柄本佑と渡辺謙が初共演 芝居小屋が舞台のミステリー 「木挽町のあだ討ち」公開決定

2023年に直木賞と山本周五郎賞を受賞した、作家・永井紗耶子原作の小説「木挽町のあだ討ち」の映画化が発表された。監督・脚本を源孝志が務め、柄本佑が主演、渡辺謙が共演する。2026年2月27日に劇場公開される。
「木挽町のあだ討ち」は、江戸の芝居町で語り草となった大事件をめぐる物語の作品。ある雪の降る夜、芝居小屋のすぐそばで美しい若衆・菊之助によるあだ討ちが見事に成し遂げられた。その事件は、多くの人々の目撃により、美談として語られることとなる。1年半後、菊之助の縁者と名乗る侍・総一郎が「あだ討ちの顛末を知りたい」と芝居小屋を訪れる。菊之助に関わった人々から事件の経緯を聞く中で、徐々に明らかになっていく事実。果たしてあだ討ちの裏に隠された”秘密”とは。そこには、想像を超える展開が待ち受けていた。
主演を務めるのは柄本佑。あだ討ちに隠された真実に迫る田舎侍の加瀬総一郎。総一郎が訪れる芝居小屋「森田座」の中心人物であり、あだ討ちを成し遂げたその裏でひそかに謀略を巡らせていた黒幕の立作者・篠田金治を、渡辺謙がミステリアスに演じる。柄本佑と渡辺謙は初共演となる。監督・脚本は、「スローな武士にしてくれ~京都撮影所ラプソディー~」「忠臣蔵狂詩曲No.5 中村仲蔵 出世階段」など、画期的な時代劇ドラマで高い評価を得ている源孝志。
原作は、時代考証の確かさと登場人物たちのリアルな感情描写が高く評価され、江戸の世界へと導かれるような見事なストーリー展開が、多くの読者の心を震わせた。直木賞と山本周五郎賞を受賞したほか、芝居小屋を舞台にした人情作品でありながら、その巧妙な展開構成が称賛され、「このミステリーがすごい! 2024年版」国内編など、多くのミステリー賞にもランクイン。2025年には歌舞伎で舞台化された。

柄本佑らのコメントも公開された。コメントは以下の通り。
■柄本佑(加瀬総一郎役)
何を隠そううちの父は木挽町の生まれでして、今作の小説が出た時に「これは読まなければ」と、あまり本を読まない僕が珍しく買って読んでた小説なわけなのですが、まさか自分にお話が来ようとは思いもしませんでした。
源監督は出演数の1番多い監督。
スタッフも勝手知ったる旧知の仲間。
皆さんとのお仕事はいつも楽しいばかり。
加えて京都太秦撮影所でのがっつり撮影ですから、隅から隅まで俺得でしかない現場でした。
原作を読んだことのある方は「あれ、どうやって映画にするのん??」と思われるかもですがご安心を。
流石源監督。ホンを読んで「そうきたかぁ」と唸りました。
是非お楽しみにしていただけたら、これ幸い。
■渡辺謙(篠田金治役)
原作を読んだ時、この作品映画でやりたいなと思っていました。源さんから出演をオファーされた時、2つ返事でした。
脚本はミステリーと群像劇の要素が入り、東映らしい痛快なチャンバラ時代劇になりました。
■永井紗耶子(原作者)
この作品は、読者の皆様を江戸の芝居小屋にご案内するような気持ちで書いていました。それが、オーディブル、歌舞伎に続き、映画に。実際に撮影現場で芝居小屋のセットに入った時、まるでタイムスリップしたような臨場感がありました。監督、スタッフのみなさんのパワーと、役者さんたちの熱演によって、新しい角度から表現される「木挽町のあだ討ち」。ぜひ多くの方に、楽しんで頂きたいと思っています。
■源孝志監督
直木賞を受賞して間もない『木挽町のあだ討ち』を映画化したい、監督してもらえないか?というオファーを受けたのは、「赤坂大歌舞伎」「中村仲蔵」など、江戸歌舞伎の世界を舞台とした作品が続いていた時期だった。正直、私的には歌舞伎ものはお腹いっぱいで、半ば断ろうと思っていた。
思っていたのだが…… 渡された原作を、ついつい一晩で読んでしまった。
生き場所を失って芝居小屋に流れ着いた江戸の演劇人たち。彼らの細やかな悲しみが丁寧に織り込まれたエピソードが、重層的にストーリーを動かし、次第に仇討へと収斂されていく展開が見事だった。
脚本をどう書くべきか? と悩んでいた頃、別作品のミーティングでたまたま会った渡辺謙さんが、
「『木挽町のあだ討ち』読んだ? あれ、面白いよね。映画にならないかなぁ」
と私に言った。私はシレッと聞き返した。
「謙さんなら、どの役がやりたいですか?」
「そりゃ〇〇○でしょう?」
「いや、△△の方がいいと思いますよ」
「何それ? 源さんが撮るの?」
「いやいやいや…」
キナ臭い役者と監督の会話である。
この作品を映画化するにあたって、一つ難度の高い問題があった。
私に監督を依頼したプロデューサーは、この人情溢れる物語を、サスペンスタッチのエンターテイメントに仕立て上げて欲しいという。無茶な話である。
この無茶振りに対する打開策を数日ぐるぐると悩み、やがて唐突に「解」を得た。
ダラっと家で見ていた『刑事コロンボ』の再放送が、その『解』をもたらしてくれた。
コロンボの如く、ニュルっと仇討ちに隠された謎に切り込んでいくのは、原作では一言も喋らない男。
すぐに、柄本佑のニュルっとした笑顔が思い浮かんだ。
その前に立ちはだかるのは、渡辺謙率いる、クセ強めの〝森田座アヴェンジャーズ〟。彼らが守ろうとしたものはいったい何なのか? 役者の顔が見えてきたら、脚本は一気呵成に書き終えた。まだ完成前だが、原作を読んだ読まないにかかわらず、最後まで疾走感を感じるエンターテイメントになっていると思う。
■須藤泰司(プロデューサー)
クリスティの『オリエント急行殺人事件』を江戸の町に置き換えたような上質のミステリー、粋で痛快なストーリー。そして歌舞伎の華やかさ。そんな原作小説の持つ魅力をさらに膨らませ、極上のエンタメ作品が誕生しました! 柄本佑を筆頭に、全員クセ者、訳あり男女。締めるは大ボス渡辺謙。誰がホントか嘘なのか? 時代劇が再び脚光を浴びる中、東映京都の職人たちが咲かせた「あだ討ち」の花、とくとご覧あれ!!
【作品情報】
木挽町のあだ討ち
2026年2月27日(金) 全国公開
配給:東映
©2026「木挽町のあだ討ち」製作委員会
記事提供元:映画スクエア
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