無表情であるからこその無限の表情…人気シリーズ「能面検事」主演・上川隆也インタビュー
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イチオシスト:イチオシ編集部 旬ニュース担当
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ドラマ9「能面検事」(毎週金曜午後9時)で主演を務める上川隆也。“どんでん返しの帝王”の異名を持つベストセラー作家・中山七里による「能面検事」シリーズをドラマ化した本作で、上川は大阪地検きってのエース検察官である不破俊太郎役に挑む。
原作者の中山先生いわく「主人公が無表情であるがゆえに、感情の表現が難しく、映像化は絶対無理だ」と考えていた個性的な主人公を上川はどう演じるのか? クランクイン間もないご本人に聞いた。
【動画】上川隆也主演で人気シリーズ「能面検事」ドラマ化
“能面検事”と呼ばれる切れ者エース検事

――中山七里先生の映像化作品へ出演されるのは、「夜がどれだけ暗くても」(2021年放送/WOWOW)以来4年ぶり、3度目となります。
「中山先生の作品に出させていただく際は毎回、演じ甲斐を感じます。今回も骨子の頑健な世界観の中で奮闘する不破俊太郎(上川)と、相棒である惣領美晴(吉谷彩子)のバディに魅せられましたし、その原作作品の中で演じられることへの喜びも感じています」
――最初に出演された中山作品「テミスの剣」(2017年放送/テレビ東京)では、主人公の刑事の20代から50代までを見事、演じ切りましたが、今回は検察上層部や警察組織に対して一切の忖度はなく、とにかく冷静沈着に、ただ淡々と職務を全うすることから“能面検事”と呼ばれる切れ者のエース検事の役。また別の難しさ、ご苦労があるのでは、と想像しました。
「難しさ……というよりは、そこに面白みを感じます。特に今回の不破という男は、これまで演じてきた2作品と比べても、かなり個性の強いキャラクターでもありますので、それをどう想像し、体現していくのか。そうした部分に面白みを強く感じています。
同時に、中山先生の作品が持つ魅力というものをどこまでドラマとしてお伝えできるのかが、この作品に関わっていくことへの何よりの課題だと考えています」
――いわゆる“能面のような顔”とは、人間味がない、喜怒哀楽のない顔を意味する比喩。表情や感情表現が表立って使えない分、どのように不破を演じておられるのか? 教えていただける範囲内で結構ですので、お聞かせください。
「“こういうふうにやっています”と内情を披歴することへの気恥ずかしさは少々ありますが(笑)、その“能面”という言葉を、どこまで咀嚼できるかを考えました。
ただ、原作を読んでいただいた方はお分かりのように、彼自身が感情も何もない人間かというと決してそんなことはないわけで、その多重構造と言いますか、不破の秘めたる側面というものを意識しながら、演じさせてはいただいています」
――“能面”とは、日本の伝統芸能である能において付けられる面のこと。
「つたない知識ではありますが、その能という演劇形態では演者が面をつけることによって、性別や年齢も超え、無表情であるからこその無限の表情を表現していく――。はたから見た時に、不破という男が表面的に一切の感情を表さなかったとしても、その能が持っている表現の多様性や制限のなさを受け入れて、上手く取り入れていけばいいのかなと思いました」
――不破は表向きには無表情ですが、裏には法を信じる強さ、被害者へ寄り添う優しさを感じますよね。
「彼を“能面=表情のない男”という1文に押し込めてしまうのではない。彼とてひとりの人間であり、そこには何がしかの思いがあって事件や人々に相対しているということは、常々ベースに置いておきたいと考えています」

――演じていく中で見つけた不破の新たな面白みなどありますか?
「打ち明け話にもなるかもしれませんが、相対してくださる役者さんのみなさんが面白がってくださっています(笑)。
それぞれがご自身のプラン、監督からの演出プランなどを踏まえてお芝居を構築してくださっている中、その上で、ワンシーンワンシーン終わるとともに、これまでとは違う印象と言うのでしょうか……“そんなふうなキャラクターで来るのか”というような感じで楽しんでくださっているように、僕からはお見受けします」
――連続ドラマで初めて主演されて今年で30年。我々がまだ知らない上川さんが見られるということでしょうか。
「どうでしょう? 自分の口からそこまでは申し上げられませんが(笑)、みなさんから引き出していただいている部分もたくさんありますし、現場はとても楽しく回っています。そうした現場のいい雰囲気を感じていただきたいです」
――毎話、日本社会の闇を描いた社会的なテーマを横軸で展開し、加えて警察組織の隠蔽体質や検察組織の官僚体質を暴いていく爽快なストーリーを縦軸に描く本作。正義か忖度か、真実か隠蔽か──。司法権力の本質とは? 能面の奥に秘められた主人公の切なる思いとは? スタートが楽しみです。
「1話1話、ご覧になるにつれて新たな謎が立ち現れてくる骨太のリーガルドラマ。ぜひ、お楽しみいただきたいと思います」
今夜放送、ドラマ9「能面検事」(毎週金曜午後9時)第1話は?
第1話
新人検察事務官・惣領(吉谷彩子)は、大阪地検のエース検事・不破(上川隆也)のもとで働くことに。しかし初対面でいきなり「君のような事務官はいらん」と言い放たれてしまう。不破は無表情で忖度なしゆえ「能面」と呼ばれる変わり者で…。そんな二人の最初の担当は高校生殺害事件。被疑者の八木沢(渋谷謙人)は否認するものの、証拠は犯行を示すものばかり。そんな八木沢に不破は驚きの質問を投げかける。
【プロフィール】
上川隆也(かみかわ・たかや)
東京都出身。大学在学中に演劇集団キャラメルボックスに入団。1995年、ドラマ「大地の子」(NHK)で主人公に抜擢され、高い演技力と存在感から注目を集める。主な主演作に、大河ドラマ「功名が辻」(NHK)、「遺留捜査」シリーズ、「ドラマスペシャル 佐方貞人」シリーズ(ともに(テレビ朝日系)、「執事 西園寺の名推理」シリーズ(テレビ東京)他。ドラマ、舞台、映画など出演作多数。主演舞台「忠臣蔵」が、12月12日(金)東京・明治座を皮切りに全国6都市で上演される。
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(取材・文/橋本達典)
記事提供元:テレ東プラス
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