川﨑春花が2年ぶりの優勝に王手 史上2人目の4日間“ボギーなし”で完全復活に花を添えるか
<ミネベアミツミレディス 北海道新聞カップ 3日目◇6日◇真駒内カントリークラブ 空沼コース(北海道)◇6667ヤード・パー72>
劇的な瞬間は、えてして突然やって来る。昨季の中盤あたりから続く不調から抜け出せず、今季も7度の予選落ちを喫していた川崎春花が、3日連続の完璧ゴルフで2年ぶりの優勝に王手をかけた。4バーディ・ボギーなしの「68」で回り、トータル15アンダーで単独首位の座をがっちり守り、2位との差を3打から4打に広げた。前週の最終日最終ホールから続く連続ボギーなしを55ホールに伸ばし、最終日もボギーなしで逃げ切れば、4日間大会ではツアー史上2人目のボギーなしVを達成する。
「えっ!? そうなんですか。なんか緊張しちゃいます。ノーボギーはうれしいけど、きょうはラッキーもあった。明日もそうなるか分からないけど、とにかく目の前のプレーに集中したいです」
これまでボギーなし優勝は16人(16度)いる。直近では昨年8月の「北海道meijiカップ」で鈴木愛が達成した。だが、4日間大会では2022年7月の「楽天スーパーレディース」の勝みなみだけ。72ホールの長丁場をノーミスで完走するのは至難の業で、ミスがミスにならない運も必要となるだろうが、この日の川崎にはまさにそういう場面があった。
4メートルのバーディパットを決めた直後の4番パー4。右に飛び出した力のない2打目はバンカーにつかまった。「トップとペラ。全然、飛ばへん。ミスです。穴があったら入りたかったです」。ピン手前からのパーパットは5メートル。何事もなかったように沈め、赤面のミスを帳消しにした。5番パー3は「カップの手前1.5メートルからの下りを警戒して」とピン左10メートルをジャストタッチできれいに沈めた。ピンチのあとのチャンス。流れを切ることなく、歓喜のときを迎えるカウントダウンが始まった。
7日の七夕に合わせたテレビの企画で、この日はオンエア中に各選手の「願いごと」が紹介された。川崎の願いは「おすし屋さんになる」。幼いころからおすしが大好きで、「おすし屋さんになったらイクラがいっぱい食べられる」が理由だった。「幼稚園のころですから」と笑ったが、「今はつぶ貝が好き。こりこりしていておいしい」と大人になったところをアピール。久しぶりの優勝争いの中でも、はんなりとほっこりした雰囲気を醸し出すのが京都市生まれの21歳の魅力だ。
最終日は同い年で2021年11月の最終プロテストに一発合格した同期の櫻井心那、尾関彩美悠と最終組を回る。同学年の日本選手3人の最終日最終組は、組み合わせの記録が残る02年以降では初めてとなる。「なんかカッコいいです。でも、あまりそこは意識しないようにやりたい。今週は自分のやることに集中していたから、この結果になっている。最終日もそれを継続してやらないといけないと思っています」。おすし屋さんもいいが、プロゴルファーになった今はやっぱり「優勝」が一番の願いごとだ。(文・臼杵孝志)
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