前日の罰打は「携わった人に迷惑をかけた」 稲見萌寧が“失格覚悟”から気持ち切り替えカムバック
<富士通レディース 2日目◇18日◇東急セブンハンドレッドクラブ(千葉県)◇6697ヤード・パー72>
しっかりと気持ちは切り替えた。前日のラウンド後に、サインの確認ミスが発覚し2打のペナルティを受けた稲見萌寧は、それを帳消しにするように、耐えて、伸ばした。4つのバーディにボギーはなし。「68」というスコアに納得の表情を浮かべる。
第1ラウンドを終えた後、練習場でペナルティの話を聞いた。最初に考えたのは「失格かと思った」。初日、同伴競技者の1人が途中棄権し、スコアラーが代わったこともあり、スコアカードのサインが無いことに気づかないままスコア提出(アテスト)会場を出てしまった。これは2022年までのツアー規定なら失格だった行為。ただ23年から日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)でローカルルールが採用されたことにより、罰打扱いに。その改正に救われた。
この件については、まず「私の確認ミスによって、携わった人たちにも迷惑をかけてしまった。申し訳なかった」と謝罪。それでも失格ではなかったことを「不幸中の幸い」と思い、気持ちを立て直した。「(初日も)いいゴルフはできていた。自信を持ってやろう。沈んでもおかしくない状況のなか、ノーボギーであがれてよかった」。ホッと胸をなでおろすことができた。
4つのバーディよりも、「ショートゲームがよくて、しのいでいた」とアプローチなどで切り抜けたパーが印象に残る一日だった。前半9番ではバンカーから4メートルのパーパットを残したが、それを沈めて、流れを引き寄せる。「ショットが戻ってチャンスにつけることはできていた」という終盤戦につなげる、大きなプレーでもあった。
今季は10試合連続で決勝に進めない(棄権が1)経験もするなど、苦しい時間も多く過ごしてきた。それでも11試合ぶりに予選を通った2週前の「日本女子オープン」(55位タイ)から、コンスタントに60台も記録している。これは「楽になりますね」という良薬。先週の「スタンレーレディス」も19位で終え、そして今週と、上昇の兆しがはっきりと表れている。
「日々コツコツ、全力で努力して、なるべくして、なるように頑張りたい」。“練習の虫”として知られる稲見らしい言葉も聞こえてくる。2日目を終え現時点で、首位と3打差のトータル5アンダー・7位タイまで浮上した。この“ナイスカムバック”を、23年の「TOTO ジャパンクラシック」以来となる優勝につなげることも十分に可能な位置だ。(文・間宮輝憲)
<ゴルフ情報ALBA Net>
記事提供元:ゴルフ情報ALBA Net
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。