初優勝の内田ことこ 飛ばせるドローボールが打てる理想のトップとは?【優勝者のスイング】
「ミネベアミツミ レディス 北海道新聞カップ」は、地元・北海道出身の22歳、内田ことこがツアー初優勝。初日から首位を守り切る完全優勝での初優勝は史上5人目となる快挙だった。国内女子ツアーでは、今季6人目となる初優勝者のスイングをプロコーチの南秀樹が分析する。
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ドライバーからパッティングまでリズム良く振っていて、大きな欠点が見当たらない、シンプルスイングのオールラウンダーです。現在ドライビングディスタンスは247.08ヤードで19位。その飛距離を生んでいるのが、地面反力を使っている点にあると思います。アドレスではあまりヒザを曲げずにスッと立って、クラブをワイドに上げていき、インパクト直前にジャンプが入って、一気に腰を旋回していきます。地面反力を使った腰のレベルターンが上手く、頭の高さも変わらない。右ヒジが曲がった姿勢のインパクトも、大きなフォローにつながり飛距離アップに貢献しています。
ダウンスイングでは、ドローヒッターらしい動きが見られます。ダウンスイングでは、胸を右に向けたまま左足で踏み込む。その後、シャフトが右ヒジをなぞるようにインサイドからクラブが下りてきます。理想的なインサイドアタッカーの形です。
インサイドからクラブが下りてきますが、クラブが寝ないポイントは右腕の使い方にあると思います。クラブが寝てしまう人は、インサイドから下ろそうとして右ヒジを体につけるように、ヒジを絞ってしまいますが、内田プロは右ヒジと体の間にスペースがあります。イメージとしては、「上半身はトップの形のまま、下半身から切り返すので右ヒジや手元が真下に動き、その後、体に近づいていく」といった感じだと思います。下半身が先行するので、手元が通るスペースもしっかりと確保されています。
内田プロのように、胸を右に向けて体の開きを抑えるのは、ボールがつかまらないゴルファーに参考になる動き。ポイントはトップの姿勢にあります。トップで胸の面が上を向いてしまったり右腰が伸びたりすると、反動でリバースピボットになりやすいので、上体が開いてしまいます。
前傾に対して背骨を中心に体を回しながら、どちらかと言えば”猫背気味”に、胸を張り過ぎないトップを作ることが大切。切り返しでは下半身から切り返すことで、右ヒジは絞らずに手元が真下に下りる動きを確認しましょう。
内田プロのような胸の動かし方は、体全体の柔軟性が必要になります。日頃から背中や腰などのストレッチをすることで、クラブをインサイドから入れて、ナチュラルドローが打てる軌道が描きやすくなりますよ。
■内田ことこ
うちだ・ことこ/2002年生まれ、北海道出身。18年に「北海道女子アマ」を制覇し、21年にプロテストで一発合格。25年に地元・北海道で開催された「ミネベアミツミ レディス 北海道新聞カップ」でツアー初優勝を飾る。本名は「内田琴子」。加賀電子所属。
■解説:南秀樹
プロゴルファーである父の影響でゴルフを始め、高校卒業後にティーチングプロ資格を取得。クラブを使うことを主とする指導法が高い評価を得ている。幼少期から鈴木愛を指導するなど、ツアーで活躍する数多くのプロをサポートしている。(株)ボディスプラウト所属。
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