/h加速2.36秒という圧倒的なパフォーマンスに加え、音楽に合わせて車体が上下する「ダンス機能」まで搭載する。その奇抜な機能と、2.5トンに迫る重量を感じさせない軽快な走りの秘密に迫る。
ヤンワン U9とは何者か?
U9は、中国の高級ブランドであるヤンワン(仰望:中国の自動車大手BYDが展開するプレミアムEVブランド。U9はそのブランド初のスーパーカーとなる)が手掛ける電気スーパーカーであり、BYDの姉妹ブランドにあたる。その特徴は、デカくて、尖っていて、そしてもしあなたが2,978馬力の「エクストリーム」バージョンに乗っているのであれば、308mph(約496km/h)に到達可能であることだ。我々が試乗したベースバージョンはそれほど強烈ではなく、「たったの」1,288馬力を絞り出す。平凡な数字だ、そう思うだろう。
ベースモデルでその馬力? どうやってそれを実現しているのか?
この車は4つの電気モーター、つまり各車輪に1つずつモーターを備えている。4つを合わせたパワーで、0-100km/h加速を2.36秒でこなし、最高速度は299km/hに達する。ボディの奥深くには80kWhのブレードバッテリー(BYDの特許技術であるスマートバッテリーで、構造体の一部でありながら、デカくて尖ったもので突き刺されても爆発しない。これは素晴らしい)が搭載されており、中国独自のCLTC(China Light-duty vehicle Test Cycle: 中国市場で採用されている、自動車の航続距離や燃費を測定するための独自の試験サイクル)モードによれば、1回の充電で最大280マイル(450km)の走行が可能だ。
もっとも、アクセルを全開にすれば、航続距離への期待は恐らく抑えるべきだろう。幸いなことに、この車は500kWでの充電が可能で(それだけの電力をぶち込める充電器を見つけられれば、の話だが)、それを使えばわずか10分でSOC(充電率)を30%から80%まで回復できる。
車重は軽いのか?
いや。2.5トン近くある。腹ワタに分厚いバッテリーを抱えていることを考えれば、ある程度予想はつくが、BYDは可能な限り重量を抑えようと努力したようだ。ボディにはカーボンファイバーが使われ、シャシーは羽のように軽くするために最適化されている。
つまり、途方もないパワーを持つ重いEVだと。原子力で動く象のような感じか?
これもまた、いや、である。数値が示唆するよりも、はるかに、はるかに軽く感じる。BYDの鄭州にあるピカピカの新しいテスト施設(工場の隣にある3000万ドル以上の施設で、1.8mの水槽、砂丘をシミュレートする急な砂の丘、オフロードコースなどを備える)のサーキット周辺では、まるで浮いているかのように感じられた。これは部分的には、DiSus-X インテリジェント ボディ コントロール システム、要するに、ものすごく気の利いたアクティブサスペンションシステムのおかげだろう。
各車輪は個別に制御され、クルマをぶっ飛ばしている時でも車体を水平に保つことができる。また、音楽に合わせて各コーナーを上下に動かして陽気なダンスをさせたり、走行中に障害物を飛び越えさせたり…といった芸当も可能だ。理由はよく分からないが。自分のスーパーカーにダンスをさせたり、小枝か何かを飛び越えさせたい理由など我々には到底理解不能だが、気の利いたパーティー芸ではある。
では、ハンドリングは良いのか?
U9の最高の姿を見せるためだけに作られたようなサーキットで、スポーツモード限定で数周走っただけなので、評価は完全にU9に有利な状況だった。だが、かなりの重量があるにもかかわらず、その足取りはマクラーレンやフェラーリのような軽快さを感じさせる。ステアリングも心地よくダイレクトで、入力に対する反応も速く、期待通りにシャープで尖った感覚だ。あれだけの重量は、実に見事に隠されている。
で、速いの?
1,288馬力もあるのだから…答えはイエスだ。ゾッとするほどに。直線でアクセルを踏み込むのは、かなりの体験だ。リマック ネヴェーラほどワープするような感覚ではないが(それに匹敵するものはほとんどない)、シートに体が押し付けられる。そして、次のコーナーが迫る中、勇気を出してクリアなメーターパネルに目をやれば、数字がとんでもない速さで巨大になっていくのがわかるだろう。実にエキサイティングだ。
止まることはできるのか?
サーキット仕様の車のブレーキはシャープだった。低速では、少々シャープすぎるかもしれない。ピットを出て、軽くチョンと触れるつもりが、完全な緊急停止になってしまった。幸い、サーキット上ではプログレッシブな感触で、この重くて速い物体を減速させるには十分すぎる性能だった。
結論として、良い車なのか?
数周走っただけの感想だが、かなり素晴らしいと感じたのは確かだ。メイト リマック(リマック社の創業者)のオモチャを脅かす存在にはならないだろうが、価格もそれに比べればはるかに安い。中国では約20万ポンドで販売されており、つまり(幼稚園児レベルの推測だが)英国ではおそらく20万~25万ポンド(約4000万円~5000万円)あたりになるだろう。20万ポンドで1,288馬力? それだけのパワーとダンス能力の対価としては…大した額ではないように思える。見た目がかなりイケてるというのも、ポイントが高い。
価格: 未定
エンジン:
クアッドモーターEV
パワー:
1,288馬力 / 1,680Nm
トランスミッション:
N/A
性能:
0-100km/h 2.36秒、最高速度299km/h
重量: 2,475kg
【試乗】BYDの刺客、1288馬力のEVスーパーカー「ヤンワン U9」は本当に“踊る”のか? 価格4,000万円の実力
400号記念:UK400マイルロードトリップ/フェラーリ F80/フェラーリハイパーカー:トップギア・ジャパン 069
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=海外の反応=
「ランボルギーニとフェラーリとアストンマーティンのディーラーを素通りして、ヤンワンに25万ポンドも出すぜ、なんて言うヤツは、これまで誰もいなかった」
↑「ヤンワン…。たとえ買えたとしても、俺的には絶対ナシだな」
↑「(これが売られてる唯一の市場っぽい)中国市場では、U9はもっとパワーの低いランボルギーニ レヴェントンの約3分の1の価格だぞ」
↑「ランボルギーニ レヴェントンは20年前の650馬力の車だろ。言いたいのは1000馬力のレヴエルトのことじゃないか? まあ、悪いが中国の外で「ランボルギーニ レヴエルトよりヤンワンを買う」なんて言うヤツはいないよ」
↑「1年前は誰もジャエクなんて知らなかったのに、今やその「7」は英国でトップ10に入るベストセラーカーだ。中東や他の市場でも、中国製のディフェンダーそっくりな車や他のSUVをたくさん見かけるようになったぞ」
↑「これって、昔のポルシェの広告にあった「正直に言ってごらん。いつか日産や三菱が欲しいと夢見て青春を過ごしたかい?」ってヤツと同じ空気感だな。
まあでも、『ニード・フォー・スピード』や『グランツーリスモ』、アニメや『ワイルド・スピード』で育った子供たちの中には、そういう車を夢見てた連中もたくさんいるわけだ。個人的にヤンワンというブランドが大好きってわけでも、この車が特に欲しいわけでもない。でも同時に、明日が今日と同じとは限らないってことも分かってる。物事は変わるのさ」
「加速はスゴいが、ハイパーカーにしては最高速が低い。車重はめちゃくちゃ重いし、見た目は好き嫌いが激しく分かれる。それに、品質も怪しいだろうな」
「どう思おうが勝手だが、この車は見た目が最高だ」
↑「もし「最高」ってのが馬力の数字のことなら…まあいいだろう。見た目に関して言えば、「最高」とは銀河系の彼方ほどかけ離れてるね」
「マクラーレンっぽい雰囲気はあるけど、スタイリングは好きだな」
「3000馬力もあるなら理論上は400mph(643km/h)にもっと近づけるはずなのに、歴史に名を刻む「初の500km/h超え」となる311mph(500km/h)じゃなくて、308mphで止まっちゃうのもちょっと変だよな。
もしかしたら、308mphが今のタイヤやホイール、ドライブトレインとかの物理的な限界なのかも。
俺は数字が好きなんだ」
↑「限界なのは、直線の長さだよ。記録を出した時のマーク バッセンへのトップギアのインタビューを見てみろ」
「1600馬力のブガッティ シロンよりたった4mph速く走るために3000馬力近くも必要で、こっちの1300馬力近いモデルはシロンより118mphも遅い。
何かがおかしい。
連中は中国の荷馬とサラブレッドを比べてるのか? リンゴとオレンジを比較してるような気がする」
→「186mphはちょうど300km/hだから、リミッターがかかってると考えるのが妥当だろうな。なぜ200mph未満の数字にしたのかは謎だけど。
あと、コメンテーターたちが、ブガッティやケーニグセグのエンジンの馬力に目を輝かせてたのに、中国のEVがちょっと速く走った途端、「なんて効率的なんだ、少ないパワーであんなに速く走れるなんて」って論調に変わったのは笑えるな」
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
