「解約できないサブスク」に要注意! 登録時にチェックすべき4つの点

音楽や動画配信、食事の宅配などサブスクサービスは便利な反面「解約したいのにできない」「解約したつもりが料金が引き落とされ続けていた」というトラブルが深刻化しています。国民生活センターによると、2024年度の定期購入に関する相談件数は8.9万件以上。前年度の約8.0万件から約1万件増加しました。
また、消費生活相談全体でも91.0万件と前年比で約2万件増加しており、デジタル取引におけるトラブルの深刻化が浮き彫りになっています。

近年、加入はウェブでできるものの、退会は「電話のみ」と定めているサービスもあります。なおかつそのコールセンターに電話が繋がらないことで「退会したいのに退会できない」事例も発生しています。
こうしたサブスクは、いわゆるダークパターンに該当する場合もあり、利用者は登録時に十分な注意が必要です。
このような事態を防ぐため、サービス登録前に確認すべき重要なポイントについてご説明します。
サブスクトラブルの背景にある「ダークパターン」
消費者庁は「ダークパターン」と呼ばれる手法について実態調査を実施し、2025年3月に結果を公表しました。

そもそもダークパターンとは、消費者を特定の意思決定に誘導するウェブサイトの表示やデザインのことで、消費者の誤解を招いたり、意図しない契約をさせる手法です。
消費者庁の調査では、102のウェブサイトを調査した結果、複数のダークパターンを確認しました。解約に関するダークパターンの例は以下の通りです。
・ゲーミフィケーション:サービスの一定の機能が、サービスを繰り返し利用することでしか獲得できない
・隠された情報:重要な情報が不明瞭にされているもの
・キャンセル困難:商品等の購入や会員登録等、事業者への申し込みの手続きの難易度と、解約・退会の難易度が釣り合わないもの
・隠れ定期購入/強制的継続:定期購入の申し込みであることが不明瞭であることや、契約が予期していない又は望まない形で自動的に更新される。
このようなダークパターンによって、消費者が意図しない契約を結び、解約できないケースが増加しています。
【1】無料トライアルや初回割引の条件
まずは登録時に無料トライアルや初回割引の条件を確認しましょう。
たとえば国民生活センターには「利用していないにもかかわらず代金を請求された」「登録したメールアドレスもわからず、解約できない」といった相談が多数寄せられているとのこと。
国民生活センターは申し込み前に契約条件をよく確認すること、解約する場合は公式ホームページで手続き方法を確認することなどを呼びかけています。

ちなみに「利用していないにもかかわらず代金を請求された」場合、無料トライアルに登録後、解約を忘れて有料課金に移行しているケースが多いです。そのため登録時に「トライアル期間は何日か」を確認することが大切です。
また特にサプリメントなど食品関連のサブスクの場合、トライアル期間には「初回割引」が提供されることがあります。そして「初回限定」「初回無料」で申し込みを受け付けているサブスクには、初回のみでの解約時に違約金が発生する場合があります。

そうした明記を見逃し、サブスクに登録して即時に解約すると違約金の対象になったり、思うように解約できない場合もあるため、気をつけましょう。
【2】解約方法が明示されているか
サービスを契約する前に、解約方法が明確に示されているかどうかを確認することも大切です。たとえば前述の通り、サプリメントのサブスクなどには「初回のみ」での解約に違約金を設けている場合もあります。
また「解約手続きは電話のみ」などとして、解約のハードルを大きく引き上げている事業者も存在します。

なお、実はサブスクにおいて、解約に必要な情報と解約料の算定根拠を消費者に提供することは、特商法において事業者の努力義務に過ぎません。つまり「解約に必要な情報」や「解約料」などの明記を行わない場合でも、これといった罰則がないことを意味します。
そのため、悪質な事業者のなかには、解約方法を明記していないケースも見られます。つまり、契約前から退会方法も確認しておくことが重要です。
【3】そのサブスクが「特定継続的役務提供」に該当するか
「電話でしか退会ができないが、電話が繋がらない」「事業者に問い合わせても連絡が取れない」など悪質なサブスクに対しては、クーリングオフを行うのも1つの手です。
しかし特商法では基本的にクーリングオフの対象を「訪問販売」「電話勧誘販売」などと定めており、昨今のサブスクにはこれらが当てはまりません。
そこで注目されるのが、クーリングオフの対象としての「特定継続的役務提供」。「特定継続的役務提供」は特定商取引法で定められた取引形態の一つで、長期・継続的な役務の提供と高額の対価を約する取引です。
該当する具体的なサービスは以下の7つで、クーリングオフの対象になります。
・エステティック
・美容医療
・語学教室
・家庭教師
・学習塾
・結婚相手紹介サービス
・パソコン教室
クーリングオフは「8日以内(マルチ商法は20日以内)」に申し出る必要があります。上記7種類のサービスに加入した場合は、8日以内にサービス品質や事業者の信頼性を見極め、問題があると感じたらクーリングオフを行うと良いでしょう。
【4】最終確認画面の表記や記載内容
2022年6月1日に施行された改正特定商取引法では、EC事業者に対して最終確認画面での表示義務が大幅に強化されました。具体的には以下の6項目の明確な表示が義務付けられています。
1. 商品・サービスの内容
2. 代金の支払時期・方法
3. 商品の引渡時期
4. 申し込みの撤回・解除に関する事項(解約条件・方法)
5. 定期購入契約の場合の継続期間
6. 違約金等の不利益事項
さらに、消費者契約法の改正により、事業者には解約に必要な情報提供と解約料の算定根拠の説明が努力義務として課せられました。
ここで誤認を与える表示があった場合、消費者は取消権を行使できる場合があるので、解約に不安がある場合は最終確認画面をスクリーンショットしておくといった対策がおすすめです。
今後の規制強化の動向

現在、政府では消費者法制度の抜本的な見直しが議論されています。現行の特定商取引法や消費者契約法では、ダークパターンを広く規制することが困難なため、新たな法制度の検討が進められています。
消費者庁では「誰しもデジタル取引に弱い」という前提に立ち、より実効性のある消費者保護策の構築を目指しています。今後数年以内に、ダークパターンを直接規制する新法の制定や、既存法令の大幅な改正が実施される可能性があります。
【重要】消費者が取るべき対策
トラブルに遭った場合の相談先として、以下が利用できます。
・消費者ホットライン「188」:全国共通の相談電話番号
・各地の消費生活センター:直接相談可能
・国民生活センター越境消費者センター:海外事業者とのトラブル専用
また、契約前には必ず以下を確認しましょう。
・事業者の正確な名称と所在地
・最終確認画面での契約内容の詳細確認
・解約方法と解約条件の事前確認
・疑わしい表示やデザインには注意
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記事提供元:スマホライフPLUS
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