渡邉彩香が“ドライバー二刀流”の奇策 エース&新作投入に「ちょっと強行だった」
<富士通レディース 初日◇17日◇東急セブンハンドレッドクラブ(千葉県)◇6697ヤード・パー72>
お守りが安心感を生む。ツアー通算6勝の渡邉彩香は“奇策”が功を奏し、首位の渋野日向子と1打差の5アンダー・2位タイで滑り出した。
その策とは、ドライバーの二刀流。例えばエースドライバーとミニドライバーを投入するといったケースはツアーで見かけたことがある光景だが、今回の渡邉の場合は意味合いが違う。
「今週、新しいドライバーを打っているんですけど、優勝した時のと新しいのを2本入れました。私はドライバーにシビア。ちょっとでも(新作の感覚が)違うなと思ったら戻せるように」
テストをしていたという“新しいドライバー”は、9月にブリヂストンから発売された新作の『B-リミテッド BX-1☆ツアー』。だが、もしもの場合に備え、今年、3年ぶりの勝利を挙げた7月の「大東建託・いい部屋ネットレディス」などで使用しているエースの『B-リミテッド B1LS』も携えた、というわけだ。4番アイアンを抜き、この“ドライバー二刀流セッティング”を作り上げた。
「新しいものを試したい」という気持ちに、「1球でも違うと思ったら元に戻そう」という“保険”をかけた形。「ちょっと強行だった」と笑うが、その安心感が思い切りのいいプレーを生んだ。この日の計測ホールでのドライビングディスタンスは252ヤードで7位。結果的には「きょうは全部、新しいので打ちました」と、エースは封印することになった。
見た目でも顔が異なる2本だが、「数字は明らかに新しい方が飛ぶんですよね」という。飛距離は「10ヤードぐらい前に行ってる感じ」。スピン量も減少している。心配だったのは「コースに行ってアライメントを取ったり、きょうみたいに風が吹いた時にどうなのか。今まで使ったことのないヘッド形状を自分がどうやって使うかは正直分からなかった」という点。ただ、心配は杞憂に終わり、その性能の恩恵だけを受けることができた。
「日本女子オープン」13位、先週の「スタンレーレディス」12位と、いい状態で千葉に入ることができた。そのなかでの新たな取り組みに不安を感じるのは十分に理解できる。「いい意味でも悪い意味でも、自分のドライバーへの感覚が敏感になっている」という現状なら、なおさらのことだ。
ちなみに抜いた4番アイアンも「きょうの感じだといらなかったので、あすもいらないかな」と、不安要素にはならなかった。「あしたはどうするかまだ分からない」と笑ったが、今季2勝目への新たな“オプション”ができたのは間違いない。(文・間宮輝憲)
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