日本有数の映画ガイド・高橋ヨシキが『ザ・ザ・コルダのフェニキア計画』をレビュー!
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イチオシスト:イチオシ編集部 旬ニュース担当
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日本有数の映画ガイド・高橋ヨシキが新作映画をレビューする『高橋ヨシキのニュー・シネマ・インフェルノ』。家族の絆と再生を描いたクライム・ファミリー・コメディ。* * *『ザ・ザ・コルダのフェニキア計画』
評点:★3.5点(5点満点)
Courtesy of TPS Productions/ Focus Features ©2025 All Rights Reserved美麗で精緻で中身が空っぽの宝石箱
評点:★3.5点(5点満点)

Courtesy of TPS Productions/ Focus Features ©2025 All Rights Reserved美麗で精緻で中身が空っぽの宝石箱
往年の女優「ザ・ザ・ガボール」がそうだったように、日本では伝統的に「Zsa Zsa」を「ザ・ザ」と転写することになっているが、どう聞いても「ジャ・ジャ」なのに「ザ・ザ」と表記されるのには違和感がある。
本作はウェス・アンダーソン監督がまたもや特異なビジュアル・スタイルならびに演出スタイルを徹底させた作品で、一分の隙もなく作り込まれた絵本的な、あるいは箱庭的な世界観が存分に楽しめる。
ただそこに一抹の窮屈さを感じることもまた事実だ。
というのも、ビジュアルにせよ演出にせよ、これだけのまとまり、統一感が達成されているということは、裏を返せば世界観を保つために「やってはいけないこと」すなわち禁じ手が多くなっているからである。
それでも、それが例えば前作『アステロイド・シティ』のように、箱庭的な世界を描きつつ、その外側へと思いを馳せる物語と効果的に対応していればそこまでの窮屈さは感じないのだが、架空の大富豪が巨大インフラ実現のために空疎なアドベンチャーを繰り広げる本作の場合、表現の幅が狭まってしまった印象は拭いきれない。
美麗で精緻で絢爛だが中身が空っぽの宝石箱のような作品、と言ったらいいだろうか?
STORY:舞台は1950年代のヨーロッパ、架空の「大独立国フェニキア」。ビジネスの危機的状況を打開するべく旅に出たヨーロッパの大富豪ザ・ザ・コルダは、娘で修道女見習いのリーズルと共にさまざまな事件に巻き込まれていく......
監督・脚本・製作:ウェス・アンダーソン
出演:ベニチオ・デル・トロほか
上映時間:102分
全国公開中
記事提供元:週プレNEWS
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