日本有数の映画ガイド・高橋ヨシキが『テレビの中に入りたい』をレビュー!
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イチオシスト
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イチオシ編集部 旬ニュース担当
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日本有数の映画ガイド・高橋ヨシキが新作映画をレビューする『高橋ヨシキのニュー・シネマ・インフェルノ』。90年代アメリカを舞台にアイデンティティにもがく若者たちのメランコリックスリラー!* * *『テレビの中に入りたい』
評点:★1点(5点満点)
© 2023 PINK OPAQUE RIGHTS LLC. ALL RIGHTS RESERVED.作品の意図が映画内で表現できていないのは問題だ
評点:★1点(5点満点)

© 2023 PINK OPAQUE RIGHTS LLC. ALL RIGHTS RESERVED.作品の意図が映画内で表現できていないのは問題だ
さまざまな映画賞を受賞し、さらにマーティン・スコセッシやポール・シュレイダーといった名だたる映画監督が激賞する作品とのことだが(一応シュレイダーは「困惑させられる作品でもある」と留保をつけている)、まったく同意しかねると言わざるを得ない。
物語の中心にあるのは現実や時間の感覚の揺らぎだ。そういったものをテーマにした1990年代のティーン向けファンタジー・ドラマが、当時それを観ていた主人公とその友人の現実に影響を及ぼし、彼らの「現実」が改変されているらしい。
その不安を、一種のホラー・ファンタジー映画として描くという方向性は理解できる。
「いかにも」なだけで奥行きを欠いた平板な画の連続や、見せ場に乏しくテンポが超スローなことも、観ていて気恥ずかしくなるほどの模倣も、それはそれで監督の美的選択の結果なのだろうが、疑問は残る。
自身もトランスジェンダーの監督によれば、本作は「自分のアイデンティティが割り当てられた性別と一致しないことに気づく瞬間」についてのものだというが、そのことが映画を観ただけではおそらく分からないとすれば、作品自体に何かが根本的に、そして決定的に不足しているのだ。
STORY:謎めいた深夜のテレビ番組『ピンク・オペーク』は⽣きづらい現実世界を忘れさせてくれる唯⼀の居場所。ティーンエイジャーのオー18:58:06ウェンとマディはこの番組に夢中になり、次第に番組の登場⼈物と⾃分たちを重ねるようになっていく
監督・脚本:ジェーン・シェーンブルン
出演:ジャスティス・スミスほか
上映時間:100分
全国公開中
記事提供元:週プレNEWS
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