木戸愛が最終18番の“絶景”から得た「体感」 プレーオフ敗れ最長ブランクVならずも「諦めずにチャレンジしたい」
<資生堂・JAL レディス 最終日◇6日◇戸塚カントリー倶楽部 西コース(神奈川県)◇6766ヤード・パー72>
35歳の木戸愛は、トータル9アンダーで永峰咲希と首位に並びプレーオフになるも、3ホール目にボギーを喫し惜しくも優勝には届かなかった。
首位タイで迎えた最終日は、2012年「サマンサタバサレディース」以来となる通算2勝目がかかる大一番。さらに、勝てば12年349日ぶりと、ツアー最長ブランクVでもあった。スタート前にはキャディの佐藤賢和氏と「フラットな気持ちでやり抜こう」と気持ちをひとつにし、地元開催ということもあり、多くのギャラリーの声援に包まれながら1番ティへと向かった。
そんな中での前半は、「バタバタしてしまった」と振り返るように、波のある展開となった。1番は10メートルから2パットのパー発進。2番パー5では、ティショットを左のアゴの高いフェアウェイバンカーに打ち込み、4オン2パットのボギー。続く3番で4.5メートルのフックラインを沈めてバウンスバックとした。
しかし、4番では「フォア!」の掛け声もりティショットは右のロープ外の深いラフに入り、3オン2パットでボギー。5番では2メートルの下りを沈めて再び取り返すも、6番ではグリーン奥からのアプローチが届かず再びボギー。“△〇△〇△”と出入りの激しいゴルフで前半を終えた。
後半に入ると一転、10番、14番でバーディを奪うなど安定感のあるプレーでスコアをまとめて行った。そして、首位の永峰と1打差で迎えた最終18番パー4。ここでドラマが待っていた。ともに2オンに成功し、バーディパットが残る展開。静まり返る中、先に打った木戸が12メートルのスライスラインを完璧に沈めた。大歓声が湧き起こり、ひざまづきながらキャディの佐藤氏と勢いよくハイタッチを交わした。この劇的なバーディにより、勝負はプレーオフへもつれ込んだ。
“ミセス対決”となったプレーオフ。一進一退の戦いが続く中、3ホール目で木戸がボギーを喫し、惜しくも勝利はならなかった。しかしその表情には確かな手応えがあった。「本当にいいパットが決まってくれて、最後プレーオフまで繋げられたことは、次に繋がると思いますし、繋げたい。次はしっかり優勝を掴めるようにしたい」と前向きな言葉を口にした。
悔いが残るのは、“ジャンボ”こと尾崎将司への報告。「いい報告したかったのが、ホントあれですけど…」と悔しさを滲ませた。それでも「また来週頑張ります」とすでに気持ちは次戦へと向いている。
さらに2023年12月に73歳で亡くなった父・修さんへの思いも明かす。「ずっと見守ってくれていると思うので、それがすごく自分のパワーになっている。『最後は自分で掴んで乗り越えなきゃいけない』って話し合った時に言ってくれた言葉を思い出して、自分でしっかり乗り越えたい」。
木戸の堂々たる優勝争いに、多くのファンが心を動かされた。正規のラウンドもプレーオフも、18番ホールはたくさんのギャラリーに囲まれていた。「悔しいですけど、最後まで諦めないで、こうやっていると、ああいうこともあるなっていうのもまた体感できたので、これからも優勝に向かって諦めずにチャレンジしたい」と久しぶりに見た“絶景”をもう一度見るために、木戸愛の挑戦は、続いていく。(文・高木彩音)
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