44万円に泣いた昨季の悔しさをバネに 34歳・原敏之が初シード獲りへ「まずはトップ10」
<日本オープン 3日目◇18日◇日光カンツリー倶楽部(栃木県)◇7238ヤード・パー70>
プロ14年目の原敏之(さとし)。これまで優勝も賞金シード獲得も未経験の34歳は、首位タイで予選を通過し、人生2度目の決勝ラウンド最終組で回った。1バーディ・3ボギーの「72」とスコアを落としたが、トータル1アンダー・6位タイと上位戦線に踏みとどまっている。
前半は耐え続けた。スコアカードは9ホールパーが並んだが、5ホールでパーオンを逃し、2メートル以上の短くない距離のパーパットを沈めるなど、しぶとさを見せた。後半の11番パー4では2打目を2.5メートルに乗せた。「待望のバーディチャンス」。少しばかり気持ちが入り、まさかの3パットを叩いた。この日、初ボギー。続く12番も気持ちが落ち着かないまま2メートルを外してボギーになった。ずるずる悪い方に行きそうななか、13番パー5は2メートルのバーディパットを沈めて流れを止めた。
「欲を言えばアンダーパーで終わりたかったですが、アプローチとパターでしのげたという点では自分の中では少し自信というか、あすに向けて気持ちが続きました」。この日は11ホールでパーオンを逃したが、10回パーセーブできたことには手応えを感じる。
今週の好成績は昨季の悔しさがバネになっている。2024年シーズンは「パナソニックオープン」で8位タイに入るなどキャリアハイの成績を残し、シード権が決まる「カシオワールドオープン」前は、シード圏内(24年は義務試合数不足選手を除く69位まで)の賞金ランキング67位につけていた。
しかし、2日間トータル3オーバーで予選落ち。大会終了後には予選を通過した下位選手に抜かれて賞金ランキング72位で初シードを逃した。69位の市原弘大とは約44万円の差。予選通過していれば下位でもクリアできた数字である。「悔しかったですし、年はじめまで引きずっていました」。新年を迎えても「カシオで予選を通っていれば…」とポロッと口にすることが多かったという。
そして24年を振り返り自身の課題を模索した。「24年はフェアウェイキープすることが多く、2打目でチャンスを作れることが多かったんですが、チャンスを決めきれない、ピンチをリカバリーできないとか、もったいないミスが多かった」。
今シーズン開幕前にはショートゲームの強化を目標に掲げた。「片手打ちやキャリー10ヤードを何回も繰り返すなど、試合で本当に必要なモノ、基本を忠実にこなすようにしました。ロブショットやスピンアプローチみたいな、オプションに近いものをやらなくしたのがよかったと思います」。試合の中で常に求められるオーソドックスなアプローチに磨きをかけた。
やはり練習は嘘をつかない。今季は13試合に出場して「ISPS HANDA夏に爆発どれだけバーディー取れるんだトーナメント」で6位タイに入るなど予選通過11回と安定した成績を残している。ここまでの賞金ランキングは54位。あとひと息で初シードが確定する位置にいる。
「今週はフェアウェイキープに手こずっていますが、少ないチャンスをいかしたり、ピンチを乗り切れているので成長を感じます」と今の位置には納得する。「トップ10に入れば、シードが当確するし、来年の日本オープンにも出られる。あしたはアンダーパーで回れれば」。そう言って、深くうなずいた。(文・小高拓)
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