中国製のおもちゃの拳銃で書類送検　実弾は撃てるのか、米国在住の銃器系YouTuberが解説

10月4日、銃器系YouTuberの「SATO_HUNT」（登録者数18万人）が「[実銃？] 逮捕者が出たおもちゃの銃、撃てるの？」と題する動画を公開しました。

プラスチック製の玩具の銃で実弾は撃てるのか？

SATOはさまざまな実銃の紹介や銃にまつわる事件について動画を投稿しているアメリカ在住の銃器系YouTuberです。

今年9月、中国から玩具の銃を輸入したとして埼玉県に住む男性が銃刀法違反の疑いで書類送検されました。玩具の銃はプラスチック製で、商品には同じくプラスチック製の複数の薬きょうや弾頭も含まれており、実際に拳銃と同じ構造をしているとのこと。警察は実弾を撃つことが可能で殺傷能力があるとして、国内に流通しているすべての商品の年内の回収を進めています。また、来年以降に所持していれば銃刀法違反の罪に問われる可能性があるともしています。

SATOは動画でこの件に言及。アメリカのAmazonで同種の銃を実際に購入し、本当に実弾が撃てるのか解説していきます。

玩具銃はバレル（銃身）が通っており、トリガー（引き金）を引けばシリンダー内に込めた弾が飛んでいく、実際の拳銃と同じ仕組みとなっています。薬きょうの中にはバネがあり、先にプラスチックの弾頭をつけてシリンダーに込め、トリガーを引くとバレルの最後尾にあるハンマーが動いて弾が発射される仕組みになっていました。

続いてSATOは本物の銃について説明。本物の薬きょうは一番後ろに雷管があり、真ちゅうの中に火薬が詰め込まれ、先端に鉛の弾丸がついています。トリガーを引くと撃針が雷管に当たり、圧力で火がついて中の火薬に引火。その圧力を利用して先端の鉛弾を飛ばします。

このときに発生する圧力は3万5000〜4万PSIほどあるそう。実銃のシリンダーが6万〜7万PSIまで耐えられるように設計されていますが、SATOは玩具銃のシリンダーでは3000PSI程度しか耐えられないと考察します。

そのため、もしも実弾を打とうとした場合、「えらいことになります」と警告するSATO。殺傷能力があるスピードで飛ぶかは未知数のうえ、撃った際に玩具銃が圧力に耐えられず爆発し「粉々になって手とか顔に飛んできます」と予想。さらに火薬の引火によるガスが逆噴射し、「持ってる手とかに火傷、もしくはもっと酷い傷を残します」と述べます。

「改造なしにまず実弾が撃てるわけがない」改造しても「絶対やめてください、大怪我するか死にます」

こうした理由から今回は玩具銃で実弾は撃たないと語るSATO。代わりに火薬を入れていない空の薬きょうに雷管のみをつけたものを用意。これだけの場合、発射に成功すれば「デカい音がパンとするだけ」とのこと。実際にシリンダーに入れてトリガーを引きますが、レバーを引く音が響くだけでパンという発射音は起きませんでした。雷管にも撃針によるへこみは一切なく、「改造なしにまず実弾が撃てるわけがない」とSATOは断言します。そして万が一改造して実弾を撃てるようにしたとしても、本体の強度が伴っていないことから「撃ってる人がね、死ぬ可能性がありますんで非常に危ないです」と警告します。

その後、玩具銃の付属の薬きょうを入れて実際に弾を発射するSATO。小さなプラスチックの弾は、発射と同時に落ちるように飛び、SATOは「飛距離はだいたい3メートル」「3メートル飛んだ時には落ちてるぐらいなんで、有効射程距離は2メートルです」とコメント。「恐ろしい銃です」と冗談混じりに語りました。

結論としてSATOは「こちらの銃、実弾を撃てるのか、絶対無理です」「絶対やめてください、大怪我するか死にます」と警告。なぜ警察が今回書類送検という厳しい措置をとったかについて、「前例を残すため」「見せしめにするため」ではないかと推測します。これを玩具として許した場合、今後同様の形態で素材が強固になって本当に実弾が撃てるものが出た時に「おもちゃじゃないか」と突っ込まれる可能性があり、それを防ぐためではないかと語ります。

そのうえでSATOは「この書類送検、自分はやりすぎやと思います」ともコメント。「没収、そして厳重注意でも良かったんちゃうかなと思います」と述べ、「警察の判断だけでこんなクソみたいなおもちゃ持ってるだけで書類送検されてしまう国になってしまったんかと思うと、ちょっと自分は悲しい」と続けます。そして、「日本国民も声を大にして言ってかなあかんかもしれないですね、おかしいものはおかしいと」とも呼びかけています。

コメント欄には「この人有能すぎる こういう実験動画見たかったのよね ありがたい」「『飛距離2メートル、恐ろしい銃です 』笑かしてもらいました」「投げた方が有効射程が長いのでは」「フルメタルを殆ど摘発しないのにコレを問題視したのは構造で規制するという意思表示だよね」といった声が寄せられています。