JR東日本、2026年3月に運賃値上げへ 電車特定区間・山手線内は「幹線」に統合、オフピーク定期券はエリア拡大
JR東日本の運賃改定申請が認可されました。同社は2026年3月に値上げを実施します。
普通旅客運賃の改定率は平均7.8%。首都圏に設定されている「電車特定区間・山手線内」の割安な運賃区分が「幹線」に統合されるため、特に首都圏エリアでの値上げ幅が大きくなります。本日1日時点の発表では、オフピーク定期券の範囲拡大、山手線内均一定期券の廃止なども明らかになりました。
【参考】
「電車特定区間」「山手線内」の運賃区分を「幹線」に統合 JR東日本、2026年3月運賃改定へ(※2024年12月掲載記事)
https://tetsudo-ch.com/12990395.html
なぜ値上げ? 安全投資と経営環境の変化が理由
JR東日本はこれまで、経営努力によって運賃水準を維持してきました。しかしながら、人口減少に加えコロナ禍を経たライフスタイルの変化や物価高騰、人件費の上昇などにより、鉄道事業を取り巻く環境は厳しさを増しています。
また、ホームドアの整備や耐震補強、設備の更新など、将来にわたり安全・安定輸送を維持するため、多くの費用が必要であることから、運賃改定に踏み切ることとなりました。
2026年3月から何が変わる? 主な改定ポイント
■「電車特定区間・山手線内」の運賃区分を「幹線」に統合

国鉄時代に設定された「電車特定区間・山手線内」の運賃区分を廃止し、「幹線」に統合します。これにより、首都圏の普通運賃(IC)の初乗りは、現行の146円(バリアフリー料金10円含む)から155円に、きっぷの初乗り運賃は150円から160円になります。
なお、きっぷの運賃は1円単位の端数を四捨五入から切り上げに変更するため、小児の一部区間を除き、IC運賃がきっぷより割安になります。
※「電車特定区間・山手線内」の運賃は当時の列車の運行形態や他鉄道事業者との競合状況を踏まえ、基本となる「幹線」の運賃から据え置くかたちで導入されたものです。当時の運賃水準のまま約40年が経過しています。
■全エリアの運賃を改定
運賃改定の影響が特に大きいのは首都圏ですが、「幹線」「地方交通線」の普通旅客運賃・通勤定期旅客運賃も改定されます。6カ月の通勤定期旅客運賃については割引率の見直しが行われます。運賃の平均改定率は、普通運賃が7.8%、通勤定期券が12.0%、通学定期券が4.9%となります。
家計への負担を考慮し、「幹線」「地方交通線」の通学定期券の運賃は据え置かれます(「電車特定区間・山手線内」の区間は「幹線」運賃に統合されるため、値上げとなります)。
■オフピーク定期券の対象エリアを拡大
通常の通勤定期券より割安な「オフピーク定期券」は、現在は「東京の電車特定区間内」に設定されていますが、運賃改定後は通常の通勤定期券より約15%割安な価格設定を継続したうえで対象エリアを拡大します。

新たに対象となるのは、高崎線(宮原~鴻巣)、宇都宮線(土呂~久喜)、東海道線(藤沢~平塚)、外房線・京葉線(本千葉・蘇我)の計18駅です。これに伴い、首都圏の一部で実施している「オフピークポイントサービス」は終了となります。
■東京~熱海間の運賃は?
東京~熱海間では東海道新幹線と東海道線を同一の線路として運賃計算を行っていますが、2026年3月の運賃改定により運賃が異なることになるため、改定後は異なる線路として運賃計算を行います。
これにともない普通乗車券については売り分け、利用区間・経路によって運賃計算経路が変更となる場合があります。東海道新幹線(東京~熱海間)を含む定期券については値上げとなりますが、取扱方法に変更はありません。詳細は別途発表される予定です。
■山手線内均一定期券は廃止
現在発売されている「山手線内均一定期券」(1カ月14,970円)は、運賃区分の統合に伴い廃止されます。
このほか、運賃改定の具体的な実施日や詳細については、決まり次第改めて告知される予定です。詳しくはJR東日本の特設サイト「運賃改定のお知らせ」をご確認ください。
記事提供元:鉄道チャンネル
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