日本有数の映画ガイド・高橋ヨシキが『バレリーナ:The World of John Wick』をレビュー!
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アクション場面が過度のインフレを起こした結果、「すさまじく、かつ長いアクションの隙間に少しだけお話らしきものが見え隠れする」という事態に陥った『ジョン・ウィック』シリーズの番外編で、バレリーナ兼殺し屋として育成された若い女性イヴ(アナ・デ・アルマス)が父親の復讐を果たすため、シリーズ特有の「殺し屋の掟」や「協定」をぶっちぎって殺戮行脚へと向かう。
ストーリー自体は他愛もないものだが、さまざまな創意工夫を詰め込んで飽きさせない。娯楽映画では、か細い女性が何倍も体格差のあるゴツい男をいとも簡単にやっつけてしまうことがよくあるが、そう見えないように細心の注意を払っているのもよく分かる。
手榴弾やアイススケート靴、火炎放射器を使った意外なアクション場面もユニークで、観ていて「あっ! そんな面白いことができるものなのか!」と、思わずニコニコしてしまうところがいくつもあった。
「アクション」とひとくちに言っても、そこにどれだけの工夫や意外性を詰め込むかで映画を観る楽しみは大きく変わってくるのである。題名に反してバレリーナ要素はほとんどないに等しいが、そこはたぶん作られるであろう次回作に期待したい。
STORY:孤児を集めて暗殺者とバレリーナを養成するロシア系犯罪組織ルスカ・ロマ。裏社会にとどろく伝説の殺し屋ジョン・ウィックを生み出した組織で殺しのテクニックを磨いたイヴは、幼い頃に殺された父親の復讐に立ち上がる
監督:レン・ワイズマン
出演:アナ・デ・アルマス アンジェリカ・ヒューストンほか
上映時間:125分
全国公開中
記事提供元:週プレNEWS
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