“中嶋常幸スタイル”で3試合ぶり予選突破 中村心はルーキー初V目指して後半戦に挑む「最後まで諦めない」
<北海道meijiカップ 最終日◇10日◇札幌国際カントリークラブ 島松コース(北海道)◇6642ヤード・パー72>
昨年プロテストに合格し、ルーキーシーズンを戦う中村心が3試合ぶりに最終日まで戦った。38位で迎えた最終日に5バーディ・2ボギーの「69」をマーク。トータル4アンダー・16位タイで終えた。
トップ20は、今季自身3戦目でプレーオフにて優勝争いを繰り広げた「富士フイルム・スタジオアリス」での2位以来となる。同大会からは4試合連続で予選落ちを喫し、その後の2試合は最終日までコースに立つも、高額賞金大会の「アース・モンダミンカップ」も週末行きを逃し、「ミネベアミツミレディス」からは3試合連続で決勝ラウンド進出に失敗していた。
課題は「ショートゲーム」。試合会場には芝生から打てるアプローチ練習場があり、「いい環境で練習ができるので、そこでいろんなライをやったり、キャディさんに教えてもらったりして、けっこう勉強にはなっている。そこをもう少し練習したら、もっともっと良くなるなって思うってはいます」と克服するために、小技は特に時間を取って体に染み込ませている。
そして、もう一つ、スコアを伸ばせない原因となっているのがパッティング。「先週から(ボールの)ラインを合わさずに打つようにしました」と、オープンウィークに出場した国内女子メジャーの「日本女子オープン」の地区予選からボールの置き方を変更した。「そのときに良い感じだったので」と4アンダーの「68」で回り3位タイで突破。最終予選会(9月1~2日)進出を決めた。
ジュニア時代からこれまでは「(ボールに)3本ラインを引いていた」と、それを打ちたい方向にラインを合わせて置いていた。しかしここ最近は「合わせても構えたらそれが気持ち悪く見えてしまうので、そこに自信をもって打てなかった。それでストロークが少し気持ち悪くなることがあった」という変化が。ボールの真後ろから見て置いたときと、アドレス時に真上から見たときと、線が向いている方向にギャップを感じ、ストロークに影響が出ていた。
中村のなかで、18ホールでパッティング数30を超えたくないというラインを引いている。そのなかで「資生堂・JAL レディスオープン」では最終日に33回、ミネベアミツミ レディスでは2日目に32回、前戦の「大東建託・いい部屋ネットレディス」の初日に33回などパット数が30回を超えることがあった。
「それだったらしっかりエイムポイントで狙いどころを決めて、ちゃんとそこにフェースを向けて打つ」ということを実践。ボールは自分に対して『SRIXON』というロゴも向けず「真っ白な部分」を向けるようにした。「ボールのラインを気にせずにできたので、ストロークはラインに合わせてできましたし、パット数は30を切れたりもしたので、悪くなかったです」と初日、2日目は両日とも28パットと結果にも表れた。
変更するきっかけとなったのは、「何年か前の初めて中嶋プロの合宿に行った時」。師匠で国内ツアー通算48勝を誇る中嶋常幸の“マネ”だった。中村は中嶋が主宰するトミーアカデミーの6期生で、今年1月末~2月頭の合宿で卒業している。「中嶋プロもラインを合わせてないのを聞いて、そのあと1回ラウンドの時に合わせずにやった時にけっこう良かったんです」と“中嶋流”に好感触を得ていた。
しかし、試合では「合わせないと不安。いままで合わせていたから」と長く慣れ親しんだ方法から、試合期間中にすぐに変更することは難しい。「でも、やっぱり何かを変えないといけないと思い、合わせないでいこう」。予選落ちが続き、負のスパイラルから脱出するために決断したことが“吉”と出た。「(ラインは)もういらないかなって。(書く)手間も省けるし」と笑いながら冗談交じりに話す。
新しい取り組みをして、流れを変えることができた一戦。今季はQT74位で始まり、第1回リランキングで19位まで浮上した。今季の残り試合で、目標にする「ルーキーイヤーで初優勝」へ挑んでいく。
そのためにも「予選通過は毎週しておきたい」と安定した結果を積み重ねながら、訪れたチャンスをモノにしたい。「最後まで諦めずに頑張りたい」と強い眼差しを見せた。師匠である「中嶋プロ」のうれし泣きを見るために…。(文・高木彩音)
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