東京六大学野球の秋季リーグ戦は、投打のドラフト候補4人に注目!!
早稲田大の右のエースナンバー「11」を背負う伊藤。チームのリーグ4連覇と、ドラ1でのプロ入りを実現できるか
東京六大学野球の秋季リーグ戦が9月13日に幕を開ける。創設100周年の祝福ムードで行なわれた春季リーグは、立教大の選手として59年ぶりの三冠王に輝いた4年の山形球道や、明治大とのリーグ優勝決定戦を制して3連覇を成し遂げた早稲田大などが球場を沸かせた。
メモリアルイヤーを締めくくる秋のリーグ戦では、どのようなドラマが生まれるのか。チーム浮沈のカギを握る、10月23日のNPBドラフト会議でも注目の4年生たちを紹介したい。
上位指名候補の筆頭は、早稲田大のリーグ33連覇を支えた右腕・伊藤 樹だろう。
2021年春の甲子園、仙台育英学園高(宮城)でベスト8を経験した伊藤は、大学1年時からリリーフとして起用された。2年秋には先発を任され4勝1敗、防御率1.99。3年春からは小宮山 悟監督からチームの右投手のエースナンバー11番を託された。
1989年にドラフト1位でロッテに指名された小宮山監督は、「ドラフト1位でプロに行くことの本質を知ってもらうために、僕の学生時代の記録を手渡しました」と激励した。
それを受け止めた伊藤は、最速151キロの速球と巧みな変化球を投げ分ける安定した投球で、昨年のリーグ連覇に貢献。監督に「11番を託して良かった」と言われるまでに成長した。
今春もチームを牽引したが、中でも圧巻だったのは明治大2回戦(5月19日)でのノーヒットノーランだ。負ければ優勝を逃す可能性があった中で11奪三振の快投。そこから5連投し、優勝決定戦では5失点を喫したものの、持ち直して完投勝利(6-5)を挙げてリーグ3連覇を手繰り寄せた。秋も伊藤を中心に4連覇を目指す。
その伊藤と優勝をかけて投げ合ったのが、明治大の最速150キロ左腕・毛利海大だ。
2年春にリリーフとしてデビューすると、3年春の途中から先発を任されて初勝利も挙げた。同年秋には6試合に登板して3勝1敗、防御率はリーグ2位の1.53。今春も変化球を見せつつ、自慢の速球で差し込む投球を持ち味に9試合で6勝をマークし、最優秀防御率(1.34)とベストナインに輝いた。
7月の日米大学野球でも安定感は健在で、3試合に登板して合計7回を無失点。第3戦では先発として5回を失点0に抑えて優勝に貢献し、最優秀投手賞を受賞している。学生生活最後のリーグ戦でさらに飛躍し、ドラフト上位指名につなげたいところだ。
毛利に加えて、髙須大雅や久野悠斗らドラフト候補がそろう明治大の投手陣をリードするのは、強打が魅力の捕手・小島大河だ。
神奈川・東海大相模高2年時の冬に二塁手から捕手に転向。しかし経験の少なさをものともせず、21年春のセンバツに出場。石田隼都(現巨人)とバッテリーを組んで優勝に貢献し、注目を集めた。
明治大では1年の秋にベンチ入りし、翌年春からレギュラーに定着。打率.282、2本塁打、7打点の活躍でベストナインを獲得した。その後の全日本大学選手権では、決勝で青山学院大の常廣羽也斗(現広島)に完封負けを喫したものの、意地の2安打を放って敢闘賞を獲得した。
以降の4シーズンはいずれも打率3割を超える成績を残し、昨夏の日米野球では4番を務めた。攻撃型の捕手としてさらなる飛躍が期待された今春は、シーズン序盤こそ出遅れたものの、慶応大3回戦(4月28日)でスリーランを放ってから復調。
慶応大との2回戦(4月27日)で左脇腹の肋骨を骨折するアクシデントもあったが、一塁手として早期に復帰し、10試合に出場して打率.316、3本塁打、7打点。出塁率.450、三振数3という数字が示すように、粘り強い打撃と、コンタクト能力の高さも魅力だ。
最後は、日米野球で主将を務め、MVPを獲得した法政大の松下歩叶を紹介する。
小学校6年のときにDeNAベイスターズジュニアに選出。静岡裾野リトルシニアに在籍していた中学3年の夏には、全国大会優勝をつかみ取った。桐蔭学園高(神奈川)では甲子園の土を踏むことはできなかったものの、強打のショートとしてその名を広めた。
法政大では1年秋にベンチ入りを果たすと、2年春の東京大1回戦(5月20日)に、本塁打でリーグ戦の初ヒットを記録。2年の秋から二塁手のレギュラーに抜擢され、ベストナインを獲得した。
三塁手にコンバートされた3年春には2本塁打。大学日本代表を経て迎えた秋のリーグ戦では、打率.352、5本塁打、13打点を記録するなど長打力と確実性に磨きをかけ、異なるポジションで、3大会連続のベストナインに輝いた。
そして主将を任された4年春は、4番・三塁手で起用されたが......開幕の立教大戦(4月19日)で、三塁ゴロを内野安打にしてしまうミスでサヨナラ負けと、苦しいスタートになった。
それでも、早稲田大2回戦(4月28日)で伊藤から本塁打を放って存在感を示すと、そこから本来のプレーを取り戻し、打率.315、2本塁打、7打点という成績を残している。
夏の日米野球では代表チームの主将を務め、1番・三塁手で5試合にフル出場。第2戦(7月9日)で2安打2打点の活躍を見せると、第3戦では、来年のMLB1位指名候補と目されているダックス・ホイットニー(オレゴン州立大1年)から先制タイムリーを含む2安打で勝利に貢献。4戦目でも本塁打を放ち、5連勝に貢献して大会MVPも獲得するなど、大舞台で大きな成長を遂げた。
昨年、東京六大学からは宗山 塁(明治大→楽天)ら6選手が指名を受け、プロ選手としてのキャリアをスタートさせた。最後のアピールの場となる秋季リーグ戦で、ドラフト候補たちはどのような活躍を見せるのか。その奮闘を見守りたい。
取材・文/白鳥純一 写真/アフロ
記事提供元:週プレNEWS
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