城島健司も実践していた“朝ノート”!「もっと上手くなろう、もっと強くなろうと思えますから」【四の五の言わず振り氣れ】
昨年でツアーから撤退した上田桃子やルーキー・六車日那乃などを輩出する「チーム辻村」を率いるプロコーチの辻村明志氏。元プロ野球選手の城島健司氏から目からウロコの学びを得たという。
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かねてより親交のある福岡ソフトバンクホークスの会長付特別アドバイザー兼シニアコーディネーターを務める城島健司さん。実は城島さんは若手選手を引き連れて、数回ボクたちの合宿所にも訪れています。若手選手に「打撃」についての学びの場を与えるためです。城島さんいわく、「男子プロだと、パワーでなんとかしてしまう。その点、体が小さく非力な女子プロは、体や道具の使い方が上手い。そこを学ばせたいんです」ということでした。
野球もゴルフも大切なのは脱力です。この点は読者の皆さんにも、大いに参考になる考え方ではないでしょうか。
もちろん城島さんからも、ボクたちもいろんな勉強をさせてもらっています。その中で今回、ノートの書き方について、目からウロコの大きなアドバイスをいただきました。
皆さんの中にも、ゴルフノートをつけている方はいらっしゃると思います。ボクもジュニア時代からコーチになった今でもノートはつけていますし、また選手たちにもノートをつけることを勧めてきました。プロに入ってから野球ノートをつけてきたという城島さんは、選手たちにこんな質問をしたのです。「ところでノートはいつ書いているの?」
ほとんどの選手が就寝前に、その日の反省を中心に書くと答えました。それを聞いて城島さんは、「もちろんそれも大事だけど」と前置きしつつ、現役時代は努めて、朝起きてから書くようにしていたといいます。というのも夜に書くと反省やミスなど、ネガティブな言葉や否定的な考え方ばかりで埋め尽くされ、そのイメージが強く刻まれてしまうことがあったというのです。それらに支配されると、時に寝付けなくなってしまったこともあったとか。
「そこで朝、書くようにしたんです。だって朝起きたら、今日はこんな一日にしよう、この練習に取り組んで、この課題を克服して、もっと上手くなろう、もっと強くなろうと思えますから」
どうでしょうか。なるほど、と思いませんか。もちろん反省も大事です。しかし、それ以上に大事なのは、反省の上に立っての課題克服であり、それを実現する「やるぞ!」という思いではないでしょうか。
これを聞いて、実際の練習でも同じことがいえそうです。というのも練習場で、自分の犯したミスばかりが気になって、首を傾げているタイプのゴルファーがいます。たいていこういう人は上達が遅いし、プロであればなかなか勝てない、あるいは超スランプに陥っている選手に多く見受けられる気がします。
一方、「こういうボールを打つんだ」と、これからやろうとするスイング、これから打とうとするボールに強く意識を持つゴルファーもいます。仮に思うようなボールが打てなくても、「次はこうして打つ」と、未来に立ち向かっていくタイプです。
指導者の立場から言えば、ミスの原因を指摘するのは簡単なこと。しかし、ネガティブな言葉で、悪いところばかりを指摘したところで、レッスンを受けた人が上達するわけではありません。むしろ迷路に入り込んでしまうことが多いのではないでしょうか。それに対してミスの原因を理解しつつ、「次はこうしてみましょう」という提案こそが指導であり、優れたレッスンのような気がします。
極端な話、スライスに悩む人がいれば、次は思い切りフックを打ってみればいいのです。ダフりやすい人であれば、思い切りトップすればいいのです。その中間に理想のボールとスイングがあるのですから。ミスばかりを気にする人と、ミスを恐れずチャレンジする人。果たしてどちらの人の上達が早いでしょうか。
「他人と過去は変えられないが、自分と未来は変えられる」
という言葉があります。ゴルフの1球にも通じる話だと思います。皆さんもチェックするべき項目を朝ノートに書き出して、ポジティブな気持ちで練習に向かってはどうでしょうか。
■辻村明志
つじむら・はるゆき/1975年生まれ、福岡県出身。上田桃子、六車日那乃らのコーチを務め、プロを目指すアマチュアも教えている。読売ジャイアンツの打撃コーチとして王貞治に「一本足打法」を指導した荒川博氏に師事し、その練習法や考え方をゴルフの指導に取り入れている。元(はじめ)ビルコート所属。
※『アルバトロス・ビュー』864号より抜粋し、加筆・修正しています
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