2位発進の片岡大育は左に曲がる不安を払拭「気持ちよかった」 感覚取り戻した1Wは『GT1』
<リシャール・ミル チャリティトーナメント 初日◇31日◇能登カントリークラブ(石川県)◇7142ヤード・パー72>
「大事なところで左に曲がって、林ばっかりでしたよ」。片岡大育の口から信じられない言葉が溢れ出てきた。広大なコースで有名な高知黒潮CCで行われる「カシオワールドオープン」でも「あのコースで左に曲がってOBを打ったり…。なんで大事なところで左にいくんだろうってずっと悩んでいました」。
2013年に初シードを獲得した片岡は、15年に「関西オープン」で初優勝を遂げると3年連続で優勝を挙げ、16年は賞金ランキング5位に躍進。18年には欧州やアジアなど海外ツアーにも積極的に参戦した。片岡のゴルフを支えていた一つは、フェードボールで針の穴を通すほどの精度を誇ったドライバーショットだった。
19年に6年守ったシード権を手放すと、20年には顔面神経麻痺も患った。次第にゴルフの調子を落とし、自身の武器だったティショットの精度を失った。23年末のQTは2位に入り、ゴルフの調子も上がってきたが、前出のように大事なところで左に打ち出して左に曲がる。24年シーズンは賞金シードに約9万円たりず6季ぶりのシード復活を逃した。
クラブ契約フリーのため、自分に合うクラブ探しも行ってきたが、“大事なところで左”は、今季序盤戦も続いた。光が見えたのは6月の「BMW日本ゴルフツアー選手権森ビルカップ」の2日目だった。
「プロはあまり使っていないやさしいモデル」というタイトリストの「GT1」(ロフト9度)が、その立役者。GTシリーズでは最も重心深度が深く、寛容性もあるヘッドである。「タイトリストのレップの方に相談したら、左にいかないように作ってくれました」。ヘッドの外側には鉛がべったり貼られて片岡仕様になっている。
「最初はバックスピン量が多くて、ちょっと使えないかなと思ったんですけど、思い切って左だけ消そうと思って使ったら、スピン量はちょっと多めだけどフェードボールが打ちやすくて。コントロールできているので、ゴルフをしていても楽しくなってきました」
狙ったところに打てる感覚は「優勝していた頃と同じように狙う打ちができています。オートマチックにフェードボールが打てるんです」と、運命の1本に出会った。
大会前日には、ここ数試合苦しんでいたパッティングも「ヘッドのラインではなくフェース面で方向性を合わせる」ことでフィーリングがよくなった。ティショットの不安もなくなり、パットも好感触となったこの日は、8バーディ・1ボギーの「65」。首位と2打差の2位タイで滑り出した。
「気持ちよくゴルフが出来ました」とすがすがしい表情で振り返る。この気持ちよさが続けばシード復帰どころか、17年以来の4勝目も遠くはない。(文・小高拓)
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