イーグル・バーディ・イーグル… グレース・キムが“奇跡の逆転劇”でメジャー初V「アヤカも同じようなラインを…」
<アムンディ・エビアン選手権 最終日◇13日◇エビアンリゾートGC(フランス)◇6504ヤード・パー71>
劇的なエンディングだった。プレーオフを含む“ラスト3ホール”で、イーグル・バーディ・イーグルを奪ったグレース・キム(オーストラリア)が、ジーノ・ティティクル(タイ)を逆転。2023年「ロッテ選手権」以来となるツアー2勝目、そしてメジャー初制覇を成し遂げた。
首位のティティクルに2打差で迎えた18番パー5。キムは、あと少しでアルバトロスという一打を放ち、イーグルを奪って首位に並び、プレーオフに突入した。
そして同じく18番で行われたプレーオフ1ホール目。2打目をグリーン近くまで運んだティティクルに対し、キムは手前の池に打ち込んでしまった。
「かなりがっかりした。でも最後の最後までプレーは終わらない。心配はしていなかった。ドロップしたボールはまあまあのライだった」。右サイドから58度ウェッジで放ったアプローチはピンに向かって一直線に転がり、まさかのカップイン。「もう一回できるか分からない」という一打で、勝負を振り出しに戻した。
同じく18番で行われた続く2ホール目。ティティクルが2オンを逃すなか、キムは4メートルほどに寄せた。決めればメジャー優勝というウイニングパット。「パットを決める前に考えてしまった。もっと緊張した。アヤカも同じようなラインを入れたのを覚えている」。昨年覇者・古江彩佳が72ホール目で決めたイーグルパットを思い浮かべながら、キムもしっかりと沈めた。
まるで奇跡のような劇的エンディング。「あれからどうやってここにいるのか分からない。あっという間だったけれど、確かにここにいられてうれしい」と、自らも驚きながら優勝会見の席に座った。一方のティティクルは「なにが起きても自分に言い聞かせるしかない。誇りに思うし、願わくば将来もっといいチャンスがあるように…」と語り、コースを後にした。
「KPMG全米女子プロ選手権」覇者のミンジー・リーに続き、オーストラリア勢がメジャー連勝。「信じられない」と喜びを語った。
なお、3度の18番ホールでは、いずれも同じクラブを使用していた。「4番ハイブリッド。それはバッグのなかに残り続けるだろうね」。契約を結ぶスリクソン『ZXi』への感謝も口にしながら、決して忘れることのできない最高の思い出を、エビアンに刻んだ。(文・笠井あかり)
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