縁の深い日本で手にした節目の10勝 X・シャウフェレが約1年3カ月ぶりV「素晴らしい年になった」
<ベイカレントクラシック Presented by LEXUS 最終日◇12日◇横浜CC(日本)◇7315ヤード・パー71>
キャリア通算10勝目。ザンダー・シャウフェレ(米国)が縁の深い日本で節目の勝利を飾った。
マックス・グレイザーマン(米国)と並んで首位からスタート。序盤から息詰まる攻防が続いた。前半はともに「33」で並び、勝負は後半戦へ。
バックナインも互いにバーディを取り合う展開となったが、シャウフェレが一枚上手だった。4バーディを奪うラストスパートで、ライバルを置き去りにした。グレイザーマンも最終18番でセカンドショットをベタピンにつけるなど意地を見せたが、最後は2打差でシャウフェレに軍配。ウィニングパットを沈めて、キャディと静かに抱き合った。
昨年7月の「全英オープン」以来となる勝利をこう振り返る。「正直、緊張しました。最後に勝ってから1年くらい経っている。自分の奥底にある記憶を呼び起こして、もう一度戦い抜いた。マックスもマイケル(トルビョンセン)も安定したプレーをしていたので、15番、16番までは本当に接戦だった」。
そして何より、勝利の舞台が日本というのが大きな意味を持つ。台湾出身の母が東京で育ち、祖父母はいまも日本に暮らす。そんな家族のルーツがある地での優勝に、シャウフェレも感慨深げだ。
「9歳の時に初めて日本に来た。祖父母に会いに来て、日本の文化について学んだ。自分の息子を日本に連れてこられる日を楽しみにしている。ファミリーにとって、日本と深いつながりがあるのは確かだ」
東京五輪では金メダルを獲得したが、当時はコロナ禍で家族と喜びを分かち合うことができなかった。「家族で集まって、少しお酒を飲みながらお祝いするよ。今回の優勝を家族と分かち合えるのはすごく特別なこと。早く一緒にお祝いしたい」と笑顔を見せた。
昨年はメジャー2勝を挙げるなど飛躍のシーズンだったが、今季は肋骨のケガにより開幕戦から欠場が続いた。ここまでの最高位は「全英オープン」の7位。フェデックスポイントランキングは42位で、8年連続で出場してきた最終戦「ツアー選手権」も逃した。
自信を失った時期もあったと話すが、チームの支えもあり再び強さを取り戻したシャウフェレ。「思ったよりも早く優勝することができたので、2025年は素晴らしい年になった」。最後はいい形でシーズンを締めくくることができた。
この勝利で世界ランキングは1ランクアップの3位に戻ってきた。若手の台頭で勢力図が変わりつつあるツアーで、32歳のチャンピオンは静かに宣言する。「この優勝をきっかけに、30代中盤へのいい流れができるといいね」。ツアーの主役をまだまだ若手に譲るつもりはない。(文・齊藤啓介)
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