米欧対抗戦は欧州が2大会連続制覇 勝利を決めたローリーは歓喜「人生で最もクールな瞬間」
<ライダーカップ 最終日◇28日◇ベスページ・ブラックC(ニューヨーク州)◇7352ヤード・パー70>
伝統の米欧対抗戦は最終日、シングルス12マッチが行われた。欧州のビクトル・ホブラン(ノルウェー)が首痛により棄権しハリス・イングリッシュとの対戦は引き分けに。7ptと大量リードをしていた欧州が勝利を決めるのに、11マッチのうち8マッチが必要だと、誰が想像したことだろう。
最終18番。シェーン・ローリー(アイランド)の放った1.8メートルのバーディパットがカップに沈むと、ローリーの体は大きく宙に飛び上がった。土壇場でラッセル・ヘンリーに追いつきマッチは引き分け。0.5ポイントを獲得した欧州の勝利が確定すると、18番グリーンを取り囲んでいたチームの面々が飛び出した。スタンドからはアイルランド国旗が次々と投げ込まれ、興奮のるつぼに包まれた。
11.5ptを獲得して最終日を迎えた欧州チーム。前回のローマ大会で勝利した欧州がカップを保持するために必要な14ptまでは、11マッチでわずか2ptだった。そしてマシュー・フィッツパトリック(イングランド)がブライソン・デシャンボーに引き分け、ルドビク・オーバーグ(スウェーデン)がパトリック・キャントレーに勝利し、1.5ポイントを獲得していた。
序盤はローリーが優勢だったが、後半にヘンリーが追い上げて最後までもつれた。ローリーは18番のフェアウェイを歩きながら、「あのバーディを決められれば、人生で最もクールな瞬間になるチャンスだ」とキャディのダレンに伝えたという。ヘンリーが3メートルのバーディパットを打ちきれずにショートし、チームメイトと大観衆が固唾を飲んで見守る中、ローリーのバーディパットは見事にカップに沈んだ。
ローリーは「ライダーカップに命をかけてきた」という。「こんなに素晴らしい経験をさせてもらえて本当に幸運だ。でも戦っている間、最後の2時間くらいは人生で最もきびしい時間だったかもしれない。バーディパットを打つとき、『これが最後だ』と思って打った」と、重くのしかかる重圧と一日中戦ってきた胸中を打ち明けた。
2年後の次戦は、ローリーの母国アイルランドで開催される。「ライダーカップは僕にとってすべてだ。アイルランドで開催された全英オープンで勝利した。それは本当に夢が叶った瞬間だった。だけどライダーカップこそが僕のすべてだ」と声を震わせた。
トニー・ジャクリンに続き、2大会連続でチームを勝利に導いたルーク・ドナルド主将は「最終日は厳しい戦いになると思っていた。しかしここまで厳しいとは思っていなかった」と苦しい戦いを振り返った。周囲からは『次戦もドナルド主将で』と3大会連続を望む声が大きく上がっている。(文・武川玲子=米国在住)
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