スマホの残価設定は“得”か“損”か?車の「残クレ」と何が違うのか徹底比較!

「最新iPhoneが実質半額」「月々1円で話題のスマホを入手」。キャリアショップや家電量販店などで、こうしたキャッチコピーを見たことはありませんか? ハイエンドスマホは年々高額化しており、「必需品だからって10万円以上も出すのは無理!」という人にとって魅力的な選択肢に映るはず。

しかし「本当にそんなに安くなるの?」「何か裏があるのでは?」「結局は2年後に返却するなら、ただのレンタルと変わらないのでは?」「総額では損になるのでは?」という疑問を抱く人もいるでしょう。
特に、自動車購入で広く知られる「残価設定クレジット(通称:残クレ)」と仕組みが似ていることから、その複雑さや潜在的なリスクに不安を感じる声も少なくありません。
そこでこの記事では、そんなスマートフォンの「残価設定型プラン」について、基本的な仕組みから、明確なメリットと隠れたデメリット、また仕組みが非常に似ている自動車の残クレとの違いも解説します。
スマホの残価設定プランの仕組み
スマホの残価設定型プランの仕組みは、非常にシンプルです。一言で言えば、「端末の将来の価値(下取り価格)をあらかじめ決めておき、その価値を本体価格から差し引いた残りの金額だけを分割で支払う」というものです。
例えば、18万円のスマートフォンを「残価設定型24回払い」で購入し、2年後の残価が8万円に設定されたとします。この場合、消費者が支払うのは、本体価格18万円から残価8万円を引いた10万円の部分です。この10万円を23回に分けて支払い、24カ月目に端末をキャリアに返却すれば、残価である8万円の支払いは不要になります。これが「実質半額」や「実質負担額〇〇円」といった広告のからくりです。
この仕組みは、端末を「購入」する割賦販売契約でありながら、特典を受けるためには「返却」が前提となるため、実質的にはローンとレンタルの特徴を併せ持ったハイブリッドな契約形態と言えるでしょう。
スマホの購入プログラム「残価設定型」と「半額型」の違いとは?
なお、キャリアが提供しているスマホの購入プログラムは、前述の「残価設定型」のほか、「半額型」というものもあります。

「半額型」は対象となるスマートフォンを48回の分割払いで購入。その後、端末購入から25カ月目以降(キャリアによっては13カ月目以降や24カ月目なども選択肢あり)に、利用中の端末をキャリアに返却することで、残りの分割支払金(通常は最大24回分)が免除されるという仕組みになっています。

「一定の時期にスマホを返却すればほぼ半額でハイエンドスマホを使える」という点ではどちらも変わりませんが、「残価設定型」は最後の支払い月の大きな金額を支払う(買取)か免除(返却)かどちらか選べるのが特徴です。
一方、「半額型」は総額を長期分割し、後半の支払いを返却で免除するので、返却が基本になっています。
スマホの残価設定プランは自動車の「残クレ」に近い?

説明してきたスマホの残価設定プランと「仕組みが似ている」と言われがちなのが、車の「残クレ(残価設定型クレジット)」です。
自動車の残クレも、購入時に車両の将来的な下取り価格(残価)を設定して、それ以外の金額を分割で支払う仕組みです。契約満了時には車を返却して新しい車に乗り換えるか、残価を一括で支払ってそのまま乗り続けるか、または再分割して支払うといった選択肢が用意されています。
まず、両者の違いを一覧表で整理してみましょう。

両者には、スマホまたは車の所有権が期間中はキャリアまたはディーラーにあり続ける点や「残価設定」の仕組みそのものに類似性があります。
その上で両者の違いには、まず「所有」を前提とするか、「利用」を前提とするかという点があります。
車の残クレは、契約満了時に「残価を支払って完全に自分のものにする(買取)」という選択肢が現実的な選択肢として存在します。そのため、「月々の支払いを抑えつつ、最終的には所有も可能な買い方」という側面が強いです。
一方、スマホの残価設定プランは、特典を受けるためには「返却」が前提となっています。返却せずに使い続ける選択肢はありますが、その場合は金銭的なメリットが失われ、むしろ割高になります。このため、スマホのプランは「短期間、最新機種を借りて使う」というレンタルやサブスクリプションに近い、「利用権」を得るためのサービスと捉えると分かりやすいでしょう。
またどちらも返却時の査定で追加費用が発生するリスクがありますが、その中身が異なります。
車の残クレで最も注意すべきは「走行距離制限」です。契約時に定められた距離を超えると、追加料金が発生する場合があります。
一方、スマホの最大のリスクは、日常生活における落下による画面割れや、水没といった物理的な破損です。したがって、車の残クレでは「乗り方(走行距離)」の管理が重要になるのに対し、スマホのプランでは「取り扱いの丁寧さ」が査定に大きく影響します。スマホケースや画面保護フィルムの利用は、単なるアクセサリーではなく、将来の出費を防ぐための保険的な意味合いが強くなると言えるでしょう。
結局、残価設定型プランは「損」か「得」か?

スマホの残価設定プランを使ってお得な人は1~2年で最新機種に機種変更する人や、端末に傷をつけずに大切に使える人、また、一度に大きな金額を出すのではなく、毎月少額ずつ端末料金を支払いたい人です。
一方、同じ端末を3年以上使う人、端末を自分のものにしたい人、スマホをよく落として画面を割る人などはスマホの購入プログラムにあまり向いていないと言えるでしょう。
なお、スマホの入手方法は「残価設定型プラン」がすべてではありません。スマートフォンには、他にもさまざまな購入方法があります。
・一括購入や通常の分割払い: 総支払額では最も安くなる可能性が高く、何より端末が完全に自分のものになります。メーカー公式ストアや家電量販店での購入も選択肢です。
・中古端末(リユース品)の購入: 数世代前のモデルでも十分な性能を持っていることが多いです。コストを徹底的に抑えたいなら、信頼できる販売店で中古端末を購入するのも賢明な選択といえるでしょう。
スマホは「高価な買い物」になりつつあるのは間違いありませんが、自動車に比べればそれでも入手性が高いデバイスです。自動車で一般的な「残価設定型」での購入を、スマホでも行うかは用途に合わせて慎重に行うことをお勧めします。
※サムネイル画像(Image:Ortho Bro / Shutterstock.com)
記事提供元:スマホライフPLUS
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