10ギガの超高速ネット回線契約でも“激遅”! 見落としがちな3つの落とし穴とは?
SNSでは、「10ギガ(Gbps)の超高速ネット回線サービスを導入したのに、なぜか速度が激遅!」という声が聞かれます。その原因として考えられるのが「スイッチングハブや壁裏のLANケーブル」「Wi-Fiルーター」「PCのLAN端子」などが10ギガ非対応であること。そこで、今回は実際に10ギガの「フレッツ 光クロス」を導入した筆者が行った解決策を紹介しましょう。
10ギガの「フレッツ 光クロス」を導入したのに速度が遅いのはなぜ!?
筆者は築9年の中古マンションに引っ越したとき、10ギガ(Gbps)対応「フレッツ 光クロス」を導入することにしました。
このマンションの光回線の速度は本来1ギガ(1,000Mbps)ですので、10ギガ(10,000Mbps)は理論上その10倍も速いんですね。
マンションの初期工事費用は約2万円かかりましたが、無事、自宅マンションに10ギガ対応のフレッツ 光クロスが開通しました。
そこでさっそく、スマホ(iPhone 15 Pro)をWi-Fiで接続してネット回線の速度を測ってみましたが、なんと90Mbpsしか出ていません。10ギガのはずなのに、これはいったいどういうことなのでしょうか?

ネットの速度が遅い原因はいくつか考えられます。まず、今回はマンションですので10ギガ対応ONU(光回線終端装置)は玄関の靴箱の上の棚に設置されているものの、以前から設置されていたスイッチングハブが10ギガに非対応でした。
10年くらい前までの中古マンションなら1ギガまでは対応しているでしょうが、15年以上前になるとさらに遅い0.1ギガ(100Mbps)対応の場合もあります。
また、中古マンションだと壁裏から各部屋に配線されているLANケーブルが、10ギガ非対応であることも考えられます。
ほかにも、室内のWi-Fiルーターが古い規格である場合、そこがボトルネックになります。必ずWAN(INTERNET)ポートが10ギガに対応している製品を使いましょう。
ノートパソコンでもWi-Fi 7対応機種が増えてきましたが、数年前のパソコンはWi-Fi 5(11ac)やWi-Fi 6(11ax)が主流でした。Wi-Fi 5だと最大6.9Gbpsですので10ギガの速度をフルに発揮することはできません。
また、iPhone 16シリーズは「Wi-Fi 7」対応で、iPhone 15/15 Plusは「Wi-Fi 6」、iPhone 15 Pro/15 Pro Maxは「Wi-Fi 6E」まで対応しています。AndroidスマホでもWi-Fi 7対応機種はありますが、機種ごとで大きく異なりますので、自分のスマホのスペックを公式サイトなどで調べてみてください。
さらに、デスクトップパソコンで有線LANを利用するときは、パソコンのLAN端子に注意。古いパソコンのLAN端子は1ギガまでしか対応しませんし、最新パソコンでもせいぜい2.5ギガまでです。

このように、古いマンションではLANの速度が100Mbps〜1Gbps(1,000Mbps)程度までしか想定されておらず、せっかく10ギガのサービスを導入しても、そのままでは対応できないことが多いと思います。
そこで、このあとはネットの速度が遅い原因がどこにあるのか? そして、実際に筆者が取った具体的な対策を紹介しましょう。
【原因1】スイッチングハブと室内のLANケーブルが10ギガ非対応!
中古のマンションでよくある原因のひとつが、玄関の靴箱の上の棚などに設置されたスイッチングハブが、1ギガ(1Gbps)までしか対応していないこと。
また、マンションの壁裏から各部屋に配線されているLANケーブルが、10ギガ非対応だったりしますのでご注意ください。実際、筆者の場合は1ギガまでしか対応していない「CAT.5e」規格のLANケーブルが使われていました。


スイッチングハブは自分で10ギガ対応のものに交換することもできますが、すでに室内の壁裏から各部屋に配線されているLANケーブルまで交換するには、内装工事が必要になります。
そこで、筆者は玄関の靴箱上の棚からリビングまでLANケーブルの配線工事を依頼したところ、工事代金はm/単位となり約7万円もかかってしまいました。


【原因2】Wi-Fiルーターが10ギガ非対応!
ここまで、フレッツ 光クロスの初期工事費が2万円、さらにリビングまで10ギガ対応LANケーブルを設置する壁裏の工事費が7万円かかったので、費用は合計で10万円になりました。
しかし、これで終わりではありません。リビングに設置してあるWi-Fiルーターが古いと、WAN(INTERNET)ポートが10ギガに対応しておらず、ここがボトルネックになってしまうことがあるのです。
実際、筆者所有のWi-Fiルーターはかなり古いものだったので、この際、Wi-Fiルーターも10Gbps&Wi-Fi 6対応のバッファロー「WXR-6000AX12P」を約3万円で新調してリビングに設置しました。
ちなみに、WXR-6000AX12Pの最大速度約4.8ギガ(4,803Mbps)ですが、現在では最大46Gbps対応の最新規格「Wi-Fi 7」に対応するWi-Fiルーターも発売されています。今から買うならやはりWi-Fi 7対応機種がオススメですね。
なお、Wi-FiルーターのLANポートに有線LANケーブルを接続するときは、ここが10ギガに対応しているかどうかも重要です。Wi-Fi 7対応Wi-Fiルーターでも、安い機種はLANポートが1ギガや2.5ギガだったりしますので、購入前にチェックしておきましょう。

新しいWi-Fiルーターを設置後に、さっそくリビングでスマホのWi-Fi速度を測ってみると、実測値で2.5Gbpsを記録しました。
フレッツ 光クロス導入直後は90Mbpsですから、なんと約28倍も速くなっています。筆者の場合は壁裏工事の費用が大きかったのですが、約13万円をかけて、ようやく10ギガ対応のフレッツ 光クロスの速度を体感することができたのです。

【原因3】パソコンのLAN端子が10ギガに非対応!
ようやく、スマホのWi-Fi接続では2.5Gbpsまでスピードアップできたのですが、デスクトップパソコンの有線LANは最大でも700Mbps程度しか出ません。
その原因は、パソコンのLAN端子が1ギガまでしか対応していないこと。数年前のパソコンはLAN端子が1ギガまでしか対応しておらず、最新機種でもせいぜい2.5ギガ。まして、10ギガに対応するものはほとんど見かけません。
これでは、いくら10ギガ環境を整えてもパソコンの有線LANの実効速度が1ギガを超えることはないのです。


というわけで、有線LANケーブル接続のデスクトップパソコンを10ギガに対応させるには、10ギガ対応のLANカードを増設するしかありません。
ただし、10ギガ対応LANカードはかなり高価ですので、今回筆者はギリギリ1万円以下で購入できるTP-Linkの「TX401」をAmazonで購入しました。
さっそく、パソコンのPCI Expressに10ギガ対応LANボードを接続してみたところ、有線LANでのネット速度は2.6ギガ(2,600Mbps)程度は出るようになりました。これは以前の約3.6倍も高速です。




ちなみに、予算が厳しい人は2.5ギガ対応のLANカードもあります。Amazonでの価格は3,300円と格安なので、とりあえず実効速度で1ギガを超えたいなら、このような製品も選択肢のひとつになるでしょう。
LANカードを増設できないノートパソコンの場合は、USB接続の2.5ギガや5ギガ対応有線LANアダプターを使う方法もあります。
少なくとも、このようなアダプターを導入することで、実効速度が1ギガを上回ると思うので、LANカードの増設などが苦手な人は、このような製品を利用するのもアリですね。

まとめ
いかがでしょうか? 今回は中古マンションに10ギガ対応のフレッツ 光クロスを導入したあと、本来の速度を出すために、ボトルネックになっていた部分を筆者が実際に解決した方法を紹介しました。
とくに筆者の場合は、壁裏の工事費用が高くトータルで13万円以上の出費になりましたが、最終的にはWi-Fiでも有線LANでも2.5ギガ以上は出るようになりましたので、もし同じような問題に直面している人は参考にしてみてください。
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※記事中の商品は筆者が購入時点のものです(2025年8月)。店舗によっては在庫切れ、取り扱いがない場合もありますのでご了承ください。
記事提供元:スマホライフPLUS
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