“黄金世代ルーキー”中地萌がカッコよすぎるイーグルで自己最高位タイ 男子賞金王候補が同窓生
<ECCレディス 最終日◇17日◇北六甲カントリー倶楽部 東コース(兵庫県)◇6502ヤード・パー72>
思いは通じる。黄金世代のルーキー、中地萌が11番パー4で鮮やかなイーグルを決めた。残り100ヤードを48度のウェッジでピン奥1メートルに落とすと、ボールはバックスピンでカップイン。4つのバーディに、ボギーも4つと出入りの激しいゴルフとなったが、この一打が効いて「70」。トータル8アンダーで2試合前の「中国新聞ちゅーピーレディース」に並ぶ自己最高の4位に入った。
「いいなぁ…。私も入れたいなと思って打ったら、ホントに入っちゃいました。ピンに向かって真っすぐに飛んで…。すごくいい感じで打てました」
手ごたえ十分の会心ショットは、その直前にほぼ同じ距離を放り込んだ同じ組の大須賀望のイーグルが伏線だ。カップインするところをしっかり確認。「私も…」の思いが、レギュラーツアーも含めて滅多にお目にかかれないパー4でのイーグル競演を実現させた。
続く12番パー4は2メートルを沈めてバーディ。13番では単独首位にいた大須賀がボギーを打ち、首位に並んだ。「頑張りたいと思うと体に力が入って、ミスが出る。優勝したいと思うと集中できなくなる。うまくコントロールができませんでした」。勝負どころの終盤はバーディなしの1ボギー。経験不足を露呈する形となったが、「コンスタントにアンダーパーで回れるようになった。悔しいけど、そこは自信になりました」と収穫もいっぱいあった敗戦に笑みも浮かぶ。
8歳でゴルフを始め、小学生のころは同じ1998年度生まれの勝みなみと全国大会でプレーしたこともある。だが、中高一貫の奈良女子大付属中等教育学校時代の6年間はバスケットボール部に所属し、ゴルフから離れた。クラブを再び握ったのは指定校推薦で進んだ同志社大政策学部に入学してからだった。
「なにか体育会系のクラブに入ろうと思ったら、ゴルフ部があったんです。じゃあ、もう一回、やってみようかと」。男子ツアーで2度の賞金王に輝いた谷口徹、女子ツアー通算6勝の小田美岐らが卒業生であることなど知る由もなかったゴルフ人生の第2幕。同じ新入生には、今季の男子ツアーで賞金ランキング1位に立つ生源寺龍憲がいた。
就活の時期を迎えたときに当時ゴルフ部のコーチだった男子ツアー通算7勝の水巻善典に「ゴルフは続けないのか」と背中を押され、プロになることを決意した。プロテストには「これで最後にしよう」と背水の陣で臨んだ5度目の挑戦で合格。『必然の偶然』のプロゴルファー生活が始まった。
レギュラーツアーの出場は予選を勝ち抜いて出場した「日本女子オープン」の1試合で、昨年のプロテストに合格した26人のなかでは最も遅いレギュラーデビュー。これも遠回りしてきた黄金世代のルーキーらしい。
「女子オープンは予選落ちだったけど、プロになったことを改めて実感しました。来年もあの場所に立ちたいし、早くレギュラーで戦いたいです」
生源寺がツアー優勝を果たしたときには祝福のメッセージを送った。「いつか私も…」。そう、思いは必ず通じる。(文・臼杵孝志)
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