毒々で大変身したバンビが人を殺しまくる 痛快な動物パニック映画 『子鹿のゾンビ』
飯塚克味のホラー道 第132回『子鹿のゾンビ』

今年もやって来た、権利切れとなり、ホラー化した人気キャラクターが大暴れするユニバース、プーニバースの最新作。今回、クリエイターたちのターゲットになったのは可愛いバンビ。森の中で人間たちに追われ、愛くるしい子鹿が一人前の鹿へと成長していく感動作だ。1942年に製作されたディズニー映画を観ていないとしても、一度はタイトルを耳にしたことがあるはずだ。
話は母鹿を猟師に撃ち殺されたバンビが、今度は森林開発で妻のメス鹿もトラックに轢き殺されてしまい、自分の子どもも行方不明に不明になってしまう。人間たちが捨てていった有害物質が川に流れ込み、それを口にしたバンビは巨大な体格を持つ、「子鹿のゾンビ」へと大変身。目にする人間を片っ端からえじきにして、殺しまくる!というものだ。
映画はわずか1時間21分。大ヒット中の『国宝』(2025)や『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』(2025)が長尺で、ネットを見れば、誰もがトイレの心配をしているが、本作ではそんな心配は完全にご無用だ。何しろバンビが人を襲うようになるまで、短いアニメでテンポよく語ってくれ、いきなり本筋に入っていくので、全編クライマックスと言っても過言ではない、これ以上はない見やすい作りになっている。
人によってはチャールズ・ブロンソンが出ていた『ホワイト・バッファロー』(1977)や、ラッセル・マルケイ監督のデビュー作『レイザーバック』(1984 )を思い起こす人もいるかもしれない。確かに巨大で凶暴な元・動物が人を襲いまくるので、間違ってはいないが、そこまで人間のドラマを掘り下げていないので、気持ちよくバンビ側に立って映画を楽しめるはずだ。

またタイトルにゾンビとあるが、あらすじにあるように、緑色の有害物質を口にして凶暴化するので、時代が時代なら『悪魔の毒々モンスター』(1984)をパクったようなタイトルが付いたことだろう。『悪魔の毒々バンビ』とか。
そんな本作を作り上げたのはダン・アレン。『ヘブン・イン・ザ・ヘル』(2017)や『ザ・マミー リボーン』(2019)で監督のキャリアを築き、『プー2 あくまのくまさんとじゃあくななかまたち』(2023)の編集を担当したことで、プーニバースに関わるようになる。因みに『プー あくまのくまさん』(2023)と続編の監督、リース・フレイク=ウォーターフィールドは、本作で製作を担当し、監督を後方支援している。
拡大を続けるプーニバースだが、新たな作品は全米で1月に公開済みのピーター・パンもの『Peter Pan's Neverland Nightmare』(2025)。そして現在仕上げ中なのが、近年、ロバート・ゼメキスやギレルモ・デル・トロも手掛けたピノキオ映画『Pinocchio Unstrung』(2025)となっている。どのような仕上がりになっているか、ファンなら期待で胸が震えている事だろう。
昨年アナウンスされたプーニバース映画、『Poohniverse: Monsters Assemble』の完成も待たれるが、現時点では制作発表以降、具体的な情報が止まっている。是非とも本作を劇場でチェックして、日本にもこの手の作品のファンが確実に存在していることを、作り手たちにアピールしたいと思うのだが、いかがだろう?
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飯塚克味(いいづかかつみ)
番組ディレクター・映画&DVDライター
1985年、大学1年生の時に出会った東京国際ファンタスティック映画祭に感化され、2回目からは記録ビデオスタッフとして映画祭に参加。その後、ドキュメンタリー制作会社勤務などを経て、WOWOWの『最新映画情報 週刊Hollywood Express』の演出を担当した。またホームシアター愛好家でもあり、映画ソフトの紹介記事も多数執筆。『週刊SPA!』ではDVDの特典紹介を担当していた。現在は『DVD&動画配信でーた』に毎月執筆中。TBSラジオの『アフター6ジャンクション』にも不定期で出演し、お勧めの映像ソフトの紹介をしている。
【作品情報】
子鹿のゾンビ
2025年8月29日(金)より新宿ピカデリー他全国公開
配給:ハーク、S・D・P
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記事提供元:映画スクエア
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