目黒蓮が目、口元、そして背中で見せる“静”の演技…「わたしの幸せな結婚」で視聴者を魅了

「わたしの幸せな結婚」で清霞を演じる目黒蓮(左)
アイドルの第一線を走り続けながら、ドラマや映画でも活躍するSnow Manの目黒蓮。今回は映画単独初主演作「わたしの幸せな結婚」(2023年)を中心に、俳優としての目黒に迫っていく。(以下、ネタバレを含みます)
手話と表情によって難病の青年の機微を表現したドラマ「silent」
目黒は、これまで「お兄ちゃん、ガチャ」(2015年、日本テレビほか)、Snow Man・岩本照、ラウール、渡辺翔太と共に主演を務めた「簡単なお仕事です。に応募してみた」(2019年、日本テレビほか)、木村拓哉主演による単発ドラマ「教場II」(2021年、フジテレビ系)、なにわ男子・道枝駿佑とのW主演ドラマ「消えた初恋」(2021年、テレビ朝日系)などで、俳優としてのキャリアを重ねてきた。
そして、2022年に放送されたドラマ「silent」(フジテレビ系)で、川口春奈演じる主人公・青羽紬の高校時代の恋人・佐倉想を演じ、俳優としての目黒の人気をさらに押し上げることに。
若年発症型両側性感音難聴を患った想は病のことを隠し、好きという思いを残したまま紬に対して一方的に別れを告げる。音のない世界で生きる想、そして想の声と言葉に心を奪われて好きになった紬。そんな2人が再び出会い直すという、切なくも温かいラブストーリーで、ファンが聖地としてロケ地に殺到するほどの大ヒット作となった。
想は元々少し内気な性格だったが、病によって自分の声が聞こえないことで話すことが怖くなり、さらに心を閉ざしてしまう。そんな想を演じるにあたり、目黒は抑揚などで感情が現れる声を封印。手話と表情によって想の機微を表現し、そのあまりに繊細な演技で視聴者を魅了した。

「わたしの幸せな結婚」より
「わたしの幸せな結婚」では名家の若き当主役で“静”の演技を見せる
会見などではクールとは少々違う、落ち着いた穏やかな口ぶりで話す目黒。丁寧に言葉を紡いでいるという印象を受け、その意味では「silent」で見せた見事な“静”の演技で人の心をつかむのも納得がいく。
目黒の“静”の演技は、映画単独初主演となった「わたしの幸せな結婚」(Leminoほかで配信中)でも光っている。名家の令嬢ながら虐げられて育ち、政略結婚を命じられてやって来た美世(今田美桜)のあいさつを背中越しに聞くシーンで目黒は登場。
長い銀髪と着物姿の目黒は、窓辺に置かれた文机の前でピンと背筋を伸ばして座っており、そこまでに明かされていた冷酷無慈悲な性格で、何人もの令嬢たちが逃げ出したとうわさされる男性を、凛々しい背中で静かに演じていた。
顎木あくみによる人気小説「わたしの幸せな結婚」を原作とした本作。大正期のような近代日本を舞台に、異能と呼ばれる特殊能力を持つ者たちがいるファンタジー・ラブストーリーで、目黒が演じるのは異能を持つ名家の若き当主・久堂清霞(きよか)。災いをもたらす異形を討伐する対異特殊部隊の隊長で、185cmという長身の目黒は主人公として見映えしている。

「わたしの幸せな結婚」メインカット
“静”と“動”どちらにも振り切れる演技力で見る者を魅了する
美世がやって来た日、清霞は「私が出ていけと言ったら出ていけ。死ねと言ったら死ね」と言い放つ。しかし、これまでの婚約者候補たちとは違う様子の美世に、興味を持ち始める清霞。目黒が見せる表情からは、清霞の心が少しずつ動いていくのが見て取れる。
2人で出掛けた先で美世があんみつを食べ、おいしさのあまり目をまん丸にするシーンでは思わず清霞の頬が緩むなど、美世役・今田のかわいさだけでなく、目黒のかすかな笑みにも思わずキュンとしてしまう。
温もりの宿った目、そして優しさが垣間見える口元。フッと緩んだ口や、意思を表すかのようにキュッと結んだ口など、役の心情を口元の演技で体現するという部分も目黒の真骨頂で、これまでも主人公たちの恋路を彩ってきた。
だが、美世が生家にさらわれ、継母と異母妹に再びいじめられているシーンでは、その“静”の演技が“動”へと爆発。清霞は大声で探し回り、邪魔する美世の父に対して鋭い目で「美世はどこだ!」と胸倉をつかむ。
また、長身を生かしたアクションは華やかで、クライマックスとなるシーンで国を揺るがす陰謀に立ち向かう際も格好良さを見せる目黒。静をベースとした演技によって、美世がそばにいたいと願う優しさ、部下が「抱き着きたい背中」と話す、慕われ、そして頼れるという清霞の一面も引き立っている。
目黒は他にも朝ドラ「舞いあがれ!」(2022年、NHK総合ほか)で演じた、ヒロインが恋に落ちるエリートでプライドが高いキャラクターや、「海のはじまり」(2024年、フジテレビ系)で演じた、別れた恋人との間に娘がいたことに動揺する、自分の気持ちを言葉にすることが苦手なキャラクターでも “静”の演技を発揮してきた。
“静”の中からにじみ出る心情が非常に魅力的な一方で、「トリリオンゲーム」(2023年、TBS系)では“動”の演技を披露。類まれなコミュニケーション能力で老若男女にモテる、天性の人たらしという主人公を演じ、続編の「劇場版 トリリオンゲーム」(2025年)の製作へとつなげている。
そんな目黒は2025年10月期、数々の名作を生んでいる日曜劇場枠の妻夫木聡主演ドラマ「ザ・ロイヤルファミリー」(TBS系)に出演。静と動、どちらにも振り切れる演技力で、物語の鍵を握る役をどのように表現するのか期待したい。
【制作・編集:WEBザテレビジョン編集部】

「わたしの幸せな結婚」より

「わたしの幸せな結婚」より

「わたしの幸せな結婚」より
記事提供元:Lemino ニュース
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。