LIVゴルフによる欧州への“罰金一部肩代わり”は来季から中止へ 「ライダーカップ」にも影響?
LIVゴルフと米国男子ツアーの「統合」は遅々として進まず、現在もLIV選手はPGAツアーでプレーすることが禁じられている。その一方で、DPワールド(欧州)ツアーには「罰金」を支払うことで参戦が可能。2023年に英国のスポーツ仲裁裁判所は、DPワールドツアーが同週に行われるLIVゴルフ大会に出場する選手に「罰金」を課すことを認める判決を下していた。
これまでにDPワールドツアーへ支払われた罰金は約2000万ドル(約30億円)と試算されているが、その大半を選手に代わってLIVゴルフが支払ってきた。しかしこの肩代わりも今年まで。来季からLIVゴルフはツアーとして罰金の支払いを中止することを選手に通達したと英テレグラフ紙が伝えると、米スポーツイラストレイテッドなどが「LIVゴルフが事実を認めた」と報じた。
これにより大きく影響を受けるのはジョン・ラーム(スペイン)とタイレル・ハットン(イングランド)の二人。彼らは昨年9月、罰金を支払わらず仲裁裁判所に「上告」、現在も審理は続いているため判決が出るまでは「罰金」を支払わずにDPワールドツアーをプレーできる立場だ。ラームは母国スペインで開催されたDPワールドツアーに参戦。ハットンは昨年10月の「アルフレッド・ダンヒルリンクス選手権」、今年1月に「ヒーロー・ドバイデザート・クラシック」で勝利する活躍ぶりで、今年9月の「ライダーカップ」にはポイント4位でチーム入りが期待されている。
米国チームは主催がPGA・オブ・アメリカのため、PGAツアーメンバーである必要がないが、欧州チームに入るにはDPワールドツアーのメンバーでなければならない。「現在二人は上告中のため、少なくとも今年9月にニューヨークで開催されるライダーカップには出場できるが、来季以降、「罰金」を支払わなければ2027年のライダーカップへの出場ができなくなるかもしれない」と英テレグラフは伝えている。
ラームは「僕は『罰金』のファンじゃない。支払うつもりはない」と公言し、「どうすれば世界でプレーできるかを探っている」と上告に踏み切った。一方で一時はDPワールドツアーのメンバーを返上していたセルヒオ・ガルシア(スペイン)は、「ライダーカップ出場を目指す」と罰金を支払い、一定の出場停止期間を経てメンバーに復帰している。
DPワールドツアーは米男子ツアーと戦略的提携を結び共催大会も開催しているが、LIVゴルフに対しては異なる対応をとってきた。LIVゴルフが罰金を支払わないと、選手は自身ですべての罰金を支払うか、DPワールドツアーへの参戦を諦めるか、あるいはDPワールドツアーがルール変更をするのか、という厳しい対応となる。(文・武川玲子=米国在住)
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